ヤルヴィ・ナッレ 2009年制作 Serial Number/N-026

体高=約44cm 座高=約34cm
素材=羊毛、コットン、ポリエステル(中綿)
   鈴/押し笛/目=羊毛
フィンランド産の毛糸で編まれた、
こぐまの男の子のあみぐるみ。

この作品のアイデアのきっかけになったのは、
マリメッコの布でした。
ゾウやシマウマやフラミンゴが描かれた
子ども服の柄になりそうな布で、
「男の子のクマをつくってみたい」
とタカモリさんは思いついたそうです。

この作品でメインに使われている色の「青」は、
クマがすむ森にある「湖」のイメージ。
手足の先にある「白」は、
空に浮かぶ雲や、湖畔につもる雪の白を表しています。
「映画の中でみた美しいフィンランドの風景の、
 その色合いが、そのままクマの姿になりました」
とタカモリさん。

撚りがきつくない、やわらかな毛糸でざっくりと編まれ、
ご覧のようにシンプルなクマに仕上がりました。
タカモリさんは最後に、
帽子、ポケット、ベルトなどを
装飾しようと試みたのですが、
これ以上の装飾を加えることを
作品自体が拒否しているように感じたそうです。
フィンランドの森で暮らす素朴なこぐまは、
シンプルであることを
大切に思う性格なのかもしれませんね。

ちなみに今回、
4体のヌーヴォーの中で、
「太くてやわらかな毛糸」
で編まれた作品は3体ありますが、
それらはすべてパンツの部分がマリメッコの布。
そのパンツをスカートで覆うように
毛糸でボディが編まれています。
この手法は、「ボンジュールくん」と同じで、
タカモリ・トモコさんのあみぐるみならではの
表現と言えるでしょう。

作品名の「ヤルヴィ・ナッレ」は、
「こぐまの湖くん」という意味。
「ナッレ(nalle)」が「こぐま」で、
「ヤルヴィ(järvi)」は
フィンランド語で「湖」のことです。

協力/森下ヒルトゥネン圭子さん



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