体長=約37cm 座高=約31cm
素材=羊毛/ポリエステル(中綿)、
   鈴/ボタン/目=プラスチック
タカモリ・トモコさんの作品の中では比較的めずらしい、
ポーチになっているタイプのあみぐるみです。

子どものころ、背中にチャックがついた
クマの小物入れを持っていたタカモリさんは、
それを持っていたときのうれしさを再現したくて、
このポーチを作ってみたのだそうです。

「ドロンくん」という名前は、
からだの色がブルーでハンサムなので、
映画『太陽がいっぱい』の
アラン・ドロンにちなんで命名されました。

ちなみに、この作品とは色ちがいの1体が、
竹中直人さん監督の映画『東京日和』
重要な小道具として出演しています。

「当時、代官山のテディベアショップに
 うさぎのポーチを何体か置かせてもらっていました。
 そこへ映画でつかう小道具のぬいぐるみを探していた
 竹中直人さんがいらして、
 うさぎのポーチに一目ぼれしてくださったのだそうです。
 ただ、主人公の中山美穂さんが
 それがご自分の役柄にピッタリだと思うかどうかは
 本人に見てもらうまでわからないので
 その子のほかにも何体かテディベアを購入したそうです。
 けっきょく中山美穂さんは
 迷わずうさぎのポーチを選んでくださったそうで、
 竹中さんもホッとしたと‥‥。
 後日あみぐるみ写真集の中での対談のときに
 そんなお話を聞かせていただきました。
 初めてお会いした竹中さんはとても素敵なかたで、
 『ものを作る人を大切にしてあげたい』
 という気持ちが伝わってきてとてもうれしかったです。
 お話できた時間を、いまでも宝物のように思っています」
(タカモリ・トモコ談)

竹中直人さんから、
コメントをいただきました。

『タカモリ・トモコさんの作品との出会いは、
 本に掲載されていた写真だったと思います。
 見た瞬間に「これだっ!」と思った事を思い出します。
 映画『東京日和』を監督するにあたって
 主人公の象徴として何か「さみしげなぬいぐるみ」
 みたいな物を出したいと思っていたので、
 タカモリさんの作品に出会った時は
 かなり衝撃的だったのです。
 かわいくて、弱そうで、はかなそうで、
 ちょっとさみしげで、チャーミングな、
 タカモリ・トモコ作品は、たまらないのです。
 初めてタカモリさんに出逢った時、
 「うわぁ、めちゃくちゃきれいな女性じゃんか‥‥」
 とこころの中で思った事も思い出しました』
                 ──── 竹中直人



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