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女性が着たいTシャツって、どんなのだろう?
GRANDMA MAMA DAUGHTER デザイナー、宇和川 恵美子さんの答えはこうでした。
 
O2 BETTER THAN ONE
予告03
女性はいろいろ着たいんです。 女性はいろいろ着たいんです。

「女性がほんとうに着たいTシャツ」を
だれにデザインしてもらえばいいのか、
わたしたち〈O2〉チームは、かなり悩みました。
そもそもTシャツというものが
やや男性よりのアイテムだからか、
「この人が得意そう」というのが思いつかなかったのです。
でも、ふと思い出しました。
女性が着たいTシャツをつくってもらったことが、
すでにあったような‥‥?
そうだ! わたしたちは
「グランマ ママ ドーター」の
デザイナー宇和川恵美子さんに連絡をとりました。

宇和川恵美子さんのプロフィール

宇和川 恵美子(うわがわ えみこ)

セレクトショップの店長、バイヤーを皮切りに、
海外ブランド向け素材の企画・プロデュース、
アパレルブランド製品の企画・生産などの業務を経て、
2010年、自身のブランド GRANDMA MAMA DAUGHTER を設立。
ユーザー目線を反映した、
ゆきとどいた製品づくりで人気を博している。

思いきって2つのタイプを提案した

――
以前、「HOBO SIRI SIRIのジュエリーに合う」という
お題で、Tシャツをつくっていただきました。
そのとき、グランマ ママ ドーターさんが、
課題に対していちばん真剣に向き合ってくれた気がして、
なおかつお客さまにもたいへん好評でした。
宇和川
ありがとうございます。
――
「ジュエリーに合う」という点では、
「女性のためのTシャツ」というお題を
すでに実現してくださっていたとも言えるわけで、
だったら、またお願いしようと思ったしだいです。
宇和川
そう言っていただけると、うれしいです。
――
今回のコンセプトをお聞きになって、どう思いましたか?
宇和川
最初、「定番ってむずかしいな」と思ったんです。
たくさんの人に気に入ってもらわないといけないし、
デザインしすぎてはいけないけど特徴もほしいし、
シンプルなアイテムなだけに、実はすごくむずかしい。
――
ああ、なるほど。
そして、その結果‥‥
宇和川
思いきって、ベーシックタイプと、
身幅が広くて着丈が短いワイドタイプ、
2つを提案させていただきました。

――
2型でいこうと決めるのは、
ちょっと勇気がいりませんでしたか。
迷っているというか、答えを出せていないように
思われるかもしれないじゃないですか。
宇和川
はい、たしかに。
定番という意味ではベーシックだけでもいいですよね。
でも、服をゆったりと着たいという気分が
ここ数年つづいてているので、
それをもう、あたらしい定番にしても
いいんじゃないかと思いました。
――
それがワイドタイプですね。
宇和川
はい。 もう1つはいわゆるTシャツらしい、
スタンダードなバランスにしました。
女性って新鮮なものが好きなんですけど、
ふつうのものが必要になるときがあるんです。
――
それはどういうときに?
宇和川
ゆったりしたTシャツの上から上着をはおると、
脇のあたりがもたついて着にくいことがあるので、
それほどワイドシルエットではないものを
着るシチュエーションも意外と多いんです。
ですから、ワイドはまさに「新定番」としての提案、
ベーシックは「ザ・定番」という位置づけですね。
――
そうかあ、女性は使いわけできるほうがうれしいんだ。
宇和川
それはもちろん。
女性はいろいろあるんです(笑)。
――
わかってませんでした(笑)。

女性が1枚で着てなりたつTシャツ

――
2つのタイプをくらべると、シルエットはちがいますが、
デザインのディテールは似ていますね。
宇和川
はい、ディテールは共通しています。
「女性が1枚で着てなりたつTシャツ」というのが、
キーワードになっています。
――
具体的にはどういうところでしょう。
宇和川
いちばん重視したのは襟ぐりのかたちです。 襟ぐりがせますぎるとスポーティだし、
広すぎるとラグジュアリーだし、
でもあるていど広くないと女性らしくない。
持っているTシャツをたくさん着てみて、
「これよりもうちょっと広いほうがいいな」
「せまいほうがいいかな」と試行錯誤しながら、
襟ぐりの広さと深さの
ちょうどいいバランスをさぐりました。
――
たしかに、女性は襟のあきぐあいを気にしますよね。
宇和川
あとは、襟のリブを太くしたり
裾と袖の折り返しを大きくとったりと、
ぱっと見たときに、ふつうのTシャツと
ちょっとちがって見えるようにデザインしました。

折り返しが大きくとられた袖

――
そうすることで何が変わるんでしょうか。
宇和川
インナー的な要素をうすめようと思ったんです。
たとえていうなら、シャツのカフスのような、
ディテールを強調する意味をもたせています。
――
ああ、なるほど!
襟のリブについていうと、
一般に女性用のTシャツは細くしているものが多いですが、
逆に太くするというのがおもしろいですね。
宇和川
より外着としての印象が強まるようにという
意図があります。
――
襟も一般的なフライス編みではなく、
身ごろと同じ天竺編みの生地が使われています。
宇和川
天竺編みはフライス編みより伸縮性がなく、
そのぶんシワが寄るのですが、
襟もとにニュアンスを出したくてそうしています。
フライス編みだとスポーティな印象になってしまうので。

身ごろと同じ生地でできた襟

――
素材についてはいかがですか?
宇和川
いい生地にめぐり合えたました。
こういう上質な糸できれいな生地をつくると
光沢が出すぎて艶っぽくなりすぎるんですけど、
これはマットな表情でちょうどいい。
それでいて手ざわりもよく、着心地もさらりとしています。
――
ほどよく光沢があって、しなやかで。
とてもバランスがいい生地ですよね。
宇和川
今回、この生地でつくれたことは、
とてもラッキーだったなと思っています。

“ニコイチ”のデザイナー

――
宇和川さんはデザインをされるときに
「聞いてつくりあげていく」ような印象をうけます。
宇和川
はい、こういうコラボレーションでつくるときは
そこになにか意図があると思うので
みなさんがいいと感じてもらえるような
着地点を見つけていくことが多いです。
――
周囲の意見も尊重されているんですね。
宇和川
ひとりで考えていると
じぶんの「好き」にかたよってしまうので
できるだけ周りのひとにリサーチしています。
――
そういえばミーティングのときも、
いつも秋吉さんがいっしょにいらっしゃいます。
おふたりで連携してすすめることが多いんですか?
秋吉
そうですね。 工場へのコンタクトはぼくが担当して、
デザインのことはふたりでやりとりしながら。

秋吉 孝信さん

――
ということは、
秋吉さんがデザインを具体化する感じなんでしょうか。
秋吉
はい、宇和川がイメージするデザインを、
ぼくのフィルターをとおして、パタンナーに伝えています。
宇和川からはいろいろなニュアンスで伝えられるので
「これが好みなんだろうな」「こうしたいんだろうな」
というのを汲みとって、かたちにしています。
宇和川
たまに困らせていますね。
「ここがヒヨヒヨした感じ」とか、
「ピコピコしているような」とか、
わたしがよくわからない表現をするので(笑)。
――
擬音なんだ(笑)。
秋吉
でも、もう慣れたので、
「ヒョヒョイっていう感じで」と言われても、
だいたいは「ええ、分かります」。
一同
(笑)。
宇和川
いっしょにやって8年くらいになるんですが
おたがいに思っていることがどんどんわかってきて、
考える方向がいっしょになってきました。
いまは、ふたりでニコイチです。
秋吉
今回も、内容を把握しておかないと
宇和川がどういうことをやりたいのかわからないので、
打ち合わせから同席させてもらいました。
宇和川がポロッと発言したことをひろいあげて、
「なるほど、それならこうしよう」と思っていました。
――
できあがりをご覧になって、いかがでしたか。
宇和川
はい、とてもいい感じにできたと思っています。
わたしもほしいです。
秋吉
ぼくは着られないですが、いい出来だと思います。
――
ぼくらもたのしみです。
ありがとうございました!
(おわりです)
 

開発に10年かかった、究極のTシャツ生地

宇和川恵美子さんにデザインしていただいた
「女性が着たいTシャツ」に採用されている生地は、
品質に定評のあるテキスタイルメーカー、
株式会社エイガールズのオリジナル素材です。
あまりに魅力的なので、どういう生地なのか、
同社の尾崎孝夫さんに教えていただきました。

今回えらんでいただいた生地には自信があります。
もともと、究極のTシャツ生地をつくりたくて
開発したものだからです。
めざしたのは、Tシャツにしたとき、きもちよくて
クローゼットから自然と手にとってしまうもの。
いろいろ原料をさがした結果たどり着いたのが、
インドのスビンという超長綿です。
希少かつ高価ですが生地にしたときのタッチがすばらしい。
油脂分が多いのが特徴で、さわってもらうと、
カシミアのようなぬめり感があります。
スビン100パーセントだと、繊維が長いゆえに毛羽立ったり
とろみがありすぎて落ち感が出てしまうので、
別のもうすこし繊維長のみじかい綿とブレンドしています。
毛羽立ちや過度なとろみをおさえることはもちろん、
よりリーズナブルに提供できるのも、いいところです。
それ以外にも撚糸の回数を調整したり改良をかさねながら、
10年かかってようやく、
いい落としどころを見つけたのがこの生地です。
比較的うすめですが、高密度に編んでいるので
ほとんど透けませんし、1枚で着てもさまになります。
素肌で着て、抜群の着ごこちをたのしんでいただけたら
うれしいです。