首に何かを提げていた
石川さんを想いながらつくった
バッグ&ケースの3アイテム。
熊本に拠点を構える「PHILMENT」。
ビジネスでもアウトドアでも
シーンを選ばず、快適に使える機能性と、
高いデザイン性を兼ね備えたバッグを
次々と発売するブランドです。
この「PHILMENT」と一緒に
サコッシュ、ミニポーチ、PCケースを作りました。
企画とデザインを担当したのは、
グラフィックデザイナーとして活躍する
Bob Foundationの朝倉洋美さん。
石川さんからは「ボブ」の愛称で呼ばれ、
“親しい(仕事)仲間”だった朝倉さんにとって
「石川さんと言えば」というアイテムが
この3品でした。
石川さんとのストーリーを辿りながら、
話は朝倉さんが好きだったデザイン集団のことや
音楽の話題へと“脱線”していきます。
ファッションの話をしているのに、
いつの間にかロックやスポーツの話になっていった
石川さんの姿とどこか重なる、
「ボブ」こと朝倉さんの話。
今回はちょっと深い“脱線回”です。
朝倉洋美さんのプロフィール
ロンドン「TOMATO」と
石川さんの関係性。
──
「ウルトラピンクヘビーをテーマに
モッズっぽいイラスト」を施した
前回のサコッシュから大きくデザインが変わりましたね。
朝倉
「思うままに動かす」という力を抜いた
デザイン手法にトライしてみたかったんです。
普段のファッションもそうですが、
石川さんは“崩す”とか“脱力”が上手だから。
その昔、私はよくコラージュのようなデザインを
手がけていましたが、そのときの手法を使い、
石川さんを想ったときのキーワードである
“崩す”とか“脱力”を取り入れて
思うままにデザインを動かしてみました。
──
分かるような、分からないような‥‥。
もう少しだけ具体的に教えてもらえますか。
朝倉
それほど難しいことではありません。
まず、私はドットが好きだし、
今回も使いたかったことが前提にあります。
石川さんは網点(あみてん。印刷物の
濃淡を表現するための網状の細かい点)が
好きだったから、特に。
そのドットに、よく使うストライプをプラスして
デザインしたものをプリントアウトして
破って貼ってコピーして‥‥みたいなことを
続けてデザインしていきました。
まさに「思うまま」にブラッシュアップした感じ。
コラージュ作品って、狙って創ると
どうしてもダサくなることがあって、そうしました。
その「ダサい/カッコいい」という基準は、
私が好きなロンドンのデザイン集団
「TOMATO」に由来する気がします。
私にとって「TOMATO」は生きる上で大事な存在。
中学生の時に、創始者であるジョン・ワーウィックと
ミュージシャンのカール・ハイドが
ニューヨークで作った作品集に出合ってしまった。
グラフィックデザインを手がける人にとっては、
見るべき一冊に入る名著だと思うのですが、
そこにはコラージュのようなテイストの作品が
並んでいます。私はそこに衝撃を受けたんです。
──
カール・ハイドって、エレクトロニック・
ミュージックシーンを
今も第一線で引っ張るUnderworldの?
朝倉
そうです。あのカール・ハイド。
彼も「TOMATO」のメンバーのひとりでした。
私は反抗期がひどくて、母親が英語の
ホームティーチャーをしているのを見て
英語なんてやるもんか、と強く思った(笑)。
さらには、英語の意味が分からないのに
洋楽がいいって言っている人たちを
アンチの目線で見ていました。
もちろん、今はそんなことないですよ(笑)。
とにかく、歌詞ではなくビートやリズムに傾倒して
出会ったのがUnderworld。
そのレコードやCDのジャケットを手がけたのが
「TOMATO」だということを知り、
彼らが活動するロンドンに興味を持ちました。
高校のときに一度、
母親と一緒にロンドンへ行ったことがあるのですが、
帰りの飛行機で
現地の雰囲気に魅せられてしまったことを
彼女に伝えると「それなら住んでみたら?」って。
そこで、反抗期のせいで英語ができない私の
渡英留学が決まりました(笑)。
──
サコッシュのデザインの話をしていたら
いつの間にかロンドンやら音楽の話に!
石川さんと話している時の感覚を思い出しました。
朝倉
彼のファッションもそうですが、
石川さんのすべてには裏側の物語がありました。
あのミュージシャンがこんな着方をしていたとか、
このモチーフはアスリートの誰それに由来するとか。
「5DW」のロゴだって、ロンドンのチューブの
駅名表示が元になっていますもんね。
ある種の“石川スタイル”に共感するから
無意識のうちにストックしたカルチャーが
デザインに盛り込まれているのかも知れません。
私が好きな「TOMATO」のメンバーは、
それぞれ各自が自分のフィールドで活躍しながら
時に一緒に集まって仕事をするチームでした。
言わば、クリエイティブな「アヴェンジャーズ」(笑)。
石川さんが結成していた「ULTRA HEAVY」も
ジェリー(鵜飼)さんや神山(隆二)さんを中心に
同じような動き方をしていましたよね。
自分で話していて思ったのですが、
石川さんの「ULTRA HEAVY」は
日本の「TOMATO」だったのかも知れません。
2026-04-06-MON
(つづきます)
Bob Foundation × PHILMENTの
サコッシュ、ミニポーチ、PCケースは、
5DW+ WEBショップにて2026年4月9日AM11時発売!
[STAFF]
企画・プロデュース:朝倉洋美(Bob Foundation)
スタイリング:青木穣
ヘアメイク:ボヨン
モデル:五十嵐あきら(171cm)、小松紘大(181cm)
文:阿部太一
撮影:吉嗣裕馬
Special Thanks:石川顕