5DW メンズショップ イシカワ
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「5DW+」の
「ハザイプロジェクト」第二弾は、
小さなカッティングボードです。


「ハザイプロジェクト」とは、
5DWの店長・石川顕さんが
日本各地の作り手たちに会いにいき、
そのしごと場を見ていくなかで、
ものづくりにおいてどうしても出てしまう
“端材”を使って「なんかつくってよ」という
お呼びかけではじまったプロジェクト。



サステナブルとかリサイクルって言葉は苦手だけど、
「カッコいいもの、つくればいいじゃない」
という石川店長の号令のもと、
いままでなら捨て置かれていたかもしれないカケラで
それぞれの作家さんたちに
ニュープロダクト、一点ものをつくってもらおうという
贅沢で楽しい企画です。



その第二弾が鹿児島の木工作家、盛永省治さんの
カッティングボード。
カッティングボードとは、簡単にいうと、まな板です。



今回はなぜ小さなまな板なのか?
いったいどのようにつくられたものなのか?
東京にちょうど来ていた盛永さんに話を聞きました。
器にもまな板にもなる、
小さなカッティングボード。
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――
小ぶりなカッティングボードって
キッチンで意外と使いやすくて好きなんですけど、
今回はなぜカッティングボードだったのでしょうか? 
石川さんとどんなお話をされていたのか、
お聞かせいただけたら嬉しいです。
盛永
石川さんから「端材を使って何かつくれる?」って
ふわっとお話はもらっていたんですけど、
具体的には何をつくるかまでは決められていなかったんです。
でも、僕が勝手に何かつくるのも違うと思うし、
10年くらい前に一度、
石川さんからお願いされてつくったものを思い出して、
昨日サンプルを制作してみました。
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――
昨日ですか!
そのときの石川さんからは
どういったご依頼だったのですか?
盛永
モデルのKIKIさんがいつも山で使っているという
カッティングボードがあって、
その画像とサイズ感が送られてきて、
「これに似たやつをつくってくれればいいんだけど」
というリクエストがあったので、
画像を見ながら線を引いてつくったんです。
――
そんな経緯があったとは。
でも、これっていつもの盛永さんの
ウッドターニングという技法とは違うつくり方ですよね?
盛永
ウッドターニングって、
機械で木を回転させながら刃物を当てて削る手法なので、
その場合は、ボウル状のものとか、スツールとか、
壺や器みたいなものをつくるときにやっています。
今回は、だいたい真っ直ぐな板を製材して、
その型板に線を引いて、
ルーターという機械を使ってカットしていき、
何枚かつくるのであれば同じ形に揃えて、
最後に研磨していくという工程です。
僕はこの研磨の工程が好きで、
今回はメープル材という硬い木を使っているんですけど、
硬い木は磨けば磨くほどピカピカに光ってくるんです。
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――
ほんと美しい仕上がりですよね。
今回のカッティングボードで使われている
真っ直ぐな板がウッドターニングのときの端材なんですか?
盛永
これはウッドターニングのときの端材ではなくて、
まとめて材料の原木を注文したときにまじっている
あまり使い道がない幅が狭いものなどを使っています。
ふだんは小さなものはつくらないので、
けっこうこの手の板は残ってしまっているんですよね。
――
こういった余った木や端材は、
今回のカッティングボード以外だと
どのように使われるんですか?
盛永
細かい木屑は畑にまいたり、
カブトムシを育てている方が持っていったり。
薪ストーブを持っている方が燃料用として持ち帰ったり。
みなさん喜んでもらっていってくれますね。
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――
ところで最近の盛永さんは
どういった作品をつくっているんですか?
盛永
少し大きいものが増えていて、
彫刻っぽいものが多いですかね。
スツールなどの家具もそうですが、
オブジェのようなものもつくっています。
――
キャリアについて教えてください。
どんな経緯で木工作家になられたのか、
どこで石川さんと出会われたのか。
盛永
最初は家具をつくる工場で職人として働いていました。
そこから独立して「Crate」という工房を立ち上げたのですが、今年で19年目になります。
その働いていた家具工場が、石川さんが仲のよかった
「ランドスケーププロダクツ」の家具をつくる工場で、
そこで石川さんとは出会いました。
――
そうだったんですね。
盛永
石川さんが来ていたのがたぶん20年くらい前で、
別に石川さんはそのときも何をしているわけでは
なかったんですけど、
仕事風景を眺めたり、
工場の横にテントを張ったりして、
お茶を淹れてくれたりしていました。
――
えー。なんだかとっても石川さんっぽいですね。
盛永
テント張ってましたからね。
僕は7年くらいその工場で働いて、
独立したときも最初は同じように家具をつくろうと
考えていたんですけど、
そういう仕事はなかなかなかったですし、
テーブルとか収納とか大きなものをつくっても、
運ぶのに人手がいるので、
それだったら、ひとりで手に抱えられるようなもので、
流通させやすいものをつくろうと考え直して、
木の器などをつくりはじめるようになったんです。
――
それで、ウッドターニングをはじめるんですね。
盛永
そうですね。
最初はまだウッドターニングの技術は持っていなかったので、
YouTubeでアメリカの人がつくっているものを見つけて、
その技法や道具を学びました。
――
完全独学ですね。
盛永
だから、いまだに
間違っているやり方もあるかもですね(笑)。
独立してから2年後くらいに
ウッドターニングをやり出しました。
それからは、毎年毎年、
新しいものをつくれるようにチャレンジしています。
これまでいろいろなものをつくってきましたが、
結局自分ができることと、
お客さんが望んでくれるものが
いまも残っていっている感じですね。
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――
ちなみに、ウッドターニングでつくるものって
図面ってあるんですか?
盛永
ないんですよね。
家具をつくっていたときはもちろんあったんですけど、
いまはミリ単位の世界からは解き放たれています。
つくりながら考えたくて。
アメリカの彫刻家、アルマ・アレンさんの工房で
修業させてもらったのも、その手法や思考といったところで
いい影響を受けました。
――
盛永さんの作品って、いい意味で土着感がありますよね。
美しくて、ピカピカなんだけど、ワイルドというか。
盛永
木が腐っていたり、穴が開いていたりしていますからね。
工房の近くに丸太が買えるところがあるのですが、
キレイな丸太は市場に出回るので、
僕はそうじゃないものを選んで、
それを材料として使っています。
半分は狙ってやっていますが、
全部使わないともったいないですしね。
スポルテッドウッドというのですが、
立ち枯れした木の内部に菌が入り込んで、
黒い筋状の模様や色の変化を生み出すんです。
自然が生み出す1点ものの芸術的な模様ですね。
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――
今回はなんでメープル材を使ったのですか?
盛永
余っていたというのもあるのですが、
硬い木が好きなんですよね。
磨くとピカピカ、ツルツルになるので。
――
この小さなサイズ感が
ほんとキッチンで使いやすそうで。
盛永
石川さんから聞いていたのは、
KIKIさんがキャンプで使っているということでしたので、
持ち運びも便利な小さいサイズだったんだと思います。
KIKIさんみたいにオピネルのナイフで調理したり、
これをそのままお皿にしたりとか。
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――
ちょっとしたものを切るときに使いたくなっちゃいますね。
食材を直にのせたりするので、
なんとなく気になったのですが、
使っていった際のお手入れ方法ってあるんですか?
盛永
もうほとんど何もしなくていいと思いますが、
ツヤがなくなってきたらオリーブオイルを塗って、
から拭きしてあげるといいかなって思います。
――
なんだか育っていく感じですね。
自分専用に育てる楽しみがありそうですね。
盛永
そうですね。
ただ、僕がつくるものって、
用途を気にしたものがあまりなくて。
使う場面を意識してつくってはいないというか。
棚の上に置いてキレイなものとか、
器でもいままで見たこともないような変な形のものとか。
――
そうしたら、今回のこのカッティングボードは
まな板という用途があるから、ちょっと珍しいですね。
盛永
珍しいと思います。
――
ここに穴が開いているのは、
何かに掛けるときのものですか?
盛永
掛けてもいいと思いますし、
たぶん、指を入れると持ちやすいんでしょうね。
お皿として使う際も持ちやすい。
たぶん、というのも、これほんとKIKIさんが
持っていたものをそのままつくっていますから(笑)。
――
とにかく、すべすべしていて、
触っているだけで気持ちいいですね。
盛永
ものすごい研磨していますから。
最後に、5DWのロゴマークと、
内田洋一朗さんに製作してもらった自分の名前のロゴを
レーザー彫刻で入れさせてもらっています。
ほんとはなくてもいいかなって思っているんですけどね。
――
いやいやいや、絶対入れてください。
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2026-04-13-MON
(おわります)
盛永省治のカッティングボードは
5DW+ WEBショップにて
2026年4月14日(火)午前11時 発売!
[STAFF]

企画・プロデュース:石川顕

スタイリング:青木穣

文:小笠原民織

撮影:吉嗣裕馬