いい音は空気を洗う。
加藤晴之さんの紙筒スピーカー物語。

ほぼにちわ。
通天閣あかりです。

「このスピーカーを世に出さないとバチが当たります!」
とフリーハンドの八田さんを説得した、(脅した?)
カタログハウス編集部、宮坂さんのお話です!

『通販生活』の「イトイ式通販生活」の担当者でもあり
イトリキカレーも担当されていたことがご縁で
今回のスピーカーも宮坂さんに
一役買っていただくことになりました。

今日は、宮坂さんの目を通して見た
紙筒スピーカー攻防をお届けします。

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♯10 熱が熱を呼ぶ

・クリスマスの3時間

加藤さんのお宅に
糸井さんと私の上司とで一緒に伺って
スピーカーを聴かせてもらって、
これはぜひ商品化を進めたいとなったんですけれども
個人が手作りしているスピーカーを
いったいどうやって量産のラインにのせたらいいのか
私にはまーったく、なーんの見当もつきませんでした。

通販生活ではたくさんの商品を
掲載していますけれども、
これまでにオリジナルでオーディオ製品を
商品化したことはないので
「あーそれはね」と教えてくれる社員もいません。
とりあえず、音楽に詳しい社員を巻き込んで
加藤さんのところに通うことから始めました。

でもこのまま黙って待っていても
誰かが商品化は僕のところでやります!
って言ってくれることはありえませんから
どうにかして自分たちで
メーカーさんを見つけなくちゃなりません。

カタログハウスでも
いくつかの音響メーカーさんとおつき合いがあるので
商品化を持ちかけて請け負ってもらえば
ノウハウも持っているだろうし
うまくいくんじゃないかと最初は思ったんですけれども
よく考えてみると、その会社にはすでに
その会社の方針で作っている自社製品があるのに、
「加藤さんという人が作っている
 いいスピーカーがあるんですよ。
 製品化しませんか」
と持ちかけても、
ふつうは受けてはくださらないですよね。

ある意味、これまでの自社の製品を
否定することにもなりかねないし。

で、よくよく考えてみると
加藤さんのスピーカーは
オーディオではあるんだけれども
段ボールを使っていたりとか、
段ボール同士を接着して音がもれないように
組み立てるっていう、
今までのスピーカーの製造ラインに
まったくあてはめることができない商品なので
これはオーディオメーカーさんの中から
協力してくれるところを探すよりは、
コンセプトに共感してくれて、
うちがなんとかしましょう!って
名乗りをあげてくれるところを
探した方が近道じゃないかなって思ったんですね。
でもねえ、そこからがまた遠かったです。
あっちのメーカーさんもだめ、
こっちのメーカーさんもだめ
の繰り返しでした。

・・・どうしてメーカーさんは「うちではできない」って
   思われるのでしょうか。


今までにない商品なので
イメージが湧かなかったんじゃないでしょうか。
本当にそのようなものが作れるのか
どれくらいのコストがかかるのかがわからないっていう
不安があったんだと思います。
誰でもリスクはなるべく負いたくないですもんね。

そんなこんなしているうちに
加藤さんの「熱」がさめてしまったら困ると思って、
なんとか前に進めたいと焦っていました。
私が入社2年目くらいの時に
フリーハンドの八田さんと
お仕事をご一緒したことがあり、
商品を作ることにすごく熱心なかただなと
思った印象があったので、
話すだけ話してみようと電話をしてみたんですね。

それがおととしの12月でした。
商品化をしましょうかって初めて言ったときから
もう既に1年くらいたっていました。

八田さんは最初にお話を持ちかけたときからずっと、
「オーディオはわからないからなー」って
言っていましたが
まずそのスピーカーを聴かせてほしいと
言ってくださったので
じゃあ一緒に加藤さんのご自宅に伺いましょう
ということになって、
加藤さんにお電話したら
クリスマスなら空いてますって。
「よろしいんですかクリスマスに」なんて言いながら、
ご自宅のクリスマスパーティに
いそいそと出かけていったんです。

加藤さんにはお子さんが5人いらっしゃって、
人見知りしない素敵な子供さんたちで
私と八田さんがいきなり
家族団欒のクリスマスパーティに紛れ込んでいるのに、
「どんどん食べて食べて」みたいな
アットホームな雰囲気で。
奥さまと加藤さんとでクレープとか焼いてくださって!

本題に入る前に3時間くらいそんなことをして、
「そろそろ」なんて言いながら
車庫を改造されたというスピーカーの工房に行きました。
八田さんはもうこの3時間のうちに
加藤さんにも加藤ファミリーにも
すごく惹かれていたようでした。

・・・お話を伺っていても、
   「加藤さんは僕のことを
    どう思ってるか知らないけど
    僕は加藤さんをすごく信頼してる」
   ということをおっしゃっていました。


そうですね。
私がこんなことを言うのも僭越ですが、
八田さん自身、この仕事に関わられて
ちょっと変わられたように見えました。

ベースは商売人ですから、
商品として成り立つのか、
売れる商品になるのかどうかっていうことを
すごく気にされていました。
当然ですよね。

それが、あの加藤家での最初の3時間のうちにもう
「この仕事やろう」って
思っていたのかもしれませんね。
工房でスピーカーを実際に聴く前から
心はすでに決まっていたのかもしれません。


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どんな場面でも、
熱い人には熱い人が共鳴するんですよね。
本気には本気が。

この和音をカタログハウスの名物社長、斎藤さんに
どんな風に伝えていったのか?
『通販生活』のページに載せるまでのドラマを
次回はお届けします!

ほな。



カタログハウスのB1のお店にも置いてありましたよー
残念ながらお手元に届くのは11月以降になりますが。



「加藤晴之さんの紙筒スピーカー」に関する
お問い合わせは、
0120-701-567(カタログハウス商品ご説明課)
お申し込みは、
0120-164-164(カタログハウス受注センター)
までお願いいたします。

2001-10-11-THU


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