お隣が宇宙、
同僚がロケット。

至近距離で見る宇宙開発。

space-2
- Asian Dust -


秋の黄砂はこうさ!なんちて。

AsianDust©NASA
©NASDA

さっそくですが、
実際に衛星から送られた最新の画像を見ながら、
地球観測をやってみましょう。

これは、今年の11月11日と12日に、
日本に「黄砂」が飛んできたという画像です。

NASAの地球観測衛星Aqua(アクア)に搭載された
MODIS(モディス)というセンサから送られてきた
データを、画像処理をして可視化させたものです。

黄砂のことをさしおいてもこの画像、
色がすごいきれいですよね。
なんとなくモヤっとした黄色いベールが
かかっているのが見えますかねー。
そこが黄砂が飛んでいるところですって。
ふーむ。

ここでただ漫然と「はあ〜、きれい〜」なんて
画像を見つめていても、
いろんな情報を読み取れないのだけど、
うーん、やっぱり専門家は違う!

大気化学に取り組んでいるNASDAの川上修司さんに
黄砂の画像の話をうかがうと、もっともっと
この絵が何を語っているのかが見えてくるんですよ。
不思議〜。
実は「黄砂」と「大気汚染」の境目は微妙で
それを画像から確認することは、
なかなか難しいらしいのです。
そういう実際の話というのも、今回とくべつに
「ほぼ日」の小耳に入れてくれました。

kawakami-san:
実は、黄砂と紹介しましたけど、
 色がやっぱり黄色よりは黒っぽくみえるんですよ。
 見えるときは、黄色というか茶色など、
 イメージどおりそう見えるんです。
 この画像を見てください。

 気象衛星ひまわり(日本付近スプリット画像)からも
 1時間毎に黄砂の位置がわかったので、
 黄砂だと思ってます。

 でも、中国大陸では、
 灰色の雲に覆われているところがかなりあって、
 大気汚染がひどいんだなぁと最近思うんです。
 この画像です。
 で、それと混じって飛んできているんだなぁと。
 
 UNEP(国連環境計画)でも
  ”Asian Brown Cloud”といわれ、
 問題になっていて、日本でも問題意識が高まって
 研究会が開かれるようです。


黄砂といえば、私は日本海側に育ったから、
春になにやらモヤモヤが飛んできて
ちょっと目がかすんだり(花粉のようだけど、違った)
触れるものがざらざらしてたりしたことを
かすかに覚えてます。
でも秋に「黄砂」っていうのは
あんまり聞いたことなかったですね。
今年は気象の影響でとくべつ多いらしいです。

坂本龍一さんのアルバム「未来派野郎」に
入っている『黄土高原』を聴くと、
乾いた黄土が果てしなく広がるシュールな
高原の風景が現れてきてエキゾチックなんですけど
黄砂のふるさとはその黄土高原。
もっと奥のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠も。

そこから、約4千キロの長旅をしてやってくる
直径5〜50ミクロンの黄色い砂。
なんと風速50メートル以上の風にのって
中国では深刻な被害をもたらしながら、
2、3日で日本に到着する。
(この情報はこちらにありました。
http://www.chugoku-np.co.jp/Nie/question59.html

上の画像は1枚だけで残念なのですが、
何枚もの画像を時間的にずっと動かして
見せてもらうと、
黄砂が生まれて流れてニ手に分かれ、
一方がシベリアの方に、もう一方は日本にやってくる。
その「黄砂の旅」が鮮明に見えてきて
これまた、感動的です。

いよいよ14日に打上げのアデツー (ADEOS-II)衛星に
搭載されるグローバルイメジャ (GLI)
というセンサも、このような
黄砂観測に活躍する予定だそうです。
ますます詳しい情報がゲットできるようになるわけですね。

それから川上さんは、こんな画像も見せてくれました。

大気汚染の深刻さを物語るアーカイブ

森林火災ワールドファイアマップ
 世界でどこかしらかならず燃えてます。


世界でどこかしらかならず燃えている、という
川上さんのコメントは少なからず衝撃です。
森林火災の画像は、赤い部分が燃えているところです。
この範囲は季節ごとに動いていくのだそうです。
今朝もシドニーの山火事のニュースが
飛び込んできたばかりです(12月4日)。
やっぱり燃えているんだ、世界は。

こうやって実際に話をうかがうと
「画像を読む」という作業にワザがあり、
よく読むことによって地球を感じることが
できるんだとわかってきました。

みなさんも、大気のことを
ちょくちょくチェックしてみてください。

news-kun©marsha

EORCの黄砂の詳しい画像説明はこちらのページにあります。
http://sharaku.eorc.nasda.go.jp/ADEOS2/index_j.html


marsha
Special thanks to Dr. Shuji Kawakami (NASDA)

2002-12-10-TUE

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