ITOI
スナック芸大全


50 これはキタナイ!


こんなにキタナイ賭けはない。

だけど、かなりよく出来ているから、
敵ながらアッパレという気分にさせられてしまう。

古典的なサギ師の賭けですから、
知っている人もいるかもしれません。

これは、知っている人は
絶対にやろうとしないゲームです。

だれかが、見事にひっかかるのを、そばでニヤニヤしながら
見ているにちがいありません。

そんなゲームを紹介します。

これから、《大好きな百円玉》というゲームをしよう。

キミは、ただ三回だけ《大好きな百円玉》と
言えばいいんだ。

三回、ちゃんと言ったら、この百円玉はあげるよ」と、
話を持ちかけます。

相手がやる気になったら、じや、
「キミがもし、三回《大好きな百円玉》と言えなかったら、
千円くれるかい?」と言って挑発します。

そして、相手の千円札と、自分の百円玉を
テーブルの上に置いてスタートします。

「このゲームの名前は、何て言ったっけ?」
「大好きな百円玉!」
「あ、あ、このゲーム、知ってたな!?」と
突然叫び、もし拍手が不用意にも
「知らないよ」と答えたら、負けですから、
千円を取りあげてしまいます。

しかし、なかなか用心深い人はいるもので、平然と
(そら、ひっかからなかったぞ、といった顔で)
「大好きな百円玉」と答えたりすることもあります。

そこで、あなたは、「じや、この千円で、キミが、
どうしても買いたいものを言ってくれ」と。

ここで、相手は、苦笑しながら「大好きな百円玉」と言って
百円玉を取ります。
(言わなければ賭けに負けたことになって、
 千円はとられるし、言えば言ったで
 千円は支払わなけれぼなりません)

ねっ、キッタネー遊びでしょう。


イラストレーション:夏目房之介

2001-01-20-SAT

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