ITOI
禁煙のセラピーで一服しよう。
darlingはタバコをやめるのだろうか?

仕上げは眠りのなかだった。

今日のレポートは短いよ。
最後のタバコを吸って、ノンスモーカーへの道、
第一歩を歩み始めたぼくらは、
最後の仕上げ、「リラックス・セラピー」を受ける。

部屋が暗くされ、ぼくと24歳女性は離れた場所に
横になることになった。
くっついていても同じことなのかもしれないが、
やはり男女が隣り合わせに横になるというのは、
風紀としてよろしくないのかもしれない。
まぁ、そんなことは現場では考えもしなかったのだが、
そういうことだった。

ぼくは、正直なことを言えば、
横になれる、寝られる、という喜びを感じていた。
薄暗い部屋で、一層ゆっくり口調になったO嬢が、
暗示をあたえていくらしい。
本格的に眠ってしまったらどうしようと、
ぼくは思っていたのだけれど、
それを見越したかのように、O嬢は語った。
「気持ち良くて、半分くらいの人が
本当に眠ってしまいます。
眠ってしまっても、それはそれで全くかまいません」

ありがたい!
眠らないように努力する必要がないなら、
願ったり叶ったりです。

というわけで、一時間ほど、
ぼくは熟睡した。

「足の指を少し動かしてみてください」
という声が聞こえたけれど、それは、
その催眠セラピーの、終わりの合図でもあったのだった。
「はい、ゆっくりと目覚めます」

なにがなんだかわからないままに、
すべてが終わった。

ぼくと、24歳女性とは、
それから10分もしないうちに、その部屋を後にしていた。

しかし、まだつづく。

2000-04-29-SAT

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