シリコンの谷は、いま。
雑誌の記事とはずいぶんちがうみたいです。

第45回
安いコンピューターをどう使っていますか?



最近は家庭で使われているものと同じような
安いコンピューターをネット企業でも
活用するようになってきたのですが、
それと引き換えに、そこで使われるコンピューターは、
信頼性の高い、企業向けのコンピューターに比べて、
壊れやすいのです。

「そんな信頼性の低いコンピューターなど、使えん!」

と頭ごなしに、こういった安いコンピューターを使うことを
諦めるのではなく、考え方をちょっと変えてみることで、
大幅なコスト削減が可能になるようです。

その考え方とは、
コンピューターは使っているうちに壊れるものだから、
壊れることを前提に全体のシステムを作り上げようという
考え方です。

コンピューターを1台しか使わないシステムであれば、
1台が故障してしまうと全てが止まってしまいますが、
最近は1つのシステムが何十台、何百台といった数の
コンピューターを使って実現されるようになってきました。

そのため、その中の1台のコンピューターが
壊れたときのために、予備のコンピュータをあらかじめ
待機させておくという方法をよく使います。

システムの一部となっているコンピューターはそれぞれ
監視システムが見張っていて、故障と思われる
症状が出た時には、監視システムは自動的に
予備のコンピューターで
故障したコンピューターを置き換えます。

実際になぜ壊れたのか、どう壊れたのかというのは、
後に調べて対策を施しますが、とりあえずは
代わりのコンピューターが動いてくれているので、
システム全体は止まらずに動かし続けることができます。

また、システムの中のある作業を担当する部分を、
複数のコンピューターに任せる場合もあります。

この場合は、作業を頼む側のコンピューターは、
1台のコンピューターに頼らず、その作業を担当する
コンピューターのうち、動いているものを適当に選んで
仕事を頼みます。
コンピューター同士による指示と連携です。

こうすると、例えその中の1台が
故障して動かなくなっても、
その作業は他のコンピューターが肩代わりしてくれるので、
全体としては影響がでないということになります。

この場合も、壊れたコンピューターは
後日修理すればいいわけです。

こういった作り方のシステムでは、コンピューターの故障は
日常茶飯事です。規模が大きいものになれば、毎週とか
毎月どこかのコンピューターが壊れるといった感じです。
もちろん、そんなのが常に続くわけですから、
壊れたといっても、

「壊れたので切り替えお願いします。」

といった感じで対処されます。電球が切れたら取り替える
というのと同じ感じですね。

実のところ、
信頼性の高い高級なコンピューターを使っても、
システム全体を止めることなく
常に動かしつづけるというのは至難の業です。
信頼性が高いコンピューターというのは、
良くある故障のパターンに対して、
うまくコンピューター自身が対処できる
ということであって、ありとあらゆるトラブルに
対処できるほどの信頼性がないことが多いのです。
そして、そういう想定しないトラブルというのも、
たまには起こるものです。

いくらお金をつぎ込んで信頼性を高めても、
完璧というのはどうやら無理なようです。
ならば、そんな信頼性は一切期待せず、安上がりに
作ってしまおうというのも1つの方法かもしれませんね。

上田ガク

2004-05-18-TUE


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