シリコンの谷は、いま。
雑誌の記事とはずいぶんちがうみたいです。

第41回
エンジニアに憧れます。
でも技術の進歩についていくのがたいへんそう



つくづく今の時代は情報化社会だなと思います。
世の中にはありとあらゆる情報が溢れています。

知りたいことがあったら、
ちょっとインターネットを検索すれば、
すぐに知りたい情報が見つかるようになりました。
そんな時代の暇つぶしとして、インターネットで
発信される面白い情報はないのかなと探すことも
よくあります。

ソフトウェア・エンジニアという仕事を職業としていると、
その面白い情報というのは新しく生まれた技術や、
業界のトレンドだったりします。

面白い情報を捕まえるアンテナを張って、
そういった情報を常にキャッチしていくことは大切です。
ある程度新しい情報をフォローしていくことは、
世の中の技術革新にちゃんとついていく上では不可欠です。

まわりを見回すと、僕の周りのエンジニアは、
黙っていてもそういう新しい技術の出現を捕まえ、
常に技術の進歩についていっています。
会社の仕事で使う技術だけを知っているのでは、
次の会社に移る時、
気が付いたら過去の人になっていたなんてことに
なりかねません。

しかし、情報をキャッチすることにのめり込むのも
エンジニアとしては失格なのかなぁと、
シリコンバレーに来てから思うようになりました。

インターネットによって、そういった新しい情報は、
あまりにも簡単に手に入るようになりました。
お陰で新しい技術を追っかけているだけで、
あっと言う間に時間が過ぎてしまいます。
そして、その技術を追っかけている間に、
次の新しい技術が出てきます。
いくらでもそういった情報は見つかるので、
技術やトレンドを追っかけているだけで
満足してしまいがちです。

でも、考えてみれば
エンジニアは、モノを作ってナンボな職業です。
ある程度情報を仕入れたら、
今度は自分で何かを生み出さなければなりません。
そして、できればそれは、人の考えたことの
受け売りであってはイマイチです。
知識を得るのは、新しいものを生み出すための
材料でしかありません。

僕が一目置くエンジニア達は、
新しいものをよく知っていると同時に、
必ずそれに対する自分の考えというものを持っています。
それは他人の意見ではなく、他ならぬ、
そのエンジニアの考えです。

実際に「この技術ってどう思う?」と聴くと、
十人十色の返事が返ってきます。
みんな言うことはバラバラなので、
他人の意見の受け売りではないことは確かです。

誰もがいつも鋭い意見をもっている訳でもありませんが、
何人かでこういった話をしていると本当に楽しいのです。
そして、このようにみんなそれぞれ
一家言持っているというのが
重要なことではないかと思うのです。

自分の考えを持つというのは勇気のいることですが、
ここでは、それが間違っていたり、
その考えがよくまとまっていないからといって、
頭ごなしに否定されて打ちひしがれることは
あまりありません。どんなことを言っても、
誰でもちゃんと聴いてくれるものなのです。

自分の考えを人に話すことで、理解が進んだり、
まだ良く分かっていないということに気づいたりします。

新しい技術やトレンドを追うのは、考えるための
エネルギー補給のためであって、エンジニアとしては
トレンドを追うことが目的となるような
本末転倒の状態になってはいけないのなと
改めて思うのでした。

上田ガク

2004-04-13-TUE


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