シリコンの谷は、いま。
雑誌の記事とはずいぶんちがうみたいです。

第8回
お昼休みは1時間ですか?



お昼の12時になるとチャイムがなって、
「そろそろランチ行きますか?」
というのが僕が大学生の頃
アルバイトしていた会社のお昼休みの風景です。

12時から1時が休み時間で、
ランチを終えて戻ってきたら
1時までは仕事をせず休憩、というのが
普通の過ごし方だったように思います。

別の会社では、昼休みが50分とちょっと短い
代わりに、3時ごろに10分のおやつ休憩(?)
があったりもしました。

日本向けのインターネットサービスの
時間帯別利用頻度のグラフなどでは、
やはり12時〜1時の時間帯に急激に利用者が
増えています。食後のひととき、
「ほぼ日」を読んだりするのも良い過ごし方でしょうね。

さて、シリコンバレーのネット企業の
昼休みの過ごし方はどうなのでしょうか?

あまり「昼休み」ということを気にしたことが
なかったのですが、まずチャイムは
なりません。多分チャイムが鳴ったら、
避難訓練かなにかだと思われてしまうでしょう。

そして、12時から1時が休み時間だという
意識自体もほとんどの人は持っていないでしょう。
もしかしたら、そういうルールが
ないかもしれません。

大部分の人のお昼の行動パターンは、
食堂の混み具合にどう対応するかによって
決まっているようです。

以前紹介した、プロデューサーの人たちは、
ミーティングの機会の多いせいもあり、
混雑は覚悟の上で時間通り12時過ぎには
ランチをとっています。時には、テイクアウトにして
自分の席に戻って仕事をしながらランチを
慌しくとっているのを見かけます。

一方のエンジニアは、仕事自体にあまり
時間的制約がないこともあって、大抵は
食堂の混雑のピークを外して食事にいったりします。
僕の場合は、自分の仕事の切りのよいところでいくので、
毎日昼の時間はまちまちで、
早く行くときもあれば、2時を過ぎることもあります。

僕に限らず、エンジニアはあまり食事時間は
気にせず、ランチで話が盛り上がれば
1時間以上のかかるときもあれば、
食べるだけで30分やそこらで戻ってくることも
あります。

戻ってくれば特に休憩をすることなく、
仕事に戻ります。

決まった時間を休みにしないかわりに、
仕事が煮詰まった時や、集中力が切れてきたら、
チームの同僚の席にふらーっと行ってみます。

本当に他愛も無い雑談のこともあれば、
技術的な話の雑談のこともあり、そんな話で
気分転換をします。

技術的な雑談は、
「最近こんな面白いサービスを見つけたけど
 知ってる?」
とか
「社内のなんとかプロジェクトで
 こんなことやってるんだって」
などという話ですが、
これが意外に仕事に役立つことも多いのです。

エンジニアの仕事は自分の作業だけに集中していると、
つい狭い物の見方になってしまいがちです。
また別のプロジェクトでも同じような問題に
直面していることも多いので、こういう雑談で
解決のヒントが見つかることもあるのです。

2人で始まった雑談が周りの人を巻き込んでの
議論になって、気がついたら1時間、
2時間経っていたなんてこともよくあります。

「仕事に戻りますか」

というのが、雑談の終わりの決り文句で、
「さて仕事するか」という気持ちになるので、
雑談は厳密な意味では
仕事ではないのでしょうけれども、
真面目にマシーンのように働いていると、
ちょっと損してしまいそうです。

仕事時間は仕事時間、休み時間は休み時間と
きっちり分ける方法もありますが、
調子の出ないときに、
いくら仕事をし続けても
いい結果はなかなかでませんし、
雑談が時にして大きな価値を持つ事もあります。

堅いことは言わないから、まあ適当にどうぞ、
というのがこちらのスタイルでしょうか。

上田ガク

2003-10-07-TUE


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