シリコンの谷は、いま。
雑誌の記事とはずいぶんちがうみたいです。

第7回
会議で寝ちゃったら大変?



これは僕がシリコンバレーに来て
間もないころのことです。

僕は前日、夜更かしをしてしまったため、
眠い目を擦りながら出勤をしました。

昼食後でのミーティングでふわぁーと
いい気持ちになり眠気に襲われました。

ふと気がつくと、みんなが笑っています。

「ガク、寝てただろう!(笑)」と。

そ、そんな声を出して笑うことじゃないだろう?
と内心思いつつ、ちょっと恥ずかしい思いをしました。

しかし、振り返ってみれば、
会議中に寝てしまうのは、
かなり大胆な行動だったのかもしれません。

そうなんです。
ここではミーティングでは
眠ったりはしないものなんです。
確かに僕はこちらに来てから
ミーティングで眠ってしまった人は
見たことがありません。

僕は大体週に1度、1時間ぐらいの
チームミーティングに出ます。

ミーティングする会議室には、
片側に5人ずつ、そして両端に1人ずつ、
大体12人ぐらいが座れる
大きなテーブルが1つあります。

大体会議の人数は5人〜10人ぐらいで、
チームミーティングでは
主に進捗報告をするのですが、
どちらかといえば上司に進捗報告をするというよりも、
チームの仲間に

「先週はこういうものを作ったんだけど、
 なかなかうまく出来て、
 たとえば、この機能を使うと、
 ほら、すごいでしょ?」

というように成果を発表する場
のようになっています。
困っているところがあれば、

「この部分をユーザーにどういう風に見せるか
 考えたんだけど、うまい方法が見つからなくて
 困ってるんだけど‥‥」

といったように言うと、
そこから色んな意見が出てきて
議論になるという流れになります。

眠くならない理由は
そこにあるようです。

ミーティングは常に、
発言者と残り全員との間のやり取りなのです。
発言者が上司に向かって報告をすると、
残りの人たちは話を聴く聴衆になってしまいます。
自分に関係ない話はつまらなくて、
つまらないと眠くなるのは当然の成り行きです。

大体のミーティングではミーティングに参加する人に
順番に発言する機会が与えられています。
一人ずつ順番に発言し、それに対し、
みんなが意見を出すということを繰り返し、
一周したらミーティングはおしまいです。

逆を言えば、
発言をしない人はミーティングに
参加しなくて構いません。
もちろん話を聴きたいなら
参加するのは自由なのですが、
眠くなるぐらい興味がないなら、途中で

 「僕にはあんまり関係ないから、失礼」

といって出て行ってしまいます。

途中で出て行ってしまったり、
ミーティングに来ないのは、
上司にだって同じで、みんなで適当に決めといてと
意思決定に関わる必要がないと思えば、
形式的には呼ばれている上司も
会議には来ません。

悪いところを挙げるとすれば、
議論が沸騰すると、話が脱線しがちであることです。
小さなことに熱くなってしまい時間を使ってしまって、
ほかの大事なことが話せなくなったり、
また後で個別に相談しましょうと
先送りになったりすることもよくあります。
(その後で個別にというのは
 忘れられてしまうこともしばしば)

あるチームの成果発表というような形の、
発表者数人、聴衆多数の一方通行的なミーティングは
すべて自由参加で、自分の仕事に役立ちそうだとか、
ただ単に興味があるなら参加をすればいいし、
そうでなければいかなくても構いません。

そうそう、
最後にこちらで見ないもの、
それは真ん中に空き空間のある
「口」の字型にテーブルを並べた会議室。

なぜか?

多分話がしづらいからでしょうね。

上田ガク

2003-10-03-FRI


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