YAMADA
はじめての落語。春風亭昇太ひとり会

第4回 落語家どうしの話。



糸井 落語家さんどうしっていうのは、
ふだん、会うんですか?
昇太 ええ、会いますよ。
仕事場で会ったり、寄席以外でも、
ただほんとに飲みに行ったりとか。
糸井 はぁ〜。意外と横のつながりが。
昇太 ありますね。
糸井 落語の人どうしは、会うと
やっぱり落語の話をするんですか?
昇太 組み合わせとして両方ありますね。
まったくしない人もいますし、
この人とだったら、必ず最終的には
落語の話になるって人もいるんです。
志の輔さんなんかと話すときはもう、
最後は落語の話ですよ。
糸井 なるに決まってる(笑)?
昇太 はい(笑)。
最後には、まず落語の話になってる。
いっしょによく旅行に行くんですけどね、
行くときは「落語の話ナシな」って、
志の輔さんは言うんだけど、けっきょく、
ホテルでふたりで飲んでると、
最後は落語の話で終わると(笑)。
糸井 一般的にいえば、
それは仕事の話ってことだよね。
だから、すごい堅物どうしみたいなもんだね。
旅行に行っても仕事の話をしてるっていう。
昇太 そうですね(笑)。
糸井 じゃあ、さっき言ったような、
何回も同じ演目を同じ場所でやれば、
お客さんが入れ替わるんじゃないか
みたいな話は、
もうとっくに出てるってことですよね。
昇太 ええ。あと、ま、その、
「いまの落語界の悪いところはここだ」
みたいな話は、
毎回おんなじことしゃべってますね。
だからもう、確認作業みたいな感じですよ。
今日の確認をそろそろ始めます、
みたいな感じで(笑)。
糸井 指さして(笑)。
昇太 そうそうそう。
「ここが問題ですよね」って。
指さし確認なのに、
2時間ぐらいやりますからね(笑)。
糸井 で、楽しいんでしょ?
昇太 もうそれはそれで楽しいですね(笑)。
やっぱ好きなんですね、落語が。
糸井 好きなんですねぇ〜。

昇太 で、そういう話がまったくできない
落語家の人もいるわけですよ。
糸井 落語をやってる人なのに。
それは、なんなんですか?
年齢に関係ありますか?
昇太 いや、年齢に関係なく、
意見を確認し合えない人は
やっぱりいるんですよ。
糸井 わかんないもんですねぇ。
だって、落語っていう変な道に、
わざわざ入った人でしょう?
だけど、落語の話ができないって場合はあると。
昇太 ええ。ん〜、ま、いろんな人がいるんですけど、
たとえば、落語家になった時点で、
もう夢が成立しちゃってる人もいるわけですよ。
糸井 ああ、そっか、そっか、そっか。
落語家になったっていうことで、
自分の名刺ができてしまうと、
もう、満足しちゃうわけだ。
昇太 ええ。もう、しあわせです、っていう。
「私、なんとかなんとかでございます」って、
言ってるだけでしあわせ、みたいな。
家に帰って箪笥を開けると着物が入っていて。
明日の着物はこれにしようって言って、
もう、うれしい人もいるようなんですよ。
で、そっから先へはあまり進まないという。
糸井 そういう人の数が、じつは多いんですか。
昇太 多いのかもしれないですねぇ。
(続きます!)

2004-08-09-MON

HOME
戻る