SOFTWARE
シェアウェアは
ひょっとすると
デジタルユートピア
かもしれない。

シェアウエア作家に聞いてみよう
-ドメスティック編 その2

さて、前回の相沢さんの呼び掛けに呼応して、
このコンテンツあてに回答を寄せてくださった方々を
御紹介していきましょう。

今回御紹介する方は、
御自身を特定できる形での掲載は
NGとのことでしたので、残念ながら、
ソフト名なども紹介することができませんが、
作家の方の考えなどをじかに知ることは
なかなかできないので、
名前を伏せて紹介させてもらうことにしました。

(1) いつ頃からプログラムを書いているのですか?
きっかけなど交えてお教えねがえませんでしょうか?


14〜15歳頃より。

(2) あなたのシェアウエア作品は
いつ頃製作されたものなのでしょうか?

約1年半前

(3)製作にはどの程度の時間がかかるものなのでしょうか?

構想、プログラム、デバッグ、公開まで、約3ヶ月。

(4)ふだん、シェアウエア関係の作業に
どのくらいの時間をかけるのでしょうか?
そのなかでも時間がかかるものっていうのは
どんな作業ですか?


公開後のサポートは週の合計でに1、2時間程度。
(送金数がそんなに多くないので)
送金メールの確認、登録キーの発行等、
ユーザー管理がほとんどです。

(5)製作なさったソフトをシェアウエアに
しようと思ったのはなぜでしょうか?
フリーウエアではなくて、 シェアウエアにしたのは
何故なのかという点についても
教えていただけますか?


フリーで流すと本当にどの程度使われているのかが
全くわかりません。
送金数から実際の使用状況を予測することができます。

(6)ソフトウエアの価格をおしえてください。
また、その価格はどのように決めたのですか?


¥500です。
(5)でお答えした通り、
普及度を知る目的のみでしたので公開前は
¥100程度に考えていましたが、
ニフティサーブの送金代行の設定最低額が
¥500でしたので、仕方なく最低額に設定いたしました。

(7)本当はズバリ
いくらくらいの利益があがっているのか
教えていただきたいのですが、
ムリなときは、比喩的な表現で構いませんので、
このシェアウエアをつくって 、
あなたのフトコロに入ってきた
金銭的なことをおしえていただけませんでしょうか?


個人がシェアウェアで
生活できるだけの収入を得ることは非常に難しいのが
実状です。
日本では数人しかいないと言われています。
私は小遣いを稼ごうとすら思っていません。
では今までどれくらい「儲かった」かというと、
せいぜい開発用のプログラム言語を
バージョンアップできる程度です。

(8)インターネットでのシェアウエアの
送金が可能になってから、
全体の送金に関しては増加しているのでしょうか?


ニフィティサーブ及びベクターから送金可能です。
すべてがネットワークを介した送金です。
郵送、振り込み等は受け付けていません。

(9)ユーザーからのメールは結構頻繁にくるものなのですか?
その主な内容はどんなものなのでしょうか?


わずかながらユーザーの方からメールを頂きますが、
不思議なことに肯定も否定もされたことがありません。
ごく普通の事務的な内容です。
感想が聞きたいとは思うのですが、
送金して下さった方々ですから
悪くは思っていないのではないかと(笑)。

(10)シェアウエアにお金を払わずに
使いつづける人が中にはいると思います。
「ソフトに仕掛けをしてあるから、
はらわないのだったら使えなくなっちゃうから」
という観点からではなくて、一般的に、
そういう「悪いひと」について
シェアウエア作者としてはどんな感想をお持ちですか?



シェアパスのゲリラ的な公開は言語道断だとは思います。
また、私のソフトにも未登録者に対する
機能制限が組み込まれています。
しかしながら未登録のまま使い続ける人が
「悪い人」だとは思いません。
私自身、「これは使える」と思った物にしか
送金はいたしません。
どんどんバージョンアップして欲しい物、
ずっと使い続けたいと思う物については送金します。
シェアウェアの作者とユーザーの「信頼関係」とは
そういう成り立ちと認識していますし、
私も私のユーザーにそれを望みます。
「送金してでも使いたい」とまで
思ってくれたならそれはとても嬉しいことです。

(11)市販ソフトに対して、シェアウエアが
勝っているなと思う点はどんなところがありますか?
使用者の私なんかだと、
良く分らない使い方を直接作者に気軽に聞けたりし
てべんりだな〜と思うのですが、
作者の方からみるとイカガナものでしょうか?


全く同感です。
特に私の場合はユーザー数も少ないので
きめ細かなサポートができること。
私自身も他のソフトのユーザーですし、
ネットワークで流通する事を前提としているため、
不良個所の修正も迅速に、
頻繁に行うことができるのは嬉しい限りです。
(回数が増えてもコストがほとんどかからないため)

(12)シェアウエアを作っている時に
ウレシイことって何ですか?
逆にツラい事ってどんなことですか?

送金数そのものが、
私の作品を認めてくれた人の数に比例するわけです。
どんな形であれ、自分を誰かに認めてもらうのは
嬉しいことです。

辛いこと...毎年の確定申告が面倒で(笑)。
そろそろその季節ですねえ。

(13)まだ、書き足りないことなどありましたら、
御自由に書いてください。


個人のシェアウェアが事業として成立するほど
日本のマーケットは大きくないようです。
協会(編集部註:シェアウエア作家協会)
のメンバーの話を聞いておりますと、
私と同じような考え方、お金儲けよりもユーザーからの
反響を得るために続けている方が多いようです。
私はそれもまた一つのシェアウェアの形だと思っています。


以上が、ある作家の方からいただいた回答でした。

ユーザーの人々にアンケートをとったときも
そうなんですけれども、シェアウエアに
送金をするか、しないかということに関して、
「使えるものには」というシビアな意見を良く聞きます。

市販のもの何につけてもこんなかんじには行かないですね。
良くしらべて買ったつもりでも
う、やっぱ「つかえん。」とおもったところで、
代金たあとだから、ぶ〜ぶ〜文句をいっておわってしまう。

この、シェアウエアの「よ〜く吟味してから」という
システムっていうのは、必然的に作者の方が、
「ソフトウエア」をバージョンアップしたりする
ための心持ちのエンジンになっているのではないだろうか?
と、そのように思った。

そして、ソフトをつくるのは
「自己表現」の一つの方法でもあるんだなあ。
ちょっとちゃんとそのへんをわかっていなかった。
シェアウエアというシステムが
代金を要求しているわけであって、
作者にはその意図はなかったりもするわけだ。

と、いったところで、
次回もまた、シェアウエア作家の方に登場いただきます。

1999-03-14-SUN

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