あまりにも強い日差しが毎日降りそそいでいるので、
何かを干そうと思った。
妻の伊藤が何度か魚のひらきを作ったことがあり
(完全に彼女の逃避めしであった)
その時の「干物用網」がある。
魚か、それともキノコか、野菜か、いろいろ考えたのだが、
肉を干してみることにした。

干し肉、その響きは男のロマンだ。
そう感じるのは私だけだろうか。
荒野を旅する男のカバンには、常に干し肉が入っている、
というなんだかよくわからないイメージがある。
肉はなんでもよかったのだが、牛肉にしてみた。

【材料】
・牛肉(切り落とし)
・醤油、砂糖、塩
・玉ネギ

塩胡椒でもよかったが、干しあがった肉で
肉豆腐を煮てみたいイメージがあり、
甘じょっぱい味にした。
醤油に塩をさらに加えたのは
もちろん腐敗防止のためである。

味をつけてしばらく冷蔵庫で寝かせ、
皿にきれいに並べて干し網に入れ、
直射日光がガンガン当たるベランダに干した。
いい風も吹いている。
夜は一雨来そうだったのでとりいれ、
ひっくり返して室内干し。
翌朝2、3時間日に当てて、干しあがりとした。
からからに乾いた小さめの肉片をおそるおそる噛んでみる。
相当に塩辛いがいやな味はしない。成功だ。

玉ネギ薄切りとともに干し肉を煮た。
入れようと思っていた使いかけの豆腐は腐っていたので、
牛皿に路線変更したのである。夏だ。
味つけは干し肉についているものだけ。
「‥‥ンマーイ!」
妻が藤子不二雄A先生の漫画のような声をあげた。
牛の味が濃い!
牛肉の味ではあるが、明らかにうまみが濃くなっていた。
固いが、噛めば噛むほど甘じょっぱさと肉の味が
口中に広がり、少量の肉でもすごい満足感があるのだった。
おつゆがまたいい味出てる! のであった。

2010-07-29-THU
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