肉まんをテーマにしてみようと思って、
自分の漫画『一生懸命機械』の中の
「まん暖器の無謀」というエピソードを確認していて、
「‥‥これは“暖”ではなくて“温”が正しいよな‥‥」
と、気づいた。
「まん暖器」というのは業務用の
「中華まん蒸し器、保温器」のことを呼んだ造語である。

いやいや、待てよ。
たしか、まん暖器については、
「マンオンキじゃ語感が悪いからマンダンキにしたい」
という考えがあったような気がする。
「食べ物だけじゃなく、まわりの空気や雰囲気も
暖かくするのだから、暖でいいんだ」と。

だがやはり「暖かい食べ物」「食べ物を暖める」は
ありえない。
ネーミングに準じて、
作品内ではすべて「暖」という字を使っていて、
今見ると非常に違和感がある。
当時(十数年前だ)気づかなかったか、
気づいてるけどまあいいか、ということにしたのか、
まったく覚えていない。
「温かい」との混在を避けるためだったとしても、
「あたたかい」とひらがなにする手があったのに‥‥

気をとりなおして肉まんの中身を作ってみよう。
市販の肉まんの原材料表示を参考に、材料を用意した。

【材料】
・豚ひき肉
・タケノコ
・ネギ
・干しシイタケ

中身を意識して肉まんを食べてみると、
タケノコがもう一人の主役であることに気づく。
肉タケノコまん、といってもいいくらい。
タケノコは肉と同量。
ネギ、干しシイタケは少なめにしてみた。
醤油、酒、みりん、砂糖、胡椒、山椒ごく少量、昆布茶。
最後に水とき片栗粉でとじて、ゴマ油をたらした。

マントウがわりのご飯にかけて食べてみたら、
自分でもおどろいたことに、
しっかり肉まんっぽい味がする。
砂糖をやや多めに入れたのと、昆布茶が効いたか。
あるいはこの具の組み合わせが黄金比なのか。
肉まんの中身を再現できた喜びで、
「暖」ショックからあっという間に立ち直れた気がします。

2008-11-20-THU
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