SAY HELLO! あのこによろしく。
5通のメッセージ。
『Say Hello! あのこによろしく。』
“刷りたての1万冊”にとどいた声。──その2


『Say Hello! あのこによろしく。』
“刷りたての1万冊”の発送は、
昨日11月29日、いい肉球の日(勝手に命名!)に
すべて完了いたしました。
国内外にお送りした1万冊。
きっといまごろ、たくさんのかたのところで
読まれていると思うと、とてもうれしく思います。

感想も、たくさんいただいています。
どうもありがとうございます!
前回、このページを更新したあとにも、
読んでくださったみなさまから、
ほんとうにたくさんのメールをいただきました。
この原稿を書いている最中にも、何分かにいちど
メーラーの「受信」ボタンをクリックするたび、
「ハロー!」というタイトルのメールがはいります。
ほんとうはすべて紹介させていただきたいくらいなのですが、
きょうは、そのなかから、5通だけ、
ご紹介したいと思います。
途中で言葉をはさむのも野暮な気がします。
5通、続けて、どうぞ。


=

【感想文】
 私は涙もろい方なので、
 よく泣いてしまうのですが
 この本には本当に心から感動してしまいました。
 はたから見たら犬の写真集のように
 見えるのでしょうが、
 この本は中から輝いていると思いました。
 最初はただ、可愛いなと思って見ていましたが、
 仔犬たちがスクスクと大きくなってゆくにつれ、
 どんどん本の中に入り込んでしまいました。
 最後の方になって涙が止まらなくなりました。
 涙・涙で見る仔犬たちの顔があまりに幸せそうで、
 泣きながら笑顔になりました。
 泣きながら笑顔になれるなんて、不思議な本です。
 まさに、魔法の本ですね。
 感動と生きるヨロコビをありがとうございました!
 
上の感想文は、中3の長女が書いたものです。
私が買って、読んでごらん、と言って渡したところ、
涙をボロボロこぼして
鼻にティッシュを詰めながら読み終わり、
「感想文を送りたい」と言って娘が書いたものを、
私がタイプしました。

おなかの中で仮死状態になり、
緊急帝王切開で生まれてきた娘。
それは一昼夜陣痛に苦しんだ挙句の出来事で、
私は手術台の上で泣きながら震えていました。
今まで私がしでかした悪さ、すべての報いが、
この子に降りかかってると思って
心の底からいろんな人たちに詫び、神様に祈りました。

何とか無事に生まれ、成長し、
こうして私と同じ本を読んで
同じ涙を流せるようになった娘‥‥。
ルーシーが生み育てていく物語の中に、
そんな私の十数年が凝縮されているようで
私も本を読みながら泣いてしまいました。
毎日、ああしろこうしろと娘に口やかましく言う私ですが
娘が私の娘として、傍にいてくれることの嬉しさを
本を読んであらためて感じています。
ありがとうございました。


=
朝、インターホンで起こされた。
「来た、来た‥‥」
出てみると思ったとおり『Say Hello!』。
受け取って丁寧に箱から取り出して、
パラパラとページをめくってみる。
そこにはきっと妻が喜ぶだろう
可愛らしい子犬たちの写真に溢れていた。
先に読んでもらおうと
半年前にくも膜下出血で急逝した
妻の遺影の前に本を置いた。

無類の犬好きだった妻。
マンションでゴールデン・レトリバーを飼っていて、
その大変さも充分わかっているにもかかわらず、
2匹目の犬を飼いたいとキャバリアを家族に加えた妻。
僕が反対しなければ、
3匹目を飼うことも厭わない妻だった。
そんな妻が好きだったジャック・ラッセル・テリアの
『Say Hello!』。
生きていれば、内緒でこの本を買って
妻を驚かすことが出来たろう。
喜ぶ妻の顔が目に浮かぶ。

妻の目になったつもりで
1ページ1ページを丁寧に見ていく。
「うちのワンコたちもこんなんだったねぇ」
「うわぁ見て見て、こいつら可愛いなぁ」
「うちのワンコらとまた旅行に行こうね」
「わたし、こんなん弱いん」
「むかしわたしが飼っていた犬はね‥‥」
「うちのワンコのお母さんに会いに行こうか」
‥‥見ているだけで妻の言葉や表情が次々と浮かぶ。

一緒に生きてたんだなぁと、
かたわらで寝そべる二匹のワンコを見ながら、そう思った。
とにかく今は一人と二匹の毎日を、
妻を思いながら過ごしていこう。
ようやくそう思えるようになった、晴れた秋の日。


=
わたしのあのこは、こころのなかにいます。
今年の6月17日、遠いところにいってしまいました。
5月に大手術をして、
飼い主さんから
「もう、すっかりよくなったんですよ」と聞いてから
一週間後くらいに、急にいってしまいました。
大きなオスのハスキー犬で、おっとりしていて、
寂しがり屋で、甘えんぼうで、人なつっこくて、
とってもとってもかわいい子でした。
9年くらいの日々、通りすがりに挨拶したり、
なでくりまわしたり
あたり前のように毎日すごしていました。

「SAY HELLO! あのこによろしく。」の連載中にも、
「なんでもない瞬間が
 いちばん大切なんだと思いました。
 あたりまえにある日常が
 とてもシアワセなんだと思いました。」
この言葉が一番こころに響きました。

『Say Hello! あのこによろしく。』のことばを
読んでいくにしたがって、
遠くに暮らしている兄を思いました。
小さいころ一緒に遊んだり、
けんかしたりしたことを思い出しました。
今年の9月、事故にあって左腕を切断してしまい、
今不自由な生活をしています。
「あたりまえにある日常がとてもシアワセなんだ」と
つくづく感じます。
両手があって、ふつうに使えるのは、
本当にシアワセなんだと。

「ルーシー」が子どもたちを育てている姿を見て、
母に感謝したい気持ちになりました。
冬、たらいで何枚ものおしめを洗ってくれたこと。
愛情を持ってしかってくれたこと。
大切に育ててもらったことを感謝します。


=
先日、本が2冊届きました。
実家の家族への一冊はクリスマスまで大事に保管。
早速自分用の一冊を開けました。
出かける前に、ちょびっとだけ読むつもりが
あれよあれよと最後まで。
絶対泣かないと思ってたのに
途中から‥‥‥‥涙で読めませんでした。
いろんな思い出が急によみがえってきたのです。

俺の実家は北海道のど田舎です。
家畜をキタキツネから守る為に、
常に数匹の犬を飼っています。
物心付いてから、家をでるまで、
ずーっと犬と暮らしてきました。
数えきれないくらいの出会いと別れがありました。

最初に飼っていたタメジはヨボヨボのおじいちゃん。
癌に犯され、毎日苦しんでいました。
見ていられなくなった両親は、
楽にしてあげようと保健所につれて行きました。
俺も小さいなりに‥‥
その方が良いのだと自分を納得させていました。
その半月後、彼は保健所を逃げ出しました。
病気で今にも倒れそうな体を引きずり
数十キロの道のりを歩き
家に帰ってきました。
泣きました。家族みんなで泣きました。
彼は数日後、自分の家で亡くなりました。

チビと言うメス犬もいました。
彼女は毎年必ず子供を産みました。
その度に喜び、名前を付け、
日が暮れるまで遊んだものです。
もらわれてった子供たち‥‥
今はもうおじいちゃんなんだろうなぁ。

チビと兄弟のケン太は男の子。
チビよりもたくましくって小さい頃は恐かったなぁ。
でも一番仲が良かったのもケン太だった。
進学で家を出てしまって、
最後には立ち会ってあげられなかった。
メールで彼の死を知った時は、悲しかったな。

でっかくて恐いアサ。最後まで近くにも寄れなかった。

家畜に手を出してもらわれて行ったコロブチ。
やんちゃ坊主の暴れん坊。

誰にでも愛想を振りまく八方美人の男の子マル。

ハスキーのクォーター兄弟、チョコとチビ太は元気かな。

まだまだ書ききれないくらいの出会いと別れがあって
彼等から本当にいろんなものをもらった。
でも、すっかり忘れてたんです。
すっかり忘れてた。
忙しさと、都会の雑踏に揉まれて
知らないうちにこころの中がポッカリ空いてた。
田舎の日々は無いものになってた。

俺はあそこで、彼等と育ったんだ。

そんな事を、急に思い出したんです。

帰って来た時のタメジの顔。
チビの子供達。
アサに噛まれて死んじゃった子もいたっけ。
あれからますます近寄れなくなったんだよな。

本が届いてから2日で、もう5回くらい読んでる。
その度にひとつずつ思い出す。
この本、俺にとっては原点に帰る為の本だったんですね。
もう一度足下を見直してみよう。
自分の根っこを。
うっしゃ! 田舎もんは頑張るぞー!
都会っ子なんかに負けるもんか!


=
届いた日に4人の子供達に読ませました。
今、荒れている中2の息子が
この本を読んだ後走ってトイレに駆け込み
声を出して泣いていました。
嬉しくてぎゅっと抱きしめてあげたら
久しぶりに私の胸に帰って来たようでした。



みなさま、ありがとうございました。
ひきつづき、どうぞ、声をくださいね。
こころから、お待ちしています。
では、また、次回。

2004-11-30-TUE
       
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