読みかえす
「今日のダーリン」
2004/01/31
今週も、毎日更新された
「今日のダーリン」の中から、
主なものを、見逃したという方のために、
いくつか、おとどけいたしますよ。


1月24日

【いい料理人というのは、色事師だ】

「秋も春も、夏もいいのだけれど、
 冬は、いろんなものが
 いちばんおいしいかもしれない。
 料理をつくる店の
 ご主人の顔が思い浮かびます。
 その、
 『手ぐすね引いて待っている』
 という表情が、
 もうすでに、うまそう。
 顔においしさが出ている、
 これでどうだ、これはどうだ、
 と出される献立に、
 『もう、わたしを好きなようにして』
 と、からだを
 投げ出したくなるのであります。
 いい料理人というのは、色事師です。
 人のこころとからだを、
 いいように玩びます。
 玩ばれたいのが、
 人間なのかもしれません。
 それは、プロ中のプロのような
 スポーツ選手が、
 夢のようなプレイを見せて、
 観客を我を忘れた状態にしてしまうのと、
 同じようなものかもしれませんね。
 いわゆるその、
 ファンタジスタっていうの?
 マッサージとか指圧の先生も、
 人間まるごと玩びやがりますよねぇ。
 『一生、もまれていたい』
 とさえ、思うものね。
 いろんな職業別に、有名無名の、
 たくさんの
 ファンタジスタがいるんだよなぁ。
 それはそうと、焼きフグかなぁ、
 すっぽんかなぁ。
 唾液腺が、
 熱を持ってきてる感じです」


1月25日

【不安がないと言えばウソになります】

「ヤクルトにいた高津投手は、
 記者会見で言った。
 『不安がないと言えば
  ウソになりますが』と。
 ということは、
 不安は、あるということだ。
 記者会見で
 『不安がありますが』
 と言っているのか?
 よくよく考えると、
 やっぱり、そう言っているのだ。
 つまりは、
 『不安がありますが、
  乗り越えてがんばります』と、
 言っているわけだ。
 あらためて考えてよかった。
 いままで、ぼくは、
 『不安がないと言えば
  ウソになりますが』という言い方を、
 勝手に
 『不安はあんまりないです』
 という意味に
 受け取っていたのだった。
 どうも、それはちがっていた。
 たくさんの不安があるからこそ、
 わざわざ不安について語っているのだ。
 ぼくは、そこに気づいてなかった。

 ものすごく不安のある状況に向かって、
 たとえば、今回の高津投手は、
 出発するのだ。
 おそらく、
 松井稼頭央も、そうだったろうし、
 これまでに海を渡っていった選手たちは、
 みんな
 『不安がないと言えばウソになる』、
 つまり、『とても不安な』気持ちで、
 メジャーリーグに移籍していったに
 決まっているのだと、
 いまごろ、気がついたのだった。

 ぼくらは、プロの優秀な選手たちのことを
 自信満々で、軽々と
 素晴らしい成績を残している人たちだと
 勝手に思い込んでいるけれど、
 そんなはずはないのだ」


1月26日

【企業も小さくする時代に】

「このところ、松浦元男さんという
 『世界一の中小企業』の
 社長さんの本を読んでいる。
 この方の会社は、
 『100万分の1グラムの歯車』をつくって
 世界的に有名になった。
 あんまり小さいので
 『パウダー・ギア』と言われている。
 ほんとうに、粉のような部品なのだ。
 現在、まだ、この歯車を使うような
 機械はないのだけれど、
 いつでも
 量産可能というものなのだそうだ。

 松浦さんの著書の一冊は、
 タイトルから思いきりがいい。
 『先着順採用、会議自由参加で
  世界一の小企業をつくった』
 というのだ。
 もともとバンドマンでも
 あったという人だけに、
 いまの日本では当然のように
 思われている価値観に対して、
 コノヤローという気分に
 満ち満ちているのが小気味よい。
 零細企業経営者でもあるぼくは、
 本を読みながら、
 ずっと心のなかで拍手をしていた。

 松浦さんとの共著もある方で、
 中小企業代表のようにあちこちで
 紹介されているもう一人、
 岡野雅行さんという人が、
 これまたすごい。
 この方は、旅先で見た
 テレビ番組で知ったのだけれど、
 『痛くない(ほど細い)注射針』
 をつくっている。
 この人の会社なんて、6人ですよ。
 6人で、
 意地と度胸とプライドと技術と人情と‥‥
 そういうもののかたまりみたいなもので、
 突っ張ってやってます。
 『俺が、つくる!』という本があります。
 こちらには、
 ややベランメー調の愉快もあります。

 国際標準だとか、リストラだとか、
 くそくらえって感じ。
 アメリカ型のルールに、
 むりやり合わせながら
 どんどん世の中を世知辛くしていく
 大企業ってのは、
 『どうも、ちがうんじゃねーか?!』と、
 みんな、このごろ
 気づきだしてると思うんだよ。
 ぼくは、機械を
 『小さく』してきた歴史にならって、
 企業も、『小さく』していく
 時代なんじゃないかと、
 思っているんですけどねー」

2004-01-31-SAT


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