オトナな会話(仮)
さくらももこ×糸井重里の対談です。

その14
この人間の、システムってやつにねー。


糸井 「ほぼ日」に
よしもとばななの連載があるんだけれど、
これがね、ばななさんの
今まで持ってない面を
出してほしかったっていうことでもあるし、
本人も、こういうのでよければ
やりたいんだけど、っていうので、
見本を書いてきたんですよ。
これがね、爆笑なんですよ。
あいつさ、“そこにいる人”としては
爆笑もののセンスの人じゃないですか。
さくら そうそうそうそうそうそう。
糸井 ただ、今までそれは、
仕事にしてなかったんですよね。
笑わせてなかったんですよ。
今回ね、笑わせてるんですよ。
やっぱりね、人を笑わせるって、
運命だと思うんですよ(笑)。
さくら そうなんですよね。
でも、私はべつに笑わそうとか
思ってなかったんですよ(笑)。
糸井 そうか‥‥そうだよね、
なんか潔い心で
サバイバルにも行ってるんだよね。
さくら そうですよ! ほんと、潔く(笑)。
人としてのこころざしみたいな。
こうじゃなきゃ! みたいなね。
糸井 でも、おおもとは、
手品のタネを見たいみたいなとこでしょ?
ほとんど俺、変わんないと思う。
さくら ははははははは。
糸井 だって、その話聞いたときにさ、
目玉のところはやっぱり、
ジャガーに触るっていう
ことじゃないですか(笑)。
すっばらしい説明もできるし、
単なる弥次馬な考えと、両方あって。
僕の憧れの、陰陽なんですよ。
つまり、色即是空ですよ。
さくら ‥‥色即是空!(笑)
糸井 もう、超存在。
で、もうこんっなに
俗なことはないだろうっていうのは、
人が生きてるっていうこと
そのものですから。
さくら そうですねぇ。
糸井 腹が減っただの、
ションベンしたいだのね。
で、俺、ついこないだ言ったことでね、
トイレから帰ってきてね、
ふと思ったんですよ。
俺、もうね、長年ずっと
ションベンしててね、
飽きたよ、ションベンすることに。
さくら はははははははは。そうですね。
糸井 わかるでしょ?
さくら うん。私も、この人間の
システムっていうことについて思うんですよ。
糸井 思うでしょ?
さくら うん。だって、こんな束縛って、
ないじゃないですか。
何時ごとに必ずそんなことを
するっていうねぇ。面倒臭い。
糸井 若いときにはね、捕らわれること自体を、
受け入れてよろこびに
変えてたと思うんですよ。
極端にいうと性ですよ。ね?
俺は燃えてるぜ、みたいな。
渇望してるぜっていうこと自体が
よろこびですよ。ね?
で、友だちとどのくらい
したいかっていうことを、
比べ合うみたいな。
でも、その時代をすぎて、
じつはそれは、
捕らわれてるっていうことだって、
知るわけですよね。
でも、知っても、今度は、
おいしいものなら食べますよ、
みたいになる時代があって。
でも、そこからさらにその向こうは、
じつはいらないんだけども、
あってもいいかな? ってとこに
行くんだろうなっていうことを、
わかっちゃうわけですよ。
さくら うんうんうんうん。
糸井 そうすると、ションベンもなぁ、
50何年もしてるからな‥‥。
さくら うん、ほんとですねぇ、
選べりゃいいのにねぇ(笑)。
糸井 で、つまり、いわばさ、
単なる魂になりたいっていう話ですよね?
さくら そりゃそうなんです。うん。
糸井 ジャガーに触って、
そっと逃げたいっていうことは、
つまり、もう心の中で
ニヤニヤしてるわけでしょ?(笑)
チェシャ猫のように気配は消してるんだけど、
もう、ニヤニヤしてるわけでしょ、
やったぁ! みたいな。
さくら うん、そうそうそう(笑)。
糸井 ね? でも、
誰にも伝えるわけにいかないし、
あんまり大笑いしちゃうと
ジャガーが気づくから(笑)。
さくら そう、ジャガー、気づくからね(笑)。
立ち去んなきゃいけないし(笑)。
糸井 だから、もう、
心の中では爆笑してるわけですよ、
うれしくて。で、そのことは同時に、
体一切をなくした、単なる、
触るものっていう
定義だけになるわけですよね。
さくら うんうんうん、そうです、
そうです、そうです。
糸井 それは、イコールじゃないですか。
やっぱりね、ももちゃん、
センスがもともとあるから(笑)。
俺も、その系統なんです。
さくら そう、糸井さんもその系統です(笑)。
糸井 ね。だから、「超俗」で、
「超超俗」になる。
でしょ?
その往復を楽しんで。

トイレで隣で
「もうションベンするのに飽きたよ!」
って言われてすごくびっくりしました。
明日に、つづきます!
2005-05-26-THU
  ホームへ
もどる
 
©さくらプロダクション
©2005 HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN All rights reserved.