オトナな会話(仮)
さくらももこ×糸井重里の対談です。

その9
私は風! 私は空! 私は大地! ‥‥?!


さくら どうやってそんな動物を、
気配を消して触るのかなぁ?
って、思ってたんですよ。
糸井 ああ。
さくら すごいですよ、その訓練が。
500メートルくらい先に、
たとえば鹿みたいなのが見えたとしたら、
(超スローモーションで動いて)
まだこのくらいの動きでいいらしいんですよ。
気配を消してるのであれば。
糸井 500メートルぐらいまでは抜き足差し足で。
さくら うん、たんなる慎重でいいけど、
でも、200メートルくらいに近寄ったら、
(パントマイムで静止している人みたいに)
‥‥こういう感じなんですよ。
3分間かけて1歩みたいな。
どうやって気配消すのかなと思ったら、
ほんとに消さなきゃいけないんですよ。
もう、自分が、木とかになったくらいの
感じで動くんですって。でもねえ、
敏感じゃなさそうな動物にだって、
絶対に気づかれちゃうじゃないですか。
だって、触るんですよ?
触って、触ったあとに、
また気がつかれないで去るわけですから、
その忍耐と集中力と根性っつったら(笑)。
糸井 ‥‥最高(笑)。
さくら それをジャガーでできたっていうから、
ものすごい忍耐と集中力と、
“何か”なんですよ、
そのグランドファーザーは。
糸井 グランドファーザー、いいなぁ。
私は風‥‥。
さくら そうそうそう! 私は風!
糸井 私は空。私は大地。
そして私は、‥‥人間?
さくら みたいなね!!
糸井 ああ、ほんとに危ないとこだった!
俺、そのとき聴いてたらね、
ももちゃんと一緒に行ってたよ!
さくら ねぇ! 糸井さん、
行ったかもしんない、ほんっとに。
それで後悔するんですよ(笑)。
糸井 で、何日かのうち1日くらい、
男の子だからっていう気持ちがあるから、
今日1日、フルで授業出る!
なんて言ったりして。
好きで行くことだから、
べつに我慢じゃないから、
まあ、まず行ってくるよ、
なんてね。
さくら 行ってらっしゃい(笑)。
糸井 もし面白かったら、明日誘うよ、
みたいなね。
だって俺、北極圏とかも
行ってるんだもん。
さくら あ、そうなんだ!
糸井 零下35度のところに
1週間いたんだもん。
さくら なんで?
糸井 なんか間違えて。
さくら なんか間違えて(笑)。寒〜い(笑)。
糸井 北極圏人会っていうのを作りましょう、
みたいなことをね、
ちょっと文化人みたいな人たちが、
パイプなんかくわえて、
それはけっこうですなぁ、って。
名前つけたの俺なんですよ、北極圏人会。
で、行きましょう、
みたいな話が盛り上がってね、
歌を作りましょう!
マークを作りましょう!
さあ行きましょう! ってことになったら、
誰も行かないんだよ。
さくら いやぁ!(笑)
糸井 結局、3人だけだった。
さくら つらいですね。オーロラ、見ました?
糸井 見ませんでした。
さくら 見なかったの!?
じゃ、何のために(笑)。
いつごろですか? それ。
糸井 1970年代の終わりぐらい。
さくら そんな前に?
糸井 もう金なんかないんですよ、
そんなとこに行くほど。
さくら 大丈夫?(笑)
糸井 貯金はたいてね。
さくら 貯金はたいて(笑)。
糸井 でもね、俺、褒められたんだよ。
風に向かって、真っ直ぐ進んだ人は、
真っ直ぐ凍傷になったんですよ。
で、横向いて斜めに行った人は、
斜めに凍傷になったんです(笑)。
で、俺は、自転しながら歩いたんで、
どこも凍傷になんなかった。
さくら ああ、そうですか!
糸井 クルクル回りながらね。
で、糸井は偉いって、
3人の中では言われた。
さくら はははははは。嫌な体験ですねー。
糸井 ももちゃんのサバイバルスクールと
同じようなもんだよ。
さくら はははははははは。
ほんと虚しかったですよ。
1週間も苦労して(笑)。
糸井 いやー、いい、すごい体験だねぇー。
インド以上だったなー。
さくら インドのほうがどれだけいいか。
糸井 だんだんインドのことが楽になってきた(笑)。
さくら インドいいと思ったよ、あのときは(笑)。

インドがよくなってきたんですね。
明日はあんがいマジメな話です。
2005-05-19-THU
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