オトナな会話(仮)
さくらももこ×糸井重里の対談です。

その4
インドな体験はほかじゃできないよ。


さくら あの、それがね、
インドの金持ちの人たちって、
わたし、5軒くらい見たんですけど、
外見はほんとに立派な豪邸で、
いやぁ、インド人の金持ちは凄いなと思って。
ちゃんとレンガ造りとかで、
ヨーロッパも入ってるのかな?
くらいのイメージなんですけど、
入ると、家具、ぜんぜんボロいんですよ。
気にしないんですよね、たぶん。
糸井 バッ! と花咲爺が灰を撒くように、
金持ちのやることっていうのは、
ここまで素晴らしいんだよ! って
見せてほしいよねぇ。
無限に金持ちでいてほしいよね。
さくら ほんっとに私もね、
それを期待してたんですよ。
そしたらね、なんかつつましくて、
庭が広かったりするんで、
無農薬の野菜作ってたりするんですよ。
糸井 ‥‥そういうのはいいけどね(笑)。
さくら でもまずかったの、
庭で取れた野菜。
糸井 あ、それね、
栄養の与えすぎです!
手をかけすぎるから、
まずい野菜ができちゃう。
永田農法的にはそうだ。
さくら そうなのかな? でも、
結婚式にはものすごい
お金かけるんですって。
3億円くらい。
‥‥3億円ですよ!?(笑)
糸井 結婚式には3億円くらい?!
さくら 3億円くらいかけるんですって(笑)。
結婚式のビデオ見せてもらったんですけど、
その街中の人が集まって、
踊りとかパレードとか。
なんかすごいホテルの広いところを、
ぜんぶ貸り切りで電飾もして。
そこで2日間くらい、
飲めや歌えみたいなのをやって。
花火もものすごい発数上がるんですよ。
これにインド人の金持ちは
賭けてるって聞いて、
どうかな? と思って(笑)。
糸井 インドでロケしたときにさ、
商店街みたいなところに行ってね、
「糸井さん、僕は今インドに来ています、
 ってしゃべりながら歩くシーンを
 撮りたいんでお願いします」って。
さて、っていってしゃべりだしたら、
「ストーップ! ストーップ!」
ってなるわけ。
何かな? と思ったら、
僕の横から後ろから、
すごい隊列ができるの。
地元の人が、
私は今、みたいな顔をして、
俺と一緒に歩いてるわけ。
さくら そうそう、そうなんですよね(笑)。
糸井 つまり、俺を撮ってるだけなのに、
もう、すっごい真剣なカメラ目線の人が、
みんな周富徳みたいに睨んでるの。
さくら そうそうそうそう!(笑)
見ちゃうんですよ‥‥。
糸井 すげぇな! と思って見たら、
その間も、乗り遅れまいとする人が
2階から飛び降りてきたりして!
さくら 大騒ぎ、大騒ぎ(笑)!
糸井 俺がインドの政治家だったらさ、
ここから始めなきゃ
なんないと思ったら‥‥。
さくら 嫌になりますよね。
糸井 嫌になりますね(笑)。
さくら 嫌になりますよ(笑)。
糸井 あと、映画館知ってる?
さくら 映画館は、私は行ったことないけど、
話は聴いたことある。
糸井 映画館の前を通ったんですよ。
すごい人だかりなわけ、
なんであんなに人がいるんですか?
って聞いたら、映画が始まる前は
いつもそうだって言うの。
チケットの窓口、
小さく開いてるとこに、
みんなが手突っ込んで
チケット買おうとするから、
売れないんだって、なかなか(笑)。
列をつくるとか、そういうのが‥‥。
さくら 苦手なんですよね。
私も、インドって一体?
って思ったのが、
ガンジス川の近くに
みやげもの屋が並ぶ通りがあって、
店もすっごい狭いんです。
だいたいタタミ2畳くらいの店なんですよ、
ひとつの規模が。
そこに、みやげ物を、
ものすごいたくさん売って、
4人か5人で暮らしてるんですよ。
2畳でですよ!?
糸井 暮らしてるの? その2畳で?
さくら 暮らしてるの! 2畳に。
で、誰もね、みやげ物って、
買わないんですよ。
でも、いいんですよね、それで。
だから、なんか‥‥。
糸井 んー‥‥。インドについて思うのは、
その経験って、他の場所で
したことがないってことなんだよな。
さくら ないんですよ! そうそうそう、
ないないない!(笑)
糸井 ないよね。ないもんだから、
1回味わっちゃったのが、
脳にちょっとこう入ってて。
さくら そうそうそう!
糸井 またいつか行くのかな? って
思っちゃうんだよね。
さくら ちょっと‥‥ね!!
糸井 なははははは!!
やっぱりね、勉強になるんですよ。
極端な場所に旅をしてると。
インドはもうそれこそ
とんでもない田舎まで行ったんです、僕。
そうするとね、衛星放送の
パラボラアンテナがあるんですよ。
さくら パラボラアンテナ(笑)!
糸井 村に1台みたいなテレビで、
衛星放送を受信してるわけですよ。
アメリカ、香港、インドの田舎が、
ぜんぶおんなじ、
ローリング・ストーンズの新曲とかを
やってるわけよ?!
さくら あはははははは!
糸井 わかるでしょ? そのショック。
時代が変わるって
こういうことかって思ったんですよ。

いや‥‥まあ、なんというか、
混乱してきましたよ。
そのまま明日につづきます!
2005-05-12-THU
  ホームへ
もどる
 
©さくらプロダクション
©2005 HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN All rights reserved.