MUSIC
虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行第202回
「新作コンピ・パラドール
 〜おおらかなラテンの風で、
 この夏の「イヤゲ」をぶっとばしてください!」

この7月28日に新しく出した完全リゾート仕様、
地中海ポップス・コンピ「パラドール」、
おかげさまで好評です!

ところで「パラドール」とはなんという意味の言葉かなと、
思う方もいらっしゃるはず。
マタドール(スペイン:闘牛)
テルミドール(仏:フランス革命暦の11月)
コンプラドール(ポルトガル:仲買人)
ラテン語圏には、〜ドールという言葉が多い。
なんでしょう?

簡単にいえば、スペインで、
かつて富豪の城砦や屋敷だった建物を
公共で経営する、豪華で素敵なリゾート宿泊施設のこと。
ジャケットで使用した写真を見てください。





日本でいうなら‥‥なんでしょう?
武家屋敷や、華族の屋敷が、リゾート・ホテルになった?
皇族関係の建物をレストランに変えた店みたいのは
あったような気もしますが。
公共で経営するということでは、
国民宿舎とかが引き合いになります。
しかしパラドールは、高いのです。
一人一泊、4万とか3万とか。
オフシーズンなら2万とか。
そして、他の欧米風豪華リゾートと違って、
なんともパースナルな雰囲気、
つまり日本の高級隠れ旅館を思わせる趣がある。
(僕はいったことないですが、
 情報と、行った人の話を総合してお話してま〜す)
また、スペインは料理が美味しいらしいですね。
なかなか僕らがアクセスできないパラダイス、パラドール。
覚えておいてください!

このアルバムは、そんなパラドールの名を冠し、
やはり僕らが耳にすることが少ない、
スペインを中心とした地中海沿岸のリゾートに
バッチシの音楽をお届けするコンピレーションです。
地中海沿岸とは、ひとくちでいえばラテン語圏。
このラテン語圏のポップスは今静かに盛り上がっています。
全く情報が入りにくいのですが。
自分で1枚1枚輸入CDを
大量に買って探し出した曲ばかりです。

1曲目に入っているロザリア・ディ・ソウザ。
この「Maria Moita」という曲が
今回の特にイチオシの必殺チューンです。
これはDJ番長、須永辰緒さんもコンピCDを編纂している、
ヨーロッパの代表的クラブ・ジャズレーベル、
イタリアのスキーマの歌姫です。
去年、初めてソロが出た人ですが、
ブラジルを捨て、89年からイタリアで活動している人。
このようにラテン語圏内で、
グルグル移民をしている人が今回のコンピの中心です。

2曲目のビーアの経歴はもっと転々。
ブラジルに生まれるも、3歳でチリに亡命、
さらにペルーからポルトガルと流れ、
18歳でブラジル・サンパウロ大学に戻るも、
大学に失望し、ヨーロッパ各地で音楽活動を開始‥‥
という経歴。
結局「ダバダバダー・ダーバダバダバダ〜」の
スキャットで有名な
「男と女」のテーマを作ったピエール・バルーにデモを送り、
彼のサラヴァ・レーベル(フランス)から
デビューを飾りました。
すごい移動量でしょう?
移住を重ねて得られた多様な造詣を背景に、
アルバムではラテン4カ国語を駆使して歌うのです。

6曲目のキャド・アシュリは、
69年スペイン、アルジェリア、ベルベルの血を引きながら、
仏南西部マザメで生まれ、バルセロナでピアノを学び、
英国のプロデューサー、マーク・イーグルトンとともに
ギリシャのジャズ演奏家達と共にアテネで録音。
でも活動の本拠地はフランス。
もともとスポーツ選手だったりもする。
頭がクルクルしませんか?

最盛期のジャクソン5もホウフツとさせるような、
チョー元気いい7曲目のオホス・デ・ブルッホは、
ワールド・ミュージックファンの間で話題のバンド。
彼らが出てきたスペインの美しい港町、バルセロナは、
どうやらこうした移民の繰り広げる
ミクスチャーミュージックの巣のような状態にあるらしい。
ゴシック地区という、バルセロナの、
コロンビア、キューバ、チリなどから
ミュージシャンが集まるところから生まれたわけですが、
ようするに南米の移民がゴチャゴチャに集まって
新しい音楽がガチャガチャ生まれているらしい。
「停滞気味だったフラメンコ界に
 ヒップ・ホップやレゲエ、ファンク、
 タンゴやサルサなどを取り入れ、一撃を与えた」
といわれます。
もうこれはゴッタ煮ですね?
この曲は、南米ブエノスアイレス出身で
バルセロナに渡った人気歌手
ガト・ペレスに捧げられたというトリビュート盤
「偉大なるガト」よりのカットですが、
そういう移民音楽の歴史がメンメンと続いているのです。
音楽ファンなら何か思い出しませんか?
そう、かつて奴隷が集められ、
ジャズやブルース、ソウルなど、新しい音楽が生まれた
ニューオリンズのような状況ともいえるのです。

今回選にもれたたくさんのスペインのアーティストも、
このバルセロナに集中しています。
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のキューバからも
大量のミュージシャンが行き来。
スペインとの交流で生計をしのぐ
アーティストも多いようなのです。
要は、政情や経済がアメリカの圧力下で、
アメリカナイズされた中南アメリカよりも、
ヨーロッパのほうがのびのびとラテン音楽を展開できる?
といえるようなのです。

1曲目、ロザリア・ディ・ソウザの
英文解説にも書いてあったのですが、
本来ブラジル産の音楽であったボサノバは、
今ではブラジルでほとんど流行ってません。
ブラジルではサンバと、
アメリカナイズされたロックなどが主流です。
ラウンジ音楽、ボサノバの主消費国は、
現在ではフランス、イタリアなどの
ヨーロッパラテン語圏と日本です。
南米から流れ流れてきたラテン音楽が
ヨーロッパで濃縮、洗練されて花開いている。

どこかスカしたフランスではなく、
おおらかに、なんでも来い! のスペインは
そういうラテン圏のキーポイントなのです。
そういえば、細野晴臣さんと
高橋幸宏さんのスケッチショウが、
YM0を思わせる
坂本龍一さんとの豪華コラボーレーションで出演した
大規模なテクノ・フェスティバル「ソナー」も
今年、バルセロナで開かれたのであります。
けっこういろんな音楽の通なんですよね。

そんなこんなです。
ま、い〜じゃありませんか?
おおらかなラテンの風で、
この夏の「イヤゲ」をぶっとばしてください!

夏のリゾートのお供に、また、お部屋で、
リゾート気分にひたって避暑!
「パラドール」ぜひあなたのおそばに!

というわけで、
「パラドール」の本紙・特別販売!



新しい休日、至高の音楽体験地中海発!
ロザリア・ディ・ソウザ、
ビーア、オホス・デ・ブルッホ‥‥。
各国で現在、話題騒然のアーティストを独自に選曲した、
全く新しいテーマのコンピレーション。
心地良いサウンドが秘宝のように
埋もれている地中海エリアから、
極上のポップスをサエキけんぞうがセレクト。
スペイン、イタリア、フランス等の楽曲から
ポップス本流のテイストが味わえます。

マスタリングは小池光夫、
アート・ディレクションは松蔭浩之と最強の布陣!
絶対的自信作です!
試聴は‥‥コチラ!!
http://www.jla.co.jp/amusement/html/paratop.html

ほぼ日読者には特典として、
「限定お楽しみCDR」
「サエキが見つけた便利筆記具」
の2点をプレゼント!
注文メールは
 pearlnet@kt.rim.or.jp まで!!

サエキのHPがブログになったよ。
トラックバックとか、コメントとか入れてくれんかいのう。
http://www.saekingdom.com
第四回 娘たちにかまわないでDX

YOUちゃんのいたバンド、フェアチャイルド覚えている?
その中心人物戸田誠司の久々のライブが
9月10日の青い部屋「テクノ・エレガンス」で行われる。
その前に、さらにその戸田誠司率いたフェアチャイルドの前身
「シ・ショーネン」の中心人物、福原まりの、
あのデル・ジベットのカリスマ・ボーカル
ISSAYとのユニットを御紹介してしまうのが、
8月27日の「娘達にかまわないで!DX」。
ISSAYmeetsDOLLYの幻想的なライブを、ぜひこのチャンスに。
面白いですよ!
このイベントはフランス再ツアーほぼ決定の
「スシ頭の男」サエキけんぞう(詳細は後に発表)と、
「経験」など歌謡メロディのフレンチ化も絶好調な
スーツケースローズによるフレンチ系イベントです。
また、ファミリー・マートのダウンロードマシンでの
「イカすミュージックデリ天国」で、
2ヶ月連続TOPを爆進中の我らがnoroちゃんが、
かのダウンロード曲を披露!
レギュDJ頼りがいある人・きうぴい!
売り切れる 美味しいフードはMINT TEA。


第四回 娘達にかまわないで!DX
8/27(金)19:00 open 23:00 close

?\2800(1D) ?\2500(1D/A
サエキのHPを見たといえば、前売り料金で入れます。

LIVE/
 suitcase rhodes、
 ISSAYmeetsDOLLY(ISSAY(vocal)MARI FUKUHARA(piano))、
 noro
DJ/
 きうぴい
FOOD/
 MINT TEA
VJ/
 ヤマネアツシ
performance/
 サエキけんぞう


青い部屋 http://www.aoiheya.com/

東京都渋谷区渋谷2-12-13八千代ビルB1F
 tel / fax 03-3407-3564
青い部屋事務局
 渋谷区渋谷1-20-22北沢館402(火土日祝日定休)
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2004-08-04-WED

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