MUSIC
虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行第159回
「大瀧詠一トリビュート」にテロ!
 11分の『オンド・メドレー』収録! その9
<「ロング・ヴァケイション」は突然やってきた!>



え〜、パール兄弟のアルバムが完成し、
曲順が決定いたしました。
タイトルは前報いたしましたように
「宇宙旅行」でありますが、
収録曲は「ローラー・コースター」
「ファイト倶楽部」「水」など…、
全11曲、カバー曲を抜かしてすべて
サエキけんぞう作詞・窪田晴男作曲のコンビであります。
1983年7月に窪田晴男と結成したこのコンビ、
つまり、今年でちょうど結成20周年になるのです。

最初は戸川純、SHI-SHONEN等の
おしかけ10分ライブ前座4人バンドとして
活動を開始いたしました。

正規のライブの前に
10分間だけお邪魔するというヒドい出現のし方。

それは今のように
ライブがシステマティックになった時代では、
アマチュアクラスでも絶対避ける非道な出方であります。
PAが混乱するし、まあ、友達でもイヤなもんですね。
そういうのは。良く出してくれたもんです。みなさん。
ありがとうございました。

そんなパール兄弟が結成されたのには秘密があります。
僕が1980年当時つきあってた彼女という人がいて、
その人は、どちらかといえば
濃い日本のロックの趣味だったのですが、
まあ、その人が僕とその窪田を結びつけたのでありますね。

その彼女とは、
大滝さんのレコーディングにもいったのですが、
なんともはや、そんな同伴な訪ね方が合っていたというか。

彼女はもちろん大滝さんの歌は少し知ってても、
大滝さんがどういう人かなんて知らないわけです。
オンドとか。

しかし、そうした予備知識がない人が
大滝さんに会うのがちょうどよいかげんなのです。
大滝さんには「ああ、この人はなにか偉大な濃い人だ」
と感銘する何かがあるようです。
偉大な人と接するには小手先のコアな知識などいらず、
ひたすら「たたずまい」から得る、
ただならぬ人物オーラを受けたほうがいいのです。
大滝さんは優しく「君は何してるの?」
などと聞いてくれた気がしますが、
カップルで会うにふさわしい
礼儀正しいオジサンでいていただけましたね。
なんか自分達の身元がしっかりするような。

前回申しましたように、そのスタジオには、
そうした女性も落ち着くような、
なんともドッシリ雰囲気が漂っていたわけです。

新曲を聴かせてもらえなかったにもかかわらず、
僕たちは全く不安になることもなく、
当然のように発売日81年3月を迎え、
前述神保町ササキレコード店でレコードを買い、
近くの知り合いの喫茶、
今はなき水道橋「BON」
(メトロファルスのよたろうさんがバイトしていたらしい)
にいってレコードをかけてもらいました。

お店に吹く夏のブリーズ。
それまでに大滝さんのアルバムでも聴いたことのない
清涼な響きがお客を包み、
「なにこれ?」とすぐ他の客から聞かれました。

初めてでありながら、
なぜか当然のサウンドでもありました。
そして、
カップルをやってることに自覚をもたらされるような、
大人な気持ちにさせられる詩でありました。

それまでの日本にはジョン・デヴィット・サウザーや
ボビー・コールドウェル、ボズ・スキャッグスのような
「AOR」(この言葉は実は日本語らしいが)という
大人のためのロックが確立されていませんでした。

今から考えればその前年80年にブレイクした
山下達郎の「ライド・オン・タイム」
あるいは「ルビーの指輪」寺尾聡などが
それにあたると思われますが、
そういう認識はなかったでしょうね。
歌謡曲でも若いリスナーでもなく、
明らかに大人の感覚を持つロック層に向けられた音楽
「ロング・ヴァケイション」こそは、
そういう「日本のAOR」の始まりなのではないか?
と思っています。

そんなしちめんどくさいことを、
当時考えていたわけではもちろんありません。

ただ「カップルにとって気持ちいい音楽」として
ひたすら聴いていたわけです。



おそらく、多くの「ロング・ヴァケイション」リスナーが
なにも理屈を考えずに
その突然の来訪を歓迎したと思います。
経済成長した日本人が享受すべき当然のブリーズ、
まるで深層心理にインプットされていたかの自然さで、
「ロンバケ」は突然やってきました。
その後、ロンバケ気分をなぞりたくてリゾートを訪れた方が
どんなに多いだろうことか…。

僕は、そんな1981年の春、
糸井さんにコピーを書いていただいて、
ビクターからデビューしたバンド
「ハルメンズ」の活動を一区切りし、
休学していた勉学リゾート(てなことはありませんでした)
徳島大学へと戻っていきました。
春は出発と別れと出会いの季節ですが、そんな楽しく、
かつちょっとうす悲しい響きが「ロンバケ」にはあります。


(続く)



サエキの属するフレンチ・レーベル「マッドフレンチ」が
オムニバスCDの発売記念ライブを行います。
いろんな人が出て面白いですよ。
サエキプロデュースのCDが発売される
レースクイーンアイドルDIGICCOも出るよ。
サエキは飛び入り参加予定!



Mad Frenchの仲間たち at TOKYO

♪開催日  2003年2月21日(金)

♪会場  東京/池袋LIVE ・INN ・ROSA
 東京都豊島区西池袋1-37-12 ロサ会館B2F
 TEL/03-5956-3463

♪時間  19:00p.m.〜23:00p.m.
♪料金  前売り予約 2500円(1ドリンク付き)
 当日 2800円(1ドリンク付き)

♪出演者
(順不同)
 *Sublime
 *Piasa
 *Sabou et Mamie サブ&まみ
 *ETT
 *ASSCA (From DIGICCO)
 *DIGICCO デジっ娘
 *まも&男気バンド
 *Les Stereo-Phonic Theatre
  (ステレオフォニック・シアター)
 * 美月レンカ
 *高橋望
 ☆Special Guest☆
 *新井英一

♪主催 *MAD FRENCH レーベル
♪協賛 *europoint
♪協力 *LIVE ・INN ・ROSA


http://www.mercato.co.jp/party3.htm

2003-02-20-THU

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