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虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行第131回
「号外チック。6月14日の渋谷」


6月14日は「シャンソンチックソワレ」
というイベントに出演するため、
たまたま渋谷のライブハウス、
オン・エアーウェストにいました。
リハーサルを終えて出ると、クラブ。
ハーレムの1階のバーは中継をやっていて、
そこに入りきらない人。
窓からしがみついてみたり、
外に30人以上も人があふれている。
その半分ぐらいの人は、
青い日本のユニフォームを来てるサポーター風です。
4時30分。
そろそろフィニッシュに近づいてきたのです。
何か起こるたび、すごい歓声が街にコダマします。
オンエアーイーストの隣の飲み店は
「中継あり、ドリンク500円、早いもの勝ち」
との張り紙で、実際人はいっぱいでここも入りきれません。
隣は「ツインズよしはし」という、
遠藤賢司さんの「ピラミッドカレー」を再現した店です。

道玄坂に出ると、人はやはりまばら、歩いている人は、
点差を携帯電話で確かめている人も多い。

僕はお腹が空いていたので、
さるパーコー麺屋に入りました。
そこではラジオ中継がされていたので
状況を知ることができました。
客は僕一人、店員は三人。
ガランとした店内にラジオ放送の轟音が響き渡ります。
ラジオなのでよくわかりませんが、
ラスト2分ぐらいで、ちょっと危機があったようでした。
しかし、30秒2928・・・
とカウントダウンし、ついに勝利、
その瞬間、僕が一人でパチパチパチとおもむろに、
手を叩きました。
店員の人とは「ニコ!」と会釈しただけです。
なんか盛り下がるな〜、静かな勝利祝いでした。
続いて運ばれたラーメンに
特に「W杯勝利記念」のオマケはありません。
ヘンな期待してはいけませんが、ガックリ。

ラーメンを食い終えてみると、
店員の人も街がどうなっているか気になっている様子。

確かに渋谷駅前の様子が気になります。
ライブまでちょっと時間があるので、
駅前をのぞいてみることにしました。

ハチ公口にはたしかに人だかりが見えますが、
一番目立つのは紺の制服に身を包んだ警官の姿。
ものすごい数がスクランブル交差点の駅側を固めています。



「ニッポン・チャチャチャ」という声も聞こえてきます。

渋谷駅前名物の、360度方向から人が歩く
スクランブル信号が青になるときがポイントでした。
「ウォー!」と奇声を発しながら
数十人のサポーターが四方から駆け出していくのです。

それにしても、5時過ぎの時点では、
まだまだ騒ぎがすごくなっていなかったのが
印象的なのです。
みんなどう騒いでいいかわからないままに、
駅前が沸点を模索しているという印象を受けました。
色々盛り上がりそうにはなるのですが
「イエエエエエエ!」とか、
だれもが叫びだすにはいたりません。
みな、人の顔をうかがっているような気がします。
「ここでは立ち止まらないでください」
警察の注意もじょじょに音量を増していきますが、
警察に遠慮して騒げないという感じじゃないです。
おのおの、それぞれの「騒ぎ」が
自分の中でまだ位置づけられていないという印象なのです。

思わず思い出したのが30年前、
小学生だったころに渋谷の駅前で見た
学生運動のジグザグデモ。
信じられないほど騒然とした駅前は、
説明できないような
集中力のあるエネルギーに満ちていました。
とはいっても、いいもの、って
お世辞にもいえないようなキナ臭さですよ。
警察も文字通り殺気だっていました。
この頃はデモで、双方に死者が出た時代ですから。
野次馬は遠巻きにしていましたが、
心情的に学生の味方の雰囲気の人も多く、
日本国内に「敵・味方」が分かれていたことが
印象的でした。

今、目の前にいる警察の人たちも
内心では「めでたい」と思っているに違いなく、
そのことはなんとなく彼らの表情から伝わってきます。
収拾つかなくなったら命令が来るだろうから、
まあ、そのときは少し働かなくちゃな、という感じです。

信号が青になるたびに奇声を発して横断する若者の数は
しだいに増えてまいりました。
外人が胴上げされようとしたり、
じょじょにハチ公前のサポーターも熱を帯びてきました。
空にはヘリコプターがバラバラと飛んできました。
道ゆく女性が携帯電話で
「渋谷すごいことになっているよ〜
 ヘリ飛んできたよ〜聞こえる?」
とうれしそうにしゃべり、携帯を空にかざします。

もうライブハウスにもどらなければならないので、
道玄坂を再びもどろうと歩き始めました。
すると、今度は太鼓をたたいた人を先頭に
100人ぐらいのサポーターの集団が列をなして
駅に向かってパレードをしているのに遭遇しました。
明らかにサポーターはみな、駅前を目指しています。
徐々に人々がヒートアップし始めたような気がします。

思わず思い出したのはコミックの週刊モーニングに連載中の
競輪漫画「ギャンブルレーサー」の先週の巻。
競輪場に刑務所帰りのガラの悪い客が久々に集合し、
お互いに刑期や犯罪を自慢しあう。
そして、今では品の良くなった会場で、
昔ながらのケンカや悪態をおっぱじめる。
すると、それを好奇心まんまんで見ていた大人しい人々が
「そりゃ、面白そうだ!」とばかりに
他の会場からも集まってくるという話です。
ガラの悪い人達は視線に興奮し、
次々と切符キリのおばちゃんに因縁つけたり、
ケンカを派手におっぱじめたりします。
そしてそれはついに暴動に発展し、
逮捕者が100人以上出て報道されてしまう。
その新聞を読み、エネルギーのありあまった若者が
「ヘヘヘヘヘ〜、暴れて見せてくれよ〜」と、
全国からまた集まってくるという展開です。
そこで開かれた競輪主催者の緊急会議。
話されたのは、それを規制するかと思いきや、
動員が行き詰っている競輪の集客対策として、
ガラの悪い人に毎回一騒ぎ起こしてもらうのはどうか?
というもの。
幹部が本気でそうした相談を始めるという話ですが、
なんだかこのワールドカップ騒ぎは
その話を彷彿とさせます。
みな、騒ぎがあると聞いて集まってきた、
あるいは騒ぎが珍しいので集まる、感じがした。
最初は内発するものにまかせている人は
わずかだったと思う。
しかし、それはほどなく、大きなウネリとなったようです。

僕はその後ライブに戻ってしまい、
再び駅前を通ったのは午後10時ですが、
その前には騒ぎが相当なことになり、
ハチ公口は閉鎖になったということです。
警察としても30年ぶりの出動、
&大掛かりな駅前閉鎖だったのではないか?と思いますが、
当時の幹部などは全員退職され、
今指揮に当たっている方も、
そういった経験は初めてなのではないかと思います。

パララパララパララ〜〜!
夜10時過ぎの駅前はぞくぞくと暴走族も集まってきます。



「フーリガン」とカタカナで大書きした車には笑えました。
最近は「氣志團」の影響か、
神奈川県にリーゼント&パンチ大量発生の噂も聞きます。
氣志團もそういうつもりだったわけじゃない
と思うんだけど(パロディで始めたから)。
でも本望かな〜。

10時過ぎの宮益坂も、
道行くすれちがいの知らない同士でパーンと手を打ちます。
渋谷はハチ公口閉鎖後の混乱が
まだまだ風邪の予後のように続きます。
やっぱりいい夜だったな〜と思いました。

(終わり)




大阪に行きます!
限りなくパール兄弟的なライブを
ガシっと12年ぶりに行います!
はつ関西方面のみなさん、
そして良かったら、東京の皆さんもぜひ来てください!

話題の大西ゆかりさんも登場します。

Velvet Moon presents
Gainsbourg & Pearl
+ Special with Stylish Cafe For Moderns

6月23日(日) at Club DAWN
OPEN 17:00 〜 Midnight
LIVE:サエキけんぞう・窪田晴男(G)・
佐野篤(B)・ひらがくらよしえ(Dr)
LIVE:Les Cappuccino
LIVE:加藤加奈子(アコーディオン)
*窪田さん(パール兄弟)
佐野さん(ex:S KENとホットボンボンズ)
YOSHIEさん(フリッパーズ、トラットリア)の
各ソロ・セットあり。
(カリーナ・ダンサーズ、カプチーノ・コーラスほか)
特別出演:大西ユカリ と レ・カプチーノ
(この日限りの「暗い日曜日」、
 と6/23は超豪華ラインナップ!見逃せません!!)

DJ:DOI (Let's Moon Stomp)
BGM:ChouChou, Yamaten
出張Cafe:・ mitsub ・
VJ:Space Echo, K2, Yamaten
前売 \3000
(1drink + Velvet Moon お買い物券500円分)
当日\3500(1drink)
チケット販売: Velvet Moon, club dawn,
ぴあ06-6363-9999
お問い合わせ:Velvet Moon 06-6241-1751

HPに来てね!
http://www.saekingdom.tv/

2002-06-18-TUE

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