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虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行第109回
「さらば秋葉原デパート!」


年末といえば繁華街、師走といえば商店街ですね。
人いきれの中に身を投げると、
なんともいえないあまずっぱい気持ちになりませんか?
「師走は過去に通じてる・・」
タイムスリップのひとときでもあります。
「去年はああしてたな・・・」
と思ったりする以上に、もっと昔、
ヘタしたら生まれてない昔に時間が通じてさえいるような、
そんな気持ちになるのは僕だけでしょうか?
それは年末の人ゴミの雰囲気が、
もっと活気のあった時代への
ノスタルジアを醸し出すからかもしれません。
その昔は「人が集まること自体がエンタテインメント」
だったのかもしれない。

たとえば、震災前のあのかつての浅草が
どんなところだったのか?
本に読んだり、聞いたりするとワクワクしますが、
浅草に111年前にできたという、
十二階/凌雲閣 =地上52メートル、
日本初のエレベーターを備えた東洋一の塔
(震災で無くなる)に象徴される
( http://www.asakusa-e.com/nos/nos6.htm )
明治大正の浅草を考えると、
東京が今のようなビル街的な活気を走らせ出した
その上昇気流を感じます。
そこらへんが僕らが、
記憶をたどると気配で何となく想像できる
東京の人ゴミのルーツなのかもしれません。

そんなノスタルジアの人ゴミの雰囲気を味わえる街として
僕は

1、 上野、御徒町
2、 池袋
3、 秋葉原

を押します。
新宿の伊勢丹付近もイイ味出していますが、
ちょっと人ゴミが今ッぽすぎるかな?
巣鴨とか蒲田も雰囲気ありそうですが、
ちゃんと年末に味わったことがありません。
同じ人ゴミでも、このお題では、
今の渋谷(ハチ公口)が論外なのはいうまでもありません。
ノスタルジアを感じるためには街に時間旅行させてくれる
モニュメントが必要なのだと思います。
その意味では、3位の秋葉原に大ピンチが訪れました。
なんと駅に付属して親しまれてきた「秋葉原デパート」が
その50年の歴史を閉じてしまうのです。

秋葉原といえば総武線住民にとっては東京の入口。
その入口にあったデパートは、
子供にとっては東京への練習スポットでありました。
デパートといっても、3、4Fしかないごく小さな規模。
本八幡にも「京成デパート」というのがありました。
3〜40年前、この3〜5Fという小さい規模のデパートは
各地で大手を振って消費の王様だったのです。
名物はなんといっても、
「果物ムキ器」「万能ナイフ」などの実演販売です。
とてつもなく弁舌タクミさわやかなテキヤ的おじさんが、
エプロンをつけて、家庭用の実用具を売りまくる。
見ているだけで欲しくなるようなそんな実演は
最近も行われていました。
子供はそれを見るのが大好き。
また、充実しているのは、1Fの食べ物コーナーで、
デパートにつきものの生ジュースも充実していますし、
お好み焼きや丼屋、など電気街に買い物に来た人が
ちょっと寄って行くのにちょうど良い
カジュアルさで美味しい、あるいは美味しそうなのでした。
改札から直接デパートに入ると、
男性洋品売り場を通らなければならないのですが、
これがゴルフシャツとかスリッポンとか、
秋葉原ファッション&オヤジ度100%の
イイ湯加減のひなびた品揃えで最高でした。

秋葉原は、家電の牙城。
家電は日本の暮らしの輝きの象徴。
秋葉原デパートはそんな家電を売ったり買ったりする
お父さんの街のモニュメントだったのです。
売り物がコンピュータ関連ばかりになった
秋葉原の60年代の匂いは、
いつのまにかラジオ会館のパーツ売り場か、
秋葉原デパートの紳士洋品の中に
残されるぐらいになってしまったといっても
いいかもしれない。
そんな秋葉原デパートは突然、
「アキバ系SC」に生まれ変わるというのです。
はて?SCとはなんだろう?
セックスコーナー?サイエンスクラブ?
どちらにせよ、
コンビニエンスな匂いがする場所になるのは
間違いないでしょう。

街が新しくなるのはけっこうなのですし、
手塚治虫ショップなど、
面白そうなコーナーもできそうなので、
それなりに楽しみです。
しかし、街には記憶を継ぐ機能も
持っていて欲しいな・・・、と思ってしまうのです。
なぜなら、今、コンビニが先頭をきって、
すべての街は同じ表情へとひた走っているからです。
(たとえば、別に嫌いじゃないんだけど、
 とんかつの「和幸」って
 デパートや駅ビルに一体何軒あるんでしょう・・・。)

そんな中、人間の固有の記憶である街の表情は、
これからはちょっとした小さな空間に
手がかりを求めることになるでしょう。

良いお年を・・、良い人ゴミと喧騒の中で・・・!



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サエキけんぞうのコアトークvol.65
GS最前線 〜ワイルドワンズの渚〜
open18:30 start19:30
料金¥2000(1ドリンク付)

ゲスト 加瀬邦彦 黒沢進 大森眸
ライブゲスト ドンキーズ


サエキのHPも来てね!
http://saekingdom.tv/

2001-12-26-WED

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