MUSIC
虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行第60回
「ついに現れたこういう酔っぱらい」


こんにちは〜秋分の日も過ぎた今日この頃、
いよいよ日が落ちるのが早くなり、
夜更かし族としてはウレシイっす。
クラブを朝出ても、夜が明けてないっす。
というわけでクラブイベントのお知らせ。
僕が出るのは午前2時(笑い)。
つまり終わって出てくると、3時。
ウロウロして4時。それでも良かったら、
次の日は土曜日なのでおつきあいください。
この日は驚異のネオシャンソン歌手、ソワレ君をゲストに
「ゲイ」を裏テーマにやりたいと思います!

9/29(金)22:00〜5:00 @三宿Web
〜ビザール カレイドスコープ プレゼンツ〜
Tention! Attention!!
Live:サエキけんぞう(パール兄弟)
DJ:古屋朋英(Bizarre Kaleidoscope)
  ヲノサトル(LOVE&JEALOUS、明和電機)
  中塚武(QYPTHONE)
  坂井壱郎(エレキハチマキ)
  中川雅博
  那須野彰洋
  桜井信一
★三宿Web(03-3422-1405
東急田園都市線(旧 新玉川線)池尻大橋駅から
246を三軒茶屋方面へ 徒歩10分
三宿交差点角 牛丼の松屋B1F

先9月9日の渋谷ゲンスブールナイトも
おかげさまで大変に盛況でした。
入れない人が100人近く出てしまい、
申し訳ありませんでした。ジェーン・バーキンは結局
喉の調子がわるく、来てくれませんでしたが、
その代わりバックバンドの人が全員来てくれて、
1曲ゲンスブール曲をやったほか、
朝まで踊り狂ってくれました(笑)。
またやりますのでみなさん来てくださいね!
さて、このタイトルの総武線、毎日朝早く、
or夜遅く帰っております。
そもそも僕が音楽業界にはいるきっかけになったのは
ゲームのタイトルにも採用された『電車でGO』という曲を
歯学生時代に作ったのがきっかけでした。
それはこんな詩でした。

電車にのろう
隣りの人の耳に息を吹きかけちゃおう
後ろの人の髪の毛をひっぱちゃおう
前の人は他人、横の人は他人
僕の母はママ、僕のパパは父
電車でGO!

電車にのろう
オバサンのスカートをめくっちゃおう
うるさい子供の頭をひっぱたいちゃおう
……(後略)

てな感じの詩でした。僕としては総武線に対する愛着を
ベースに、その中が非日常的になったら面白いだろうな?
というアイデアから発作的に作った
初めての曲こみの歌でした。
この中で「隣りの人の耳に息を吹きかけちゃおう」の
部分などはかなりキワドイ内容だと自分では思っています。
みなさん、電車の中ってある意味では
異常な空間だと思いませんか?
完全なる他人がものすごく近くにいて肌をすりあわせている。
そんな現実を妙に直視したことはありますか?
目の前をなんだか知らないオッサンの耳が
火照って存在している。そんな時、
「この人の耳に今、息を吹きかけたら
 どうなってしまうのだろう?」
と思ったりしたことありませんか?
異性に対してなら、明確な痴漢行為になってしまいます。
だからココロのバリアーもできますが、
そういう可能性のありえない同性の年の離れた人、
そんな関係性が薄い人にあらぬ行為をしたら
一体どうなってしまうのだろう?
僕は昔から、そんな事ばかり考えてしまうのです。
まあ、そんなことしてしまったら、
キチガイのフリして誤魔化すしかないのでしょうが。

そんな僕の潜在願望を満たしてくれた酔っぱらいが
登場したのです。
12時45分発、秋葉原発の終電車、
これを逃すともう後がない総武線。
ところが、接続の京浜東北線が遅れ、
一週間に一度はおきるあの、ダラダラとした遅延時間が
車内にイライラを起こし始めていました。
その緊迫した総武線で、一人の27、28歳に見える
若いサラリーマンは車内の床を、
ななめに寝っ転がってぶっ倒れていました。
車内奥がそうとう広く彼によって占拠されています。
僕はその前の席にかまわず座ってしまいました。
僕の靴の先には彼がいます。靴はぬげてころがっていました。
邪魔なのでけっ飛ばす人もいましたが、
ほどなく駅員が来ました。
「車内はベッドではありませんよ」
そりゃそうだ。でも起きない。
無理矢理、2人がかりで彼をひきずろうとしました。
しかしテコでも動かない。
どうやら目が覚めたらしいのですが、
そこに寝ているというのです。
数分であきらめた駅員はいってしまいました。
その1分後、突然彼は目覚め、起きあがり、
おかしな動きを始めたのです。落ち着きのない動きで
車内を動き始めました。靴はを脱いだままでした。
車内で靴を脱いだ歩く人も、子供以外ではなかなかいません。

そして、その人は脱げた靴はドアのワキに脱ぎ捨てたまま、
ダンスを踊り始めたのです! テクノっぽいダンス。
比較的空いていた車内とはいえ、
ダンスを踊るサラリーマンに対する車内の人の目は
厳しいものがありました。
しかし、そんな冷たい視線などものともせず、
彼はドア付近にたっていた30歳ぐらいに見える
シャイそうな眼鏡の若者に踊りながら近づき、
なんとなんとそのホッペタに、
なんと「チュウ」してしまったのです!
いきなりチュウされた若者のショックそうな顔といったら!
ウワア! やったあ!
ついに長年の願望を彼が果たしてくれた!

チュウされた眼鏡の若者はじょじょに苦笑していましたが、
車内のほとんど男の客はみなニコリともしません。
爆笑をこらえているのは僕だけです。
なんでみんなこんな面白いことに対して笑わないのでしょう?
酔っぱらいは、受けを狙っているわけではない!
というようにニコリともせず、
ユラユラと踊りながら車内を徘徊します。

そして、今度は席に座っている35歳ぐらいのサラリーマンの
膝の上に座ってしまいました!
「ウワ!」と悲鳴をあげるサラリーマン、
でもその人は苦笑しながらさっさと席を
ゆずってしまいました!
「なにすんだよ!」と殺気だったサラリーマンが
そいつを怒鳴ります。笑っている人などいません。
その後もその辺を踊り続けたその人は、
錦糸町でついに殺気だったサラリーマンに
車内から駅にツマミ出されてしまいました。靴を残して。
電車の中の小さな革命は終わりました。
関係性に対する小さな挑戦…。
やはり、そんな行動では人の心は癒されなかったようで、
大変残念です…。
電車でGO!

2000-09-26-TUE

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