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虚実1:99
総武線猿紀行

第54回
ワープロ生産中止?さて、コンピュータは?
(その2)


ほええ!今年の夏は天気イイざんすな?
その2もガシっといったるで
(何故か関西弁)
さて、ワープロの生産はあらかた中止になったが、
そもそもみんなコンピュータのワープロで
満足しているのか?ということだ。

僕がワープロとしてのコンピュータに
どうにかなってほしい要件、
それは僕が、シャープのワープロ最高峰?セリエ
(厳密にいえば快速スキャナ書院WD―VP3が
ラストランナーだそうです)
に求めていた(そしてかならえれなかった)機能が
代弁してくれる。

1.起動が速い!

前回触れたが、これ、大事。
僕の最も尊敬する凄腕の歯科医の先生に
「歯科医の、プロとして、
 大事な要件をたったひとつにしぼって挙げてください」
と聞いたことがある。
彼は躊躇せずこういった。
「仕事が速いこと」
仕事の正確さ、慎重さ、あるいは向上心など、
大事なことはたくさんあるが、
それらはすべて当然として条件に入れるとしても、
「概念としての“仕事”」で、
彼は「速さ」を何よりも一番大事と挙げたのである。
どうですか?

また、在ニューヨークの世界的ハウスDJ
サトシ・トミイエは、職業柄、アナログレコードを
扱うわけだが、CDを嫌いな理由をこういった。
「だってFボタン押してから曲が鳴るまで
 時間かかるじゃないですか?」
って、ボタン押してから曲かかるまで?
0.5秒もかからないじゃないですか?そん
な時間も待てないのか?
とつっこみが聞こえてくるようだ。
しかし彼がいうとおり、
アナログならば針を落とした瞬間に音が鳴る。
彼はDJという仕事の本質を、この針を自分で落とし、
リアルタイムに音が鳴る即時性にも
見いだしているのではないか?と思う。
こうした答えは、おそらく世の
「職人さん」に共通するものだと思う。
社会に技術を提供して、
金銭を得る側に求められるものはスピードなのである。
そのスピードの意味するものは、
単に仕事を速くすませれば便利とか、
そういう問題だけではない。
仕事の本質として、起動の速さというものは
深く人間存在にかかわる
プライオリティのNo.1になる場合があるのではないか?
コンピュータワープロが道具として
残るためには、ここが実は一番大事なような気がする。
また、コンピュータの起動の遅さに
逆なでされる人の、
社会人としての感性に僕は同調する。

2.開いたらすぐに文章が書ける。

コンピュータワープロは、起動してから書くまで、
ソフトを開くなどいくつかの手順がある。
電源ボタン押して即ワープロになったらいいな?
と思う人は多いだろうな。

3.メール、インターネットとの連関性

ここが重要では?セリエはここでは理想の
第一歩を踏み出していた。
ワープロ画面から直接メールボタンを押して
メール送信ができるように設計されていたのだ。
現在のコンピュータではワードや秀丸などで書いた
ワープロ・エディタ文章をアウトルックエクスプレス
などのメールソフトにコピーして出さなければならない。
ならばアウトルックエクスプレスに
最初から文章を書けばいい?
と思うが、アウトルックはワープロソフトじゃないので、
色々な不便がある。
ワープロ画面から、事故の多い添付ではなく、
メール一発送信できないのか?
ここが、分化された機能の集合体コンピュータの
アキレス腱だ。文字変換ソフト(IME,ATOKなど)と
ワープロソフト(ワード、一太郎など)さえ
分離されているような、
個々に分化された開発のために、
「ワープロからメール一発送信」というような、
本来の機械ならすぐに進みそうな進歩が滞っている。
マイクロソフトはこれらのソフトと
OSを統合させようとして独占禁止法に訴えられた。
(その辺の事情ちょっと詳しくないので誰か
 アドヴァイス下さい)
これは滞っているというより、
ひょっとするとそれはススメない壁なのかもしれない?

4.オールインワンの至便性

コンピュータ評論家でも最も鋭いスタパ斉藤氏は、
数々のコンピュータを使いながら、
結局CD―ROM、フロッピーが一体化した
オールインワン・ノートブックを愛用していると
書いている。
最近はモバイルさえも、ちょっと重い
デルのフラッグシップ機で行ってもいいかな
なんて書いている。
この事実はちょっと注目に値する。

CD―ROM、フロッピーを外付けにすることにより
限りなく大学ノートに近づいた薄型
VAIO505などB5ノートは
モバイル史上画期的だったが、
オールインワン一体型によって得られる
安定感は何物にも代え難いと思う人も多いのではないか?
フロッピー起動や、CD−ROMはコンピュータの
必需であるが、いちいち付けたりはずしたりが面倒くさい、
あるいはその際の接続ミスも多いという人もいるだろう。
それらをしまっているだけで無くす人もいる。
つける場所さえわからなくなる人がいるだろう。
普通人はメチャクチャ、ズボラなのである。
21世紀になっても。

旧ワープロという発想はいわば、
それにさらにプリンタがついた、
究極のオールインワンなのだ。

セリエの場合、それにさらにスキャナまで付いていた。
そこまで付けばほぼすべてだろう。

だが、前述の通り、残念ながらセリエの
スキャナはまだまだ中途半端だったし、
プリンタもいまひとつだった。
旧ワープロのオールインワン発想は
彼方に流れていった
・・。

5.旧ワープロは、日本語ワープロとして
  開発されていること


これが最大の懸案なのだ。
僕はコンピュータのワープロソフトは付属の
“ワード98”を使っているが
「字数、行数」の設定が思うようにできないので
不思議に思ったことがある。
あれだけ色々な機能がついているのに。
書かなければ行けない一行の字数を決めたくても、
うまくそうならないのだ。
もちろんルポや書院などの旧ワープロではその設定は簡単。
プリンタ打ち出すだけでも、必要な一行の文字数の
設定ができることは基本。
それが簡単にできないと、はっきりいって
メチャクチャ困る。
(もちろんメールも早く1行の字数が簡単設定できる
 ようになってほしい。)

どうしてワードでは文字数設定ができないのか?
という問題を業界人に聞いたことがあるが、
「ワードは英語用に作られたワープロソフトだから」
といわれた。
英語圏では半角英字基本である。
日本語は全角漢字中心である。
どうやらこの全角漢字というのが御荷物で、
それをとりまく整備が進んでおらず、
そこがコンピュータワープロの設定を
難しくしているというのだ。真偽はわからないが、
たしかに半角と全角の文字数カウントの不明瞭さは
気になるのである。

ワードでときどき感じる違和感は、
日本語ワープロとして純粋発達した、ルポ、
書院などの旧ワープロと、ワードではその発生が
システムにおいて全くことなることから
くるような気がする。

英語を打ち出そうとして発達した機械と、
日本語を書こうとする機械では方向性が
違うのかもしれない。
もちろん、その隙間を一太郎や
秀丸エディタといったソフトが奮闘して
埋めていってはいる。

しかし、コンピュータという機械の制約の中で発達する
ワープロソフトと、そもそも純粋日本語だけのために
作られたワープロ機械では
発展の方向性が違っていたような気もする。

ヒエエエ、こんな量になってしまった!
以下続くことにしましょう。

PS、ココまで、読んでくれた人に…
   俺はシャープの回し者じゃないけど。

シャープの、ワープロの歴史を綴った、
「ワープロ博物館のページ」を偶然発見しました。
ここは、シャープのホームページから忘れられたページで、
homeからアクセスできないようです。
コンピュータとは違うルートで発達したワープロの歴史、、
今やロボット博物館みたい!

http://www.sharp.co.jp/sc/excite/serie/serie-2a.htm#1977

2000-08-09-WED
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