MUSIC
虚実1:99
総武線猿紀行

第53回
ワープロ生産中止?
さて、コンピュータは?(その1)


今日はハードな話題で攻めてみましょう!

ある種の文章書きにとってショッキングであろうニュースが
2、3週間ほど前の新聞にのっていた。
NECや東芝など、大手家電メーカーが
ワード・プロセッサー=ワープロの生産を打ち切るという
発表がなされたのである。
ワープロの生産を続けるのはシャープ「書院」ぐらいで、
それも現行モデルを続けるだけという寂しさである。
プリンタがついた便利なワープロ、
電源が落ちてもデータが跳ばない強固なワープロ、
絶対に固まらないワープロ・・。
そんな一理ある機械がこんなに早く
なくなってもいいのでしょうか?
と思った人もいるかもしれない。

僕がワープロに出会ったのは1983年ごろ。
そのころのワープロは40〜50万円、あるいはそれ以上?
ある歯医者が予約患者さんの表をワープロで作っており、
みんな「これはスゴイ」と取り囲んで見たのを覚えている。
ほとんど原始人が自動車を取り囲んでいるような物
(おおげさ)。
僕が
「字が汚いので、歌詞や原稿をワープロで書きたい」
というと、その歯医者は
「そんなことにまでワープロを使うのは考えられないなあ」
と、長い原稿をワープロで書くのはある種の
「壮大な事業」(安部公房のような人の事業)といえるほど、
まだまだ特別なことにしか使われなかったような気がする。

80年代中盤。コンピュータはまだまだ、
プリンターも発達してないし、
ワープロとして使われていなかったと思う。
87、88年ごろから気の利いた作詞家は
ワープロを使うようになり、
僕も91年についにワープロを導入せざるを得なくなる。
そのときキャノンワープロの値段が定価22万円で
割り引きで13万円。今ならi-macが充分買える値段だ。
(新型のやつ9万円台の定価っていうニュース見ましたか?)

真っ黒でワープロ以外なにもできないキャノン愛機は
3年強使ってプリンタがイカレました。
ワープロってプリンタからダメになるのです。
フロッピーを20〜30枚残して。
その後、マックノートブック550Cを購入したが、
ワープロとして使うことを断念する。
一に起動が遅すぎたからだ。
ワープロの起動は0秒に限りなく近い1秒。
コンピュータは1分とか?
仕事じゃそんなの待ってられないよ。
次にプリンタとの連動の遅さ。
このころのマックは、それはそれで大変に可愛いく、
「@SHIBUYA」というファーストクラス通信など、
楽しい思い出もたくさんあるが、
材木を切り、茨の道を進むがごとき雰囲気の文字の仕事に、
このころのマックは向かないような気がした。

マック550Cを仕事で使うことをあきらめ、
カシオのダーウィン、シャープ書院最上機のセリエを
使い回した。ダーウィンはなんとスクリーンが90度回転して、
縦書き用に縦長ディスプレイに変わるという、
大変画期的な機械。
これは世界にも類を見ない奇怪で素敵なアイデアだ。
ダーウィン時代は特にコード引っこ抜き、
ブレイカー落ち、など過酷な事件が相次いだが、
そのデータ保護能力には舌を巻いた。





セリエはインターネットに対応した機械でなんと、
ハードディスク内蔵1GB、36.6Kbps。
なのでほぼ1年型落ちのコンピュータと
同じインターネット速度のスペックだった。
しかし、値段が定価28万、店頭21万円かな? たけえ!
今なら600HZのノート買えるぞ!

インターネットに対応した日本語特化ワープロが
何故求められるのかは後述したい。どうやら、
このセリエがワープロのラストランナーになったようだ。
メール機能がついたワープロということでは、
これ以上の機種は今のところ出ていない。
「なぜセリエが成功して、先に伸びなかったのか?」
という疑問が出てくると思う。
それは、実際に間近で見てみればわかる。
デカイ! のだ。幅はともかくとして
縦の長さはノートブックの2倍、厚さも2倍。容積5倍。
巨大、重い。はっきりいって邪魔!
これをノートブックに対抗させていくのは無理で、
やめるほうが早かったのだろう。

そして、これは驚嘆すべきことだが、
ハードディスクを内蔵したセリエの処理速度は、
通常のワープロより遅い!!
そう、なんとハードディスク化したことで、
今までのワープロよりもレスポンスが悪くなっただ!
フロッピーも使えるが、ワープロにしては1GBという
大容量のため、現実的にはフロッピーレス。
フロッピー700枚分の容量があるからイイなスゴイな、
とは思ったものの、その代償に画面転換や文書呼び出し、
文字うちだしのスピードが、もちろん若干の差とはいえ、
おそくなったのは本当にびっくり! ガッカリした。

ここでわかったのは、機械はハードディスクを入れれば
イイというわけではなかったことだ。
起動時間も3秒と遅く(それでも3秒だが)
レスポンスや安定性は、どうも同じシャープのワープロでも
ハードディスクじゃないほうが速くて良い。

おそらく、ここにワープロの発展は止まったのだ。
合掌。
しかし、現実的にはワープロの需要と発展の可能性は
あるはずだ。
コンピュータを買ったものの、
ワープロしか使っていない人は多いだろう。
(この項続く)

2000-08-04-FRI
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