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虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行45回
緊急情報! 輸血チェーン・メール??
不可解でじれる午後


みなさん、いよいよ朝が早くなってきましたね。
今日はちょっと当惑する話しをしたいと思います。
これは人の命にかかわる件です。
しかし、大変当惑する話しでもあります。
このインターネットというメディアが将来、
ちゃんと人間が生きていくために
役に立っていくかどうかの重要な話しです。

1、どうやら事が急を要するらしい。
2、メールについてのマナーを考えたい。

の2点から、緊急に載せたいと思います。
ちょっとややこしいけど、読んでみてください。

まず、僕のところに友人Aから5月末に
こんなメールが来ました。

■抜粋1
「‘私’(‘ ’はサエキがつけた)が
 直接知り合いではないのですが、
 仕事でお世話になっている方から、
 いただいたメールです。」

という書き出しではじまり、
以下に友人Aの仕事でお世話になっている方から来た
メールが引用されます。

■抜粋2
「知人のかたが出産を控えているのですが、
 実は【全前置胎盤】です(全前置胎盤…胎盤が逆になって
 子宮口を覆っている為、出産時は帝王切開で
 胎児を取り出し、胎盤を除去する)。
 血液型がRH(-)AB型の方がおりましたら<私>
(<>はサエキがつけた)宛てご一報ください。」
(XXXX@XXXXと、メールアドレスのみ書かれてる)

という内容。
人間関係要素はすべてこれで抜粋されてます。
これは抜粋1の‘私’つまり、
大切な僕(サエキ)の友人であるAから来た手紙ですが、
抜粋1に書いてあるように、抜粋2の冒頭の「知人」とは、
僕(サエキ)の友人Aの直接の知人ではないのです。
同じ手紙の中に、抜粋1の‘私’と抜粋2のAも
僕(サエキ)も知らない<私>が、引用とはいえ、
同居しています。
内容が具体的で、
非常に胸に迫る思いをかきたてられましたが、
なんだか腑に落ちない感じがしました。
しかし、それがAの仕事でお世話になっている方が
仲介している・・という部分が歯止めになって、
読まずにはいられません。
なんとかしたいと思いました。

問題なのは、これに対する対処が、
先方(つまり<私>)のメールアドレスに連絡するしかない、
という点でした。
(#さらなる疑問を後に書きおきます)

大変心にかかる問題で、なんとかしたいと思いましたが、
それだけではあまりにも、よくわからないので、
とりあえず様子を見ていました
が、そんなメールがきたことを地元・本八幡のクラブ
(というかバーというか?)の
「ドラゴンボール」という店のマスター、
みちさんに話したところ、
「サエキさん、それはチェーンメールですよ」
というショッキングな答えがすぐに返って来ました。

彼もこのメールを受け取っていたのです。
そして独自の調査をしていたのです。
彼によれば、こういうことです。

「この(件だと思う)問題が起こっている(と思われる)
 某医大のホームページを見ると、

 ・(2000年)5月19 日(金)頃より
  AB型Rh(-)の方に供血をお願いするという
  内容のメールがチェーンメール化されて広まっている。

 ・大学本部・病院に対し、全国から様々な形での
  問合わせが相当数寄せられおり
  診療に支障が出ている。

 ・現在広がっているメールの発信者は大学・病院ではなく、
  おそらく非公式の私信が非常に早い速度で広がったと
  考えられる。従ってメールの内容そのものについは
  大学病院側としては一切の責任を負うことはできない。

 ・ただし,その内容(治療上の必要性から日本赤十字社や、
  AB型Rh(-)の方に対して供血のご協力をお願いしている
  こと)に関しては事実。

 とあります」

こう書いてあった内容はホームページを
サエキが確かめたので間違いありません。
(しかし、ホームページとメールに関してのことは、
あるボーダー以上はすべて推測表現になってしまうことに
御注目下さい)
とにかく、善意のチェーンのすさまじい攻勢により、
病院が大変なパニックにおちいっていることは、
このホームページの発表を見れば想像できます。
彼の調査結果は続きます。この献血を必要とした人が
実際にいたらしいのです。

「なお、http://www.XXXXXXXXのホームページ上で
 今回のことについての感謝と謝罪のコメントが
 トップページに載せられていました
 (依頼元であるK社のホームページです)。

 『K社員の夫人の出産に伴うAB型RH-の
  献血お願いメールが
  配布されているとのお問い合わせを頂いております。
  内容はほぼ間違いございませんが、5/24現在、
  必要量を確保できる見込みです。
  弊社社員が友人に出したメールに連絡先が書いておらず、
  転送をお願いする文章が含まれていたために
  多くの皆様にご迷惑をおかけいたしました。
  ここで、お詫び申し上げますと共に、
  ご協力頂きました皆様には心から感謝を申し上げます。
  誠にありがとうございました。』」

みちさんがどういうルートで
このホームページを検索したのかはわかりませんが、
日付と「出産」という記述から見れば、
先述の大学のホームページと関係がありそうだということが
推測できます。
依頼元はどうやらこのページの人らしいですが、
もちろんその保証はありません。
確証はありません。

僕が今書いている、この話しで責任を持って言えるのは、
僕がみちさんのバー「ドラゴンボール」の
ひどくインターバルがあく
常連であるとういうことだけです(笑)!

あとはすべてメールと、ホームページという
「架空の存在」になりうる場所で話されていることです。
しかし、問題は病院という、活動が妨害されてはならない
場所に、甚大な被害が起こったらしいということで、
これは十分予測がつきますし、また、そのことは
最大限に配慮していかなければならないことなのです!
この経緯を書くにあたり、
ホームページアドレスを伏せたことにより、
どこから先がフィクションであったらどうなるのか?
ということについての仕組みを
考えていただけたらと思います。

病院のホームページだって、
フィクションかもしれないのです。
みちさんの調査結果メールは続きます。

「今回はたまたま事実だったようですが、
 それでも被害がありました。
 これが虚偽であったら、
 もちろん同様に病院へ迷惑をかけることになります。
 チェーンメールはネズミ算式に増殖して
 歯止めが効かないので、その数は増える一方です。
 例えば、また来年のこの時期に復活・流行して
 病院へ問い合わせが殺到した場合、
 “去年には真実だったから良いのだ”とは
 言えるのでしょうか?
 あるいはチェーンメールの巨大なトラフィックで
 ネットワーク自体をダウンさせてしまった場合、
 “真実だから良いのだ”と言えるのでしょうか?
 善意は分かりますが、
 チェーンメールにならない手段を講じるべきです。
 例えば(あくまでも、例えば、です)、
 メール中で病院の公式なサイトのURLを示して
 (これで真偽は判別できます)、尚且つ
 “このメールの内容はX年Y月Z日まで有効です”
 と明示する方法など(私はこれに全面的に
 賛成するわけではありませんが)。」

こうしたチェーンメールは、なんと2年も3年も
続く可能性もあるそうです。
罪のない「恋占いメール」なら、まだいいですが、
それも5名送らないと・・というのはどうかと思う。
チェーンのもたらす、想像を絶するその長い蔓延時間が、
先方に及ぼすインパクトを考えると非常に恐ろしいですね。
これを読んだみなさんも、結局のところ、
自分の頭で判断するしかありません。

もちろん、本当に急を要する場合もあるのですから。
「狼少年」の逸話ではありませんが、
大事なときにせっかくのメディアが死んでいては
しょうがないのです。

ともあれ、「このメールの内容はX年Y月Z日まで有効です
と明示する方法」は明解な対処策のひとつの方法かも
しれません。とにかくメールには期日を最低限、挿入したい。

また、いかに急を要する内容でも、全く関係ない人に向けて、
メールしか連絡手段しか持てないような文面で
回って来た場合は慎重に対処すべきですね。
ホームページによる参照がつけば、まだいいです。
しかし、もちろんホームページもすべて安心できません。
やっぱり、現実の住所と電話番号、
そして、人間の存在が確認できるかどうかが
分かれ目ではないでしょうか?

このメールがチェーン化した理由は、
文面の中にある「私」という言葉に
秘密があるような気がします。
抜粋2の「私」(メールの宛先)がだれなのか、
その人が血が必要とする人とどういう関係があるのかが
はっきりしてさえすれば、少し事態は改善されたでしょう。
「私の紹介」こそがこうしたメールでまず求められるのです。
そう、言語学的によく指摘される、「あいまいな日本語」の
「私」という奇妙な存在。
インターネット上に増殖する、このナゾの「私」こそが
やっかいなトリックスターなのかもしれません!

というわけで、この情報の提供者である、
私(サエキ)の友人・みちさんのお店の情報を載せます。
(ホームページはないようです)
みなさんもよかったら、行って、
この話をしてみてください。
この話がフィクションでないことが分かると思います(笑)。

<現実の住所や電話番号>を公開する、
公共の<メディア>である、
<現実に存在する「お店」>は
インターネット時代になり、
新しい意義を持つのかもしれませんね!


T's DRAGON BALL (ドラゴンボール)
〒272-0023
千葉県市川市南八幡4−10−16三田ビル市川館地下1階
(JR本八幡駅南口より出て、まっすぐ進み、
 長崎屋の前を右折、30秒ほど歩くと
 左側に白いビルがあるので、階段降りて地下1階です)
TEL&FAX 047-376-9335
営業時間 8:00PM〜3:00AM
定休日 火曜日


「6月中に、『総武線猿紀行見たよ!』と
 おっしゃっていただいた方には、
 ドリンク1杯プレゼントいたします」

ということです、ドリンクは最低1杯頼んでから、
もらってくださいね。念の為。それではまた! チャオ!


・・・・・・とお別れを書いた後に最新情報が入りました。
なんと6月5日にこんな発表が
上記病院のホームページになされました。


(6月5日付けXXXXXXX病院ホームページより)

AB型 Rh(-)の方への献血依頼について、
ご協力ありがとうございました。当初、
7月上旬の手術を目指していましたが、
6月3日に緊急手術となりました。
約40人の方々から献血ご協力の申し出をいただき、
また東京都西血液センターとの連携も潤滑に行われたため、
緊急手術に際しても、十分な血液を確保し
手術に臨む事ができました。
当院一同、様々な方々からのご協力に深く感謝いたします。
XXXXXXX病院 産婦人科

メールが初期には役に立った可能性もあります。
とりあえず、良かった!! 良かった!!!!!


#冒頭部、手紙についての考察

考えてみると、この抜粋2の「知人」という人は
友人Aのお世話になっている人の
知人なのかどうかがよくわからない。(引用マジック)
そもそも「友人Aがお世話になっている人」の名前が
わからないので、「知人」「私」がだれだかわからない
文面になっているのだ。誰が、誰の知人なのかが、
こうしたメールでは、はっきりしない。

☆誰かが、自分のところが経由地や連絡先にならないように
自分の立場(アドレスなど)を、はしょってしまうから、
チェーンが始まるのだろう。☆

したがって、こうした緊急メールは「私」がだれであるか、
必要者がだれであるか、契約書なみに「甲」「乙」をつけて
語られる必要があるのだろう。
そして、メール以外の連絡先も。
でも、パニック時にはそんなに冷静で
いられないのであろうが・・・。

2000-06-08-THU

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