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虚実1:99
総武線猿紀行

第18回

「年末年始は1年の計(その1)」

12月31日は、泣きながら過ごす。
もう何年そうしてきただろうか・・・。

その昔、8月31日を泣きながらスごした。
今は12月31日だ。ここ10年ぐらいそうだ。
まあ、おわかりだと思うが、部屋が片付いていないためだ。
片付けようとしては、12月2日ぐらいから燃えている。
12月10日ともなれば、少し手も付け出している。
しかし・・・、ダメだ。
12月30日には絶望サインが出る。

その原因は半分ぐらい年賀状というもののためにある。
年賀状に費やす時間は年末の重要な時間の70%を奪う。
今年は、住所録をついにうちこんだ。
そしてそれは1月5日にトンだ。・・・おお。
その他はもう覚えていない。
なにをしていたのかさえ、良く思い出せない。
きっと、電話したり、あいさつしてたり、
買い物にいってるのだと思う。

そう、買い物。年末には買い物せずにいられない。
あの、独特の年末空気感が、
人をいやがおうでも買い物に誘う。
頼まれ事などホイホイいってしまう。
それがイカン、イカンのだ。
電気屋などがまた、人の物欲を誘う値引きをする。
ひいきにしている近所の第一家庭電器は、
かつて、値引き商法により市川市のトップにたった。
大型家電修理や、門灯の据付などで
顧客を固定していた、ナショナルチェーン店を駆逐した。
しかし、その第一家電も、
今はかなた東京のビッグカメラやサクラヤに追われる身。

余談だが、
サクラヤとビッグカメラのポイントカード値引き戦争は、
(前者10%、後者12%)は
最終戦争と言ううわさを聞いたことがあるだろうか?
それというのも、まず、ビッグカメラは
最初短期で終わりにしようと思っていたのだが、
例の年末の消費税還元ブームで引くに引けなくなり、
さらにサクラヤが参入した。
そのタイミングがハルマゲドンを起こしたらしい。
本来、12%とかいうのも、
そうそうお客が替えにくるもんじゃないと思って
設定されているらしいのだが、不況のため、
みんなドンドコ替えに来てるらしいのだ。
それがひじょおおおおおに健康に良くないらしい。
不健康のまま、どうやら、宿命のライバルの両者は、
どちらかがつぶれるまで、
今回の戦争を続けるといううわさが
まことしやかにささやかれているのだ。
そういうハルマゲドン。
僕も、今財布の中では、札の金額よりも、
ビッグポイントカードのほうが高価なんですけど。

というわけで、第一家電はヘビー顧客を対象に、
セール招待ハガキを送りつけ、ハガキ持参の人だけに
ビックカメラに負けない優待価格で売る。
ハガキには
「そっとこのハガキを、他のお客さんにバレないように、
店員にお見せください」と書いてある。
なんと、優待ごころをそそる文句であろうか?
今回の目玉は、万歩計500円。これ、やすくないっすか?
ビデオテープは、マクセルかなんかのやつが、5本600円。
うぬぬ、1本120円??? 
これで、標準モードで映画が5本、小津安二郎「浮草」も
黒澤明「デルスウザーラ」も、
ええい、それより「ラストショー」も、「恋する惑星」も、
「マドンナのスーザンを探して」も、
全部たったの600円でとり放題じゃないか?
ましてや、3倍速にすれば、
「天使の涙」も「カラーズ」(デニスホッパー)も、
「ダイヤルMを回せ」も「墨東奇たん」
(字出ません墨田ユキ好き好き、劇場でも見た)
「アラビアのロレンス完全版」(34分長いのだと)
「乱れ雲」も見放題ではないか?
ついでに『火星人来襲」も。
これ全部1週間でやったやつですぜ? だんな!
正月ってやつをどうにかしてくださいよ!

結局見たのは『浮草」だけですが、とてもよかった!
トラさんもいいけど、正月は小津さんっすね!
なんか、芸能関係にとっては身につまされる内容ですが。
「秋刀魚の味」もオールドミスのみなさんには
モロぐさっとくる内容で、
あれだけおっとりした映画なのに、
どうしてああグサグサグサっとくるんでしょうね。
ある意味じゃ遠慮ないっすよ。小津さんったら。
人様の人生に対して。
まあ、とりもしないビデオ10本と、
プリンタインク1年分と、プリンタ紙半年分と、
なぜかヘアドライヤー買って帰ったんですわ。徒歩で。
これが、重い!!! 年末は重い!!!

そんなこんなで、家帰ってまんじりとしてたら、
スピードが始まりましたよ。
紅白始まったら、掃除なんかするもんじゃないね。
ヤなもんですよ。
紅白をラジオで聞きながら掃除っていうのは。
だぱんぷとスピードという組み合わせはよかったですな。

(つづく)

1999-01-16-SAT

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