MUSIC
虚実1:99
総武線猿紀行

総武線猿紀行第271回
「君づけの人間関係はどうだ?」その3
「お前」と呼びつけ、そして「オタク」、
クンの彼方に日本は進む

ワールドカップのユーロな展開と結果、
大変にキナ臭い国際情勢に囲まれ、
みなさん、いかにお過ごしでしょうか?

さて、大藪春彦という、
意外なオタクの言葉発祥の地が明らかになり、
僕にとっても月日と人間関係がボーっと甦って参りました。

マニアとマニアの間の距離をとる「オタク」という言葉が、
現在のオタクとは似ても似つかないシブくて
ハードボイルドな登場人物から発せられた
言葉だったということですね。ビターな発祥地です。

しかし、それを受けた新井素子さんや、
その頃の人気アニメ「うる星やつら」
「宇宙戦艦ヤマト」になると、
スウィートなファンタジーや
アイドル的要素が入ってくる。
そこが現在のオタク、ヤオイに至る門でしょう。
多少ビターな「エヴァンゲリオン」も
ハードSFである同時にファンタジーや、
スウィートな部分もある、と感じます。
(前半から中盤にかけて毎回、ホッコリとマンションで
 なごむシーンが出てくるところに
 「うる星」的要素を感じる)

ところで、実は今回、このテーマで
書こうと思ったきっかけは、
漫才の「レギュラー」であります。
「あるある探検隊」というネタで有名な。
京都出身の松本康太、西川晃啓の二人組で、
お互いを「松本君」「西川君」と
「クン」づけで呼び合う。
それがなんともこそばゆいのであります。
微妙な面白い味を出している。

同じ関西のダウンタウン、
あるいは東京でもとんねるずといった二人組には、
ぶっちゃけた激しい男二人関係の味を感じますが、
レギュラーのこの互いの呼び方には
「お互いの小心さを思いやる世代の男」
といった匂いが濃厚にする。それが新鮮だったのです。

彼らの「クン」は
「パンツをはいて修学旅行のお風呂に入る世代」
の匂いがするのです。
「オタク」には相手の持ち物を探る
インギンな視線が見えるなら、
レギュラーの「クン」には
子供っぽい響きを演出しながら、
相手の立場を微妙にタテる視線を感じます。

どちらにせよ、男の言葉であります。

「クン」や「オタク」という言葉は、
男に生じた社会的関係問題についての対策なのであります。

女性は、常に生理レベルに落として点検して、
臨機応変に敬称問題を個人で解決しており、
このように呼び名というものが、
時代性を帯びて問われることはないような気がします。

その昔、戦争中には、上官が部下に
「貴様」とよびつけました。
キサマは他人の命さえ左右する、
命がけの関係性を表す言葉だったといえましょう。

キサマも、ほぼ男だけの問題だったということです。

戦後、僕の上の団塊の世代などを見ていると、
問題なく、「たくろう!」「泉谷!」などと
呼びつけで呼び合っています。
「たくろう君」とか、
「おたく、エレックだってね」とか、
微妙な距離をおきながら、
親しい中で回りくどい人称でいいあう
「親しい」関係性は、団塊までの世代で
あまり見あたらなかったような気がします。

僕らの昭和30年代前半世代は、
呼びつけ、「ちゃん」「君」が入り交じりあい、
混乱を呈していますが、まあ、団塊と同じような感じ。
しかし、多少のモロさは感じます。

大人になってから、同世代の人を呼ぶ時には
多少の工夫がいるようになりました。
地位と距離との兼ね合いです。

昭和30年代前半は、
大人になっても呼びつけできる
さわやかさに欠ける世代かもしれません。

団塊の世代のようにぶっちゃけた関係性が
少ないような気がします。

さらに僕の下の昭和30年代後半、
昭和40年代世代になると、タテ関係については、
かなり厳密になっているようで、
下は呼びつけか「クン」、
上は「サン」はかなり徹底していて、
それをアヤフヤにはしないようです。
ぶっちゃけることなく、上下の関係性は、
前提としてしっかり意識してつきあう世代なのです。

「オタク」はそうした、
上下をはっきりする世代で生まれた言葉。
アニメなど、お互いの上下をハッキリさせるには、
ちょっと語弊があるような分野についての会話で、
上下左右の関係性位置づけを
あいまいにする必要が出てきたのではないでしょうか?
「オタク」という言葉を使って。

こうした状況を、女性はどう思われますか?
女の人で男の人を「キミ」とか、
あるいは親しげにクン付けで呼ぶ人がいますよね。
そういう人には、面白いな〜、と思える人もいます。
それでも、女性はたいてい、
人称でギクシャクすることはないですよね。

女性が多数社会進出している今、
人称問題の行方がどうなるのか興味あります。
「クン」「オタク」などの人称問題は
「あくまで男の作っている社会の鏡」というわけです。

レギュラーの呼び合う「クン」づけの感覚は、
「オタク」によって作られている
マニアックな層を横目に育っている、
新たな社会人のメンタリティを
表しているような気がするのです。

男同士呼び合う「クン」のこそばゆい響きにこそ、
今の男の子の素顔が隠されている? のでは?

(この項 終了)

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     /Ba バカボン鈴木/Dr 宮川剛)
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 〜クロコダイル〜】
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2006-07-12-WED

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