「ほぼ日公式ラーメン」を
作ったぞー。

今度のコラボレーションは日清食品と、だよ。

第七回 「ラーメンをめぐる冒険」


ラーメン食べたい

らーめんたべたいっ♪
いますぐたべたいっ♪

シェフ武井から借りた、
「Beautiful Songs」のCDを聞きながら、
奥田民生になりきって、名曲「ラーメン食べたい」を
歌っているのか叫んでいるのか。
もうしわけありません、高田馬場サガコでございます。

前回は「ほぼ日公式ラーメン」の味が
『こんがりガーリックしょうゆ味』に
決定したところまでをお伝えしました。

しょうゆスープのほぼ日公式ラーメン。
ふたを開けたとたん、
こんがりローストしたにんにくがちょっと香り、
お湯を入れれば、湯気にのって
更に香ばしい匂いがふわわ〜ん…。
パッケージにはもちろん、アッキィ画伯のおさるの絵。
よーし…うんうん、おいしそうなラーメンのイメージ、
いいわぁ、これ、食べたい食べたい、
出来てきた、出来てきたっ。
これでもうすぐ発売だー!
……なーんて思ったら大間違いなのでありました。


ただ「ほぼ日公式」って名前が付けばいいのか?

味が決まった翌日のこと。
「これでいよいよ発売だなぁ」と浮かれていた私に、
ほぼ日定例ミーティングで、darlingが言いました。
「味のイメージは決まったようだし、
 あとは『ほぼ日公式ラーメン』って名前つけて
 発売でーす!
 なんて思ってるんじゃないだろーね?」

ダメですか?
例えば、おさるのなるととか入れちゃって、
パッケージもおさるにして、っていうんじゃ、
ダメですか?

「そりゃ、ダメでしょう」

会議に参加していた私たちは顔を見合わせながら
「おさるがかわいくて、おいしそうだったら買うかも…」
などとぼそぼそ。

すると、darlingがアメリカ人みたいに
でっかい「ノンノンノン」の首振りリアクションで
言いました。

「君たちが『ほぼ日』をヒイキしてる人だから、
 買うんでしょう。
 十文字さんの話、したよね?
 ラーメンを誰に食べて欲しいのか、
 ちゃんと思いだそうよ。
 もちろん『ほぼ日読者』に届けたいよ。
 でも、今度のラーメンは「ほぼ日」の外にいる人たちが、
 お客さんになるんだ。
 きついこと考えたら、「
 ほぼ日」のことなんかまったく興味ないっていう人にも、
 このラーメンに興味を持ってもらわなきゃいけないだろ。
 もっと広いんだよ、呼びかける範囲が。
 日本中の忙しい人、
 日本中の「これから勝負」っていう人、
 日本中のなにかに打ち込んでいる人。
 そういう人達にほぼ日ラーメンを食べて欲しい。
 逆にいえば、そういう人たちを応援したいって商品だ。

 だったら『けっこうおいしくて』『おさるがついてる』
 だけじゃ、知りあいにもなってもらえないと思うんだよ。
 ほぼ日自己満足ラーメンになっちゃうぜ」


環境を食べる、ということ
 
ここからはdarlingと言うより、
コピーライター・糸井重里氏としての
お話、かもしれない。

「商品っていうものには、環境がセットになってるんだよ」
 質問するよ。
 個人的にサガコは『釣りが趣味です』っていう男の人を
 どう思う?」

いきなり、なぜ、釣りの話?
慌てながらも、釣りが趣味な人をふわふわとイメージして、
私は答えました。

「えーと…かっこいい…余裕がある…休みをとってる…
 仕事にがんじがらめになってない…アウトドア派…
 車は四駆に決まってる…ギラギラのサングラス…
 自家用ボート……」
「いや、そんな細かくなくていいから。
 どっちにしても、かなりのプラスイメージを
 もってるんだね、釣りって趣味に」
「はい」

darlingはおかしそうに笑って、言います。
「サガコ、ホントによーく考えてみてごらんって。
 『釣り』ってそんなにかっこいいかな?」
「え……?」
「小学生の頃とか、大人になってからもだけど、
 釣りって、かっこよかったか?ほんとに」

思い出します、釣りのことを。
お父さんとおじいちゃんに連れられて、
私も良く、海釣りに行ったものです。
よくよくよーく思いだして考えてみます。

確かに釣りに行けば、
魚や生き餌を触って手が生臭くなるし、
海風にさらされれば髪とか肌とかごわごわになっちゃう。
長靴履いて、帽子かぶって、魚を釣る。
とてもとても『かっこよい』とは言えないかも…。

「かっこよくないだろ?」とにこにこdarling。
「……はい」と正直にうなづく私。
「でも、釣りをとりまく環境が変化したんだよ。
 で、だんだんと釣りがかっこいいって思う人たちが
 増えてきたわけだ」
darlingは、続けます。
「じゃあ、『ほぼ日真心ハラマキ』は、どう?」
 それと、バカボンパパがしてるハラマキは、
 かっこいいい?

 例えば『ほぼ日真心ハラマキ』を思いついたのってさ、
 はらまきを取り巻く環境を変えてみたかったからなんだ。
 はらまきって親父がつける物で、ださくて、
 とても若い人に受け入れられないもの、と
 思いこまれてた。
 だけど、『ほぼ日ハラマキ』は、
 まずデザインをかっこよくしたよね。
 素材も一生懸命探して選んで、
 これが答えだっていうような糸を使ってるよって、
 読者にアピールした。
 しかも、見えもしないところに『真心』って
 タグまで入れちゃった。
 はらまきは、はらまきでしかないのにさ。

 でも、スタッフも読者も、
 今『ほぼ日真心はらまき』をいままでのハラマキとは、
 ちがった目で見ているよね、もう。
 もちろん、俺もだよ。
 今までは、ずっとハラマキを愛用しながら、
 『あぁ、はらまきしてるなんて誰にも言えない…』って
 思ってた人たちも、こんどの『ほぼ日ハラマキ』なら
 冗談めかしてでも、堂々と言っちゃうと思うんだよ。
 
 ハラマキはハラマキなんだけど、
 その環境を変えたら、
 別の意味を持ってきて、輝いたりするんだよ」

シェフ武井が、うなずく。
「横尾さんも、その環境の革命がおもしろい!って言って、
 ぼくもデザインをしようと乗ってくれたんだよ」

はらまきに対するイメージの変化…。
釣りに対するイメージの変化…。
商品の置かれ方や、使われ方、見せ方なんかを
変えていくことで、その商品の持っている
特有の環境が変化して、別のものになっていく。
それが『商品環境が変化する』ってことかぁ。

「ラーメンだって一緒じゃないか?
 インスタントラーメンの環境を変えなきゃ。

 そしたら、みんなが見栄を張って
 インスタントラーメンがさみしい食べ物だ、
 なんて言ってるのが、かえっておかしく見えてくるよ。

そして、また宿題。

今、darlingから説明されたこと、頭では分かった。
けど、ここから、どんなラーメンかって
現実にしていくのは相当難しいんじゃない!?

「難しいからおもしろいんじゃないか。
 ところで俺、いいことをもう、
 思いついちゃってるんだよね」
えっ、マジですか?
「でも、今はヒミツー」
ぎゃー!
このパターン、すごくイヤな予感がするぅ〜。

「じゃ、俺、アッキィと電話で打ち合わせして、
 パッケージとかそこらへんのこと、
 ざっと詰めちゃうわー。
 じゃあねー、るんるんっ」
と、楽しげに去っていくdarling…。
ああ、後ろ姿が消えていく〜。
ちょっと、また置いていかれたような感じも。

にしても一体、一体どんなラーメンになるというのだ!?

というわけで、
いよいよ次回は「ほぼ日公式ラーメン」の第1回企画案を
ばばーんと皆さんに公開してしまいます!
アッキィ画伯デザインのパッケージも、
どどーんと見せちゃうよっ。

どうぞ、ご期待ください!!

2001-12-17-MON

BACk
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