ポカスカジャンの脱線マガジン。

ツアー日記

9月22日(水)河口湖、雨また雨

今回のこのワークショップでのポカスカジャンの
与えられた使命は“にぎやかし”だ。
別に与えられなくても勝手ににぎやかっちゃうとこが
あったりするけど、殊勝げにその使命を受け止める。
かといって誰かに

「ねぇ、ポカスカ、ちょっとにぎやかしてよ」

とどこかのTV局のディレクターみたいな事を
直接言われた訳ではなく、勝手にそう思い込む。

ポカスカジャンはお茶目だ。

“にぎやかし”の時にアコースティックギターは
絶大なる威力を発揮する。
“ジャーン”と鳴らすだけでいい。
これがエレキギターだと“ギュワーン”となって、
自己主張が強すぎる。
“俺が、俺が”度数が高くなりすぎる。
“ジャーン”、明るくて、すごくいい。
けど気をつけなければならないのは、
押さえるコードはメジャーでなければならないと
いうことだ。7thや9thをカッコつけて入れて、
悲惨なブルースにしてもよくない。
ましてやマイナーなどもっての他だ。
友川かずきになってしまう。

『生きているって言ってみろー』

そんな“にぎやかし”は聞いたことがない。
シンプルメジャー、しかも“E”あたりがいい。
E・E・E・気持ちE。
さらにブルーサンダー’99(のんちん御手製の
携帯バケツドラム)のパフパフだ。
お笑いムードニ満点になる。
どんなにシャウトしても、どんなに上手く
フェイクしても、このパフパフ一発で、
一気にお笑いになる。
恐るべしパフパフ、そしてありがとう、笑点。

このワークショップには全3回を通じての
テーマソングがある。
松山千春の『人生(たび)の空から』だ。
この曲を参加者全員で歌うのだ。

♪まわり道でも 人生の終わりに
 君にもう一度 逢えたならいいねー♪
 
そして伴奏がポカスカジャンなのだ。
いままでこの曲をみんなの後ろで演奏しながら
いろいろなドラマを見てきた。
第1回ワークショップでは、最終日、最後にみんなで
歌ってる時、何故かのんちんが滝泣きしてた。
徳光さん状態だ。
参加者を凌駕してしまっていた。

そして今回だ。エチュードなんかやってるみんなを見ると、
とても素人とは思えない。
喰マジック炸裂だ。

「俺らよりおもしろくしないでよー、喰さーん」

とのんちん。まさしくだ。ケツの穴が小さい。
しかものんちんは、痔だ。勘弁してくれ。
みんながエチュードの打ち合わせをやってる時、
無言のアピールでギターを弾く。

「玉ちゃん、うるさいよ」

喰さんに怒られた。

(PSJ/玉井伸也)


グッドマンのワークショップ参加ルポ

ワークショップ2日目、
やっぱり雨が降っている。
男子のロッジは雨漏りまでしているらしい。
僕は人数からあぶれて、スタッフルームに寝場所を
確保した。みんなとワイワイ泊まるのが楽しいのだが、
雨漏りの中のギュウギュウ詰め雑魚寝はみんながつらい、
ということで、スタッフルームの2段ベッドのひとつに
寝ることになった。
その部屋は稽古が行われるメイン棟の中2階で、
ベッド脇の窓からホールが見渡せる。
寝坊しても遅刻しない距離。それはありがたい。

さて2日めでようやくPSJが揃った。
玉ちゃんが遅れた理由は、いずれこのページで
本人からの報告があるだろうから、
僕は記さないことにしよう。
人のことはまったくもって言えないけれど、
人生っていろいろあるのよねー。

さて、昨日から本格的な授業が始まった。
まずは、「落語形式で、思い出の歌を紹介する」
というもの。しかしこの“落語形式”というのが
難しい。知っているようで、やってみると
意外とわからないのである。
座布団はどっち方向にひっくり返すんだっけ?
最初に世間話みたいなことをしてから本題に入るんだっけ?
話すネタが思いついても、それをどう話せばいいのかが
わからない。いきなり結論から行くか、
それとも思い出ばなしを先にするか。

しかし、考える時間はない。とにかく前に出て、
話さなければいけないのである。

毎日、27人の生徒のうち9人が発表する。
僕は昨日、いきなり3番目になって、
頭が真っ白になったまま、
なにを話したかもわからないうちに終わってしまった。
(ちなみに、思い出の歌はトーキング・ヘッズの
Road to Nowhereです)
テレビなんかで芸能人がスラスラと自分のことを
おもしろおかしく話すけど、あれはやっぱり
鍛えられた芸なんだなあと、自分がやってみて
やっとわかる。
ほかの参加者がなかなかイイ話をして
涙ぐんだり大笑いしたりしているのを見ると、
やっぱりクヤシクなる。
ちっ、他でがんばるぞ、と蒼い闘志を燃やしてしまう
33歳であった。

今日の授業は「アートストーン」。
拾ってきた石に、いろいろな絵を描いて展示する。
石の形をうまく使うのが「ウマイ!」と言われる
コツだということはわかるんだけど、
なかなかうまくできない。
僕は丸い石がぱっかり割れているのを拾ってきていたので
西洋の古地図に出てくるような顔つきの太陽を
半分だけ描いて「太陽のかけら」という題をつけた。
連作で、月と星もつくった。
なんだかやけに「狙った」感じがしたけど、
みんなの投票で上位6作品に残った。
やっぱり評価されるとウレシイなあ。

そしてもうひとつ、裁判のエチュードである。
「福田かずえ」という、福田和子のような架空の
被告を想定して、弁護側・検察側・陪審員にわかれて
裁判をすすめていくのである。
夫殺しで時効直前に逮捕された、ということだけ
決まっているのだが、ほかのことはどんどん創作していい。
検察側は「こいつはこんなにひどいやつだ」という観点で、
福田かずえの罪を立証していく。
弁護側は「いいや、こんなにいい人間だ」という観点で、
人間性をアピールし、殺人は正当防衛であると主張する。
そのやりとりを見て、最後に陪審員が感想を述べあう、
という骨子なのだが、なかなかうまくいかない。

「福田かずえは、赤の広場を青ペンキで塗り替えたという
 ひどい女なのです」

なんていうハチャメチャさで、笑いはとれたものの
ちょっと喰さんの狙いとは、ずれた方向に。

「明日はもっと緻密に準備してくるように」

という宿題が出ておひらきになった。

さて、これを書いているのは夜中の2時すぎ。
横では九十九一さんとポカスカジャンが経営する
「クイズ・バー」が開かれていて、
大いに盛り上がっている。
クイズに答えないと酒もつまみも出てこない、
という、酔うに酔えないバーである。
接客側のポカスカジャンも、他の人のクイズに
答えないと、飲むことが出来ない。
省吾は驚くほど雑学の知識があって、
ばんばん答えてガンガン飲んでいる。
玉ちゃんは音楽や文学の問題にメチャ強い。

「おそ松くんの兄弟の名前をぜんぶ言いなさい」

というクイズに、頭にタオルを巻いているのんちんが

「ハイッ 俺俺俺!」

と手を上げた。

「えーとだな、おそ松、トド松、カラ松、
 一松、十四松、……あれ?
 あとひとり、だれだっけ??」

「ダメです、ブーッ!」

答えられない罰としてのんちんは押し入れに入れられた。

最後の一人って誰だっけ?

(グッドマン)

1999-09-30-THU

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