ポカスカジャンの脱線マガジン。

ツアー日記

9月13日(月)晴れるも肌寒い 札幌〜夕張

朝ぐっしょり汗をかいて目覚める。
昨日の夜も38℃くらいの熱だ。
青森から3日、まだ熱が下がらない。

打ち上げもウーロン茶かなんかで
早く一人帰って寝てるといろんな事を考える。
いつもカゼをひく度に期待するのは、
熱でぐるぐるになった頭で
くすりをガリガリのみながら
考え事や妄想をふくらまして、それが勝手に
『ルーシーインザスカイウイズダイアモンド』げな
ウニャララワールドが見れないかな──風な、
淡い期待だ。
天井のつなぎ目からブランコで小人達が
生クリームケーキをもって降りてきて、
部屋中のガラス製品を塗り替えて、
そこに住み着いて、
街が出来て、
太陽が昇ると、
床の下から大津波が押し寄せて……。

そんな“シムシティ幻覚版”みたいなのは
一度も見たことがない。

一度だけ、海の中に牛がいる幻覚を見たぐらいで、
だいたいは、腕出さないようにとか思いながら
寝てるだけで、寂しい限りでござんす。

買ってきてもらったみかんの缶詰と
のむヨーグルトとおかゆを食べる。

病人の楽しみは食う事だ。
ポカリスエットの飲み過ぎで口の中がバカボンだ。
のむヨーグルトの中にみかんを居れる。
特に驚きなし。
何か酸味が増した。
無理して食べる。

夕張へ向かう車中では、奥田民生が流れる。
“さすらい”と“イージュー☆ライダー”(アルバム
バージョン)だ。
北海道の大地を車で飛ばしてると、スゴクはまる。

夕張に来た。いや、“帰ってきた”だ。
今年2月、夕張国際ファンタスティック映画祭以来だ。
(ホテルシューパロでの“ワハハ本舗”
ミッドナイトライブは、ナント300人のキャパに
800人のお客さんが入りライブをやった。)

「グッとくる〜〜」

と感激するのんちん。
そう言った後、静かになる。
見ると泣いてた。
涙垂れ流しだ。拭っていない。
イージューライダーと涙と垂れ流し。新井さんもだ。

男は年を重ねると、涙もろくなるのだろうか。
戦士の涙。否、夜の戦士の涙。
こっちの方が当たっている。

今日のライブは通称“みんなの家”と呼ばれてる、
夕張青年婦人会館だ。
2月にやった時とは見違える程キレイになってる。
しかもポカスカジャンの看板付きだ。
やる気が起きない訳がない。
けどトラブルが起こる。
本番直前、市長の息子という人が突然マイクを握り、
何かあいさつを言ってる。
予定にない呼び込みをする。

「それではどーぞ、バカスカジャンです」

僕達には、キチンとリハーサルしたオープニングがある。
新井さんが、

「大丈夫、出なくていいよ」

と言う。少しだけ気を取り直す。

「よし、行こう」

のんちんが言う。

ウッドストックのSEが流れる。

「ハイドーモ ポカスカジャンで〜〜〜〜〜〜す」

あと3つだ、と思った。

(PSJ/玉井伸也)

1999-09-21-TUE

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