2013/08/22 11:00
5人の先生が
やってきます。

今年は、
ゲーム会場とは場所を別にして、
静岡おでんをつつきながら、
静かに話をきくことになりました。
会場は、この会議室。

インタビュアーは、
が、
5人の先生のお話をききながら、
その場で編集&テキストに
おこしていきます。

先生は、乗組員2名。
そして、
外から3名をお呼びしています。

どうぞ、おたのしみに〜!

あ、質問はもちろん、
いまも受付中です。
postman@1101.com
までどうぞ!


2013/08/22 11:18
さて

こちら、静かに
勉強サイド。
最初の先生を待っております。


2013/08/22 11:34
今日最初の先生です

こんにちはー。
勉強サイド、本日最初の先生は
御手洗瑞子先生です。
御手洗先生は、現在
気仙沼ニッティングの社長で
あらせられますが、
その会社では上から数えても一番、
下から数えても一番、な状況です。
(つまりひとりだけの会社)

東京大学経済学部を2008年に卒業、
ということは、それは5年前?
6年前は大学生だったんじゃん!!
よ!

ほぼ日では、唯一
東大を「卒業」した人であります。
(入学した人はほかにもいる)


2013/08/22 12:06
こどものとき

さて、御手洗たまちゃん。
御手洗先生の、子ども時代は
どんな感じだったんですか?

「あのね、とにかく
 よく質問する子でした。
 幼稚園の先生にも、親にも
 『なんで月のかたちは変わるのか』とか
 『タオルの濡れている場所が
 なぜひろがるのか』とか
 いろんなことを聞きまくってました。

 小学生のときはね、成績が悪かったです。
 下から2番目のときも」

下から、2番目?!?!?!


2013/08/22 12:11

なぜ、御手洗先生のような方が
下から2番の成績だったのでしょう?

「なぜなら、提出物をほとんど
 出さなかったからです。
 たとえば、漢字の練習帳。
 みんな毎週きっちり提出しているのに
 私はほぼ1年、出しませんでした。
 それを、最後の3月になってぜんぶ
 ガーーーッとやる」

ははぁ。

「漢字を練習していないから
 テストはもちろんできない」

そうなんだ。
3月でなんとか挽回してないんですね。

「でも、いまは漢字得意なんスよ」

ひーーー!


2013/08/22 12:17
言われたら、やるの?

「小学校のディベートの授業で
 『うどんチームとそばチームにわかれて
 議論をしなさい』
 という課題があったことがあるんです。
  
 私は、なぜそういうことをやるのかを
 先生に質問しました。
 うどんの好きな人はうどんでいいし
 そばの好きなひとはそばでいい。

 先生も、そうなんだけどー、って言ってました」

御手洗先生は、
言われたらやる、ということが
お好きではなかったんですね?

「というか、意味がぜんぜん
 わかってなかったのです。

 宿題も、提出物も、みんながなぜ
 きちんと提出するのかがわかっていなかった。
 言われたから、やるのか?

 その割には授業ですごく質問するから
 先生にとってはやっかいな生徒だったと思います」

そして、御手洗先生は、
出された宿題には手をつけず、
勝手にバスの運転手さんの仕事ぶりを観察したうえ
それをレポートにまとめるという
「勝手自由研究」のようなものを
提出したりしていたそうです。

「それもこれも、
 ものごころがついてなかったからです。
 先生ごめんなさい」


2013/08/22 12:23
じゃあいったいいつから?

では、いったいいつから
ものごころがついたというのでしょう?

「それは、13歳です。
 13歳くらいから、ちゃんとした記憶があるし
 15歳から、ものを考えていた記憶がある。
 15のとき、何を考えていたかを憶えているし
 その考えは、いまの自分とつながっています」

へえええ。

「勉強は、中学に入ったらできるようになりました。
 小学校のときは、先生が
 『言わせようとしている』ことを答えると
 マルをもらえるような空気があって、
 私はそのことがまるでわかっていませんでした。
 
 でも、中学に入ると、
 いい子が点を取れるというのではなく、
 勉強をして、点数をもらうという
 シンプルなシステムに変わっていました(笑)。
 
 勉強で習ったことをひろげて
 教科書以外のところで
 考えを深めるのがおもしろかったです。
 先生も、そういう質問をすると
 ちゃんと答えてくれる人が多かった。

 そこで、気づいたこと。
 試験で点数を取れていると‥‥つまり、
 やることをちゃんとやっている生徒は、
 ほかのいろんな場所でも
 大人たちから話を聞いてもらえるんです」

そうすると、勉強も
やる意味が出てくるね!


2013/08/22 12:31
現役東大合格まで

「私の通っていた高校は
 東大進学者が特に多くなかったので
 とくに理系の勉強は遅れていました。
 だから、受験はとても時間がなくて。
 
 高校生のときに出会った家庭教師の先生が、
 おもしろい先生でした。

 授業もそっちのけで、長いときでは4時間ぐらい
 無駄話をするんです。
 というか、私の無駄話につきあってくれるのです。
 
 学校のこととか、考えていることとか、
 たくさん話しました。
 親でもない、先生でもない大人との無駄話って、
 おもしろいし、勉強になるんですよね。

 勉強のことは、いつも、
 シンプルな基礎のところだけ教えてもらって、
 あとはひとつだけ宿題を出していただくんです。
 たとえば、2週間後までの宿題が、
 数学の問題を1題だけとか。
 たったそれだけなんですけど、
 それが、ものすごーーく難しい。

 私はその問題を解くためになんでも見ていいんです。
 参考書で公式を調べてもいいし、
 過去の例題を探して、解法を見てもいい。

 そうすると
 『どうやったらこれが解けるんだろう?』
 と考えて、調べるから、すごくおもしろいんです。
 2週間、ずっーーと考え続けて。
 
 解けたこともありますし、
 解けなかったこともありました。

 で、あとから、「これは東大の過去問だよ」と
 教えられたりする(笑)。
 
 そりゃぁ、難しいわけですよね。
 でもそれぐらい、没頭して考えるというのは、
 私にとってはとても楽しかったんです。

 これがもし、計算練習などをたくさんさせられたら、
 私はすぐ飽きてしまったと思うんです。
 だからこれは、私にとっては、
 すごくいい勉強法でした」

その先生は、どうしてたまちゃんには
それがいいと、わかったんだろう?

「4時間も無駄話をしていたから、
 なんとなくわかったんじゃないでしょうか」

なるーーー。


2013/08/22 12:42
考える力

では、御手洗先生にとって
勉強で大きなポイントというのは
どういうものだったでしょうか。

「まず、高校のとき、
 すごく没頭して物事を考えたことがあって、
 その経験はすごくよかったと思います。

 ものを考えるとき
 もぐれるまでもぐった。

 その後、浅いところを泳いでいるときも
 底の深いところでは、全部がつながっているから、
 すぐに引き出すことができるんです。
 
 そして、
 いざとなったらあそこまでもぐるんだ、
 ということも、わかっている。
 
 だから、高校のときに
 考えることに没頭したことがあってよかったです。

 点取りの勉強とか
 言われたことをやっているのでは、
 できない経験です」

うん、うん。

「そして、大学のときは、
 いろんな分野の先生方に
 会うことができました。

 世界でものを『発見する』とか
 学問をつきつめるとか、
 そういったことがどれだけ大変かがわかりました。
 
 子どものときの自分は、
 弁が立つからすぐ考えが出ちゃうし
 よく大人たちに発言していたけど、
 その浅はかさ、というか、
 そんなことすぐに言えたもんじゃないな、
 ということがわかっていきました。
 いまも、簡単に決めつけるような
 言論が多いと思うけど、
 そんなこと、そうそう言えたもんじゃないと
 先生方のすごさを見て思いました」

世の中は、そんなに浅く、単純じゃない。
御手洗先生は「自分が考えること」で
学問的な謙虚さも身につけ
その深さも知っていくようになりました。

「人間は、機能の集合体じゃないと思うのです。
 勉強も、『読解力をつけるため』とか
 『計算力を養うため』など、
 機能を身に着けるためにやるものと感じたら、
 つまらなくなってしまう。
 
 本は、新しい世界にわくわくするから
 読みたくなるし、
 数学は、難しく見えた問題が解けていくのに
 ドキドキする。
 それに、勉強することで、
 自ら考えられるようになったり、
 ものごとをいろんな角度から
 見られるようになったりするのもおもしろい。

 勉強の目的が機能になっているんだったら、
 それはつまらないし、つづきません」

あー、聞いてて、気持ちええわ!


2013/08/22 12:59
迷惑かけてるか?

でもさ、たまちゃん。

漢字練習帳を提出してなかったりして、
先生が困ってるな、とか
思わなかったの?

「先生は、困ってない。
 怒ってるだけです。
 困ってない。
 練習帳を出さなくて、
 困るのは、私です」

そっかぁ!

「そうですよ」

だから、子どもが宿題を出さなくても
いいんですよ、と
御手洗瑞子先生はおっしゃってました。


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