年末、巨匠を味わいつくす。 横尾忠則
歳末大公開制作!

前へ 最新の投稿を見る 次へ
 


 
2012/12/08 16:20
一生に一枚

「この絵は、描ききれない部分があるんだけども
 それは残しておいて
 次の絵にぶつけたほうがいいんです。
 一枚の絵は、一枚の絵ではありません。
 いつも、絵は、
 前の絵をやめたことがかかわっています。

 次の絵で発見した要素を
 また前の絵に戻って描き加えたりすることも
 あるかもしれない。

 そう考えると、一生に一枚の絵を
 画家は描いているのかもしれないですね」

 


 
2012/12/08 16:21

横尾さん
「ぼくは言葉を視覚的なものに
 置き換えているのかもしれないね」

糸井
「しゃべるということは、横尾さんにとって
 絵具を塗るということですか」

横尾さん
「そうね、でも、言葉を話すときは
 自分の習得したボキャブラリーで話すわけだけど、
 絵の場合は
 描いているあいだに
 ボキャブラリーを習得することがある。
 自分の持っている財産では、絵は描けないんです。
 そのときに吸収することがないと、だめなんですよ。
 
 ぼくには結果しか頭の中に残らない。
 勝手に絵が動くんです」

 


 
2012/12/08 16:25
老後が長いからいいね

横尾さん
「手法というものはあるけれども、
 忘れたほうがいいです。
 ぼくはあれもこれもやりたいと思うから
 絵のテーマがきまらないんですよ。
 もうやめた、という
 悟りみたいに思う機会があればいいけどもね」

糸井
「やめた、というのは、憧れますね」

横尾さん
「でもできない」

糸井
「我々はできないまま、
 それに憧れて死んでいくんでしょうね」

横尾さん
「糸井さんはまだ若いからね」

糸井
「若くないですよ」

横尾さん
「なに? 老人ぶってるの?」

糸井
「わりと老人ぶってます」

横尾さん
「その頃から老人ぶってるのはいいね。
 老後が長くていい」

糸井
「横尾さんは、あちこちで
 病気のことを書いていらっしゃたりするので
 ものすごく心配しちゃったりするんですけど、
 そのわりにはこんなこと(公開制作)しているし
 嘘ついてんじゃないかと思うんですけど」

横尾さん
「いやぁ、ふらふらになって描いてるんだよ」

 


 
2012/12/08 16:40
自信

横尾さん
「絵のアイデアが浮かぶことはあるんだけど
 それをすぐに行動にうつすのはだめなんです。
 そうじゃなくて、それはそれとして、
 それがなんなのか、いったん間を取るんです。
 間のあとに出てくるもので‥‥
 どうやら理性的に判断してるんだろうね。
 そうこうしているうちに、第二波の直感が
 やってくる」

糸井
「あ、それ、わかります」

横尾さん
「その第二波の直感と、理性を
 取引きさせるわけです」

糸井
「それで、位置やかたちなどが
 ともなってくるわけですね」

横尾さん
「うん。理性と取引きすることで
 いちばん大事なのは、
 自信が持てることなんですよ。
 自信がないと、絵は描けないから」

糸井
「ははぁ、なるほど」

 



 
2012/12/08 16:50
デザイン

糸井
「横尾さんは、とっくに
 デザイナーとしての期間よりも
 画家としての道のりが
 長くなったわけですけども」

横尾さん
「そうですね。でも、デザインの経験を捨てたのに、
 デザインの経験をすべて
 活用すべきだったということが
 いまになってわかったね」

糸井
「捨てたのに」

横尾さん
「捨てたのに。回り道だったねぇ」

 


 
2012/12/08 16:52
長くなるね

糸井
「どのくらいしゃべってるのか
 わからなくなってるんだけれども、
 横尾さんとしゃべってると
 どうしてもエンドレスになってしまうんですよ。
 まわりがどんどん暗くなって‥‥」

横尾さん
「なんでだろうね。内容のあること
 なんにも言ってないのにね」

糸井
「横尾さんのお話には、どうしてだか、
 入り込みたくなるスキマがあるんですよ」

 


 
2012/12/08 16:55
生きながらに

糸井
「神戸は、こういう美術館ができて、
 もう、財産ですね。
 いい悪いの前に、だって、おもしろいもの」

横尾さん
「生きながらにこんな美術館ができて、
 ぼくはもう死んだ気持ちだよ」

 


 
2012/12/08 16:56

横尾さん
「ぼくは、この美術館で
 猫を飼ってくれないかと思ってるわけ(真顔)」

 



 
2012/12/08 17:05
そうして‥‥

そこから横尾さんは、
「美術館がだめなら糸井さん、
 猫飼わない?」
などおっしゃり、糸井は
「横尾忠則猫動物園をつくったらどうですか」
などと返して、
このトークはお開きになりました。
(終わらないかと思いました)

これから、糸井といっしょに
横尾忠則現代美術館を拝観して
東京に帰りますね。

(のちほど、また。
 もう少し、つづきます)

 


 
2012/12/08 19:40
展示

更新の間隔があいてしまい、すみません。

横尾忠則さんとのトークのあと
糸井重里は2階にあがり
横尾忠則現代美術館の展示を観にいきました。
目の前に広がる横尾ワールド。

前へ 最新の投稿を見る

 

ほぼ日ホームへ