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番外編 シンガポール展レポート The Bright Forest
    at epSITE Gallery in Singapore




今回は、予定を変更して、現在シンガポールにて開催中の
「The Bright Forest」展のレポートをさせてください。

ぼく自身も昨日まで、レセプションに合わせて
シンガポールに行って来ました。
とにかく、今回は海外ということもあって、
全てが新しいことの連続でした。
言葉の問題はもちろんなのですが、
なにより、写真も含めた全てのやりとりが、
デジタルデータだったこと。
もちろん、途中で一度、 プリントのチェックに行きましたが、
それでもこうやって、展示作品と共に、
ネットでのやりとりだけで、
立派な図録まで出来てしまうのですから、
本当にすごい時代ですよね。



とはいうものの、最初のプリントチェックに
シンガポールに行って、
テストプリントを見たときには、
「やっぱりダメかも?」というのが、
ぼくの正直な感想でした。
しかし、ギャラリー担当のキンバリーさんも
とても心のこもった対応で、
数々の問題を克服してくれました。
そして何よりも、
プリント担当のシルベスタ君にいたっては、
ぼくが滞在した、その短い時間の中で、
おそらく彼にとってみたら、
非常に難しい注文だったと思うけれど、
これ以上はないという程に頑張ってくれました。
そして結果として、全てがモノクロームの
インクジェットプリントにもかかわらず、
サンマルコ広場の回廊の柱の写真、
奄美大島のデイゴの樹の木漏れ日、
ハイビスカスの花など、
異なった被写体が一堂に介しながらも、
それぞれに、その被写体によって、
微妙に異なるモノクロのトーンが響き合う
プリントが完成しました。
それはまさに「The Bright Forest」。

20年前にできなかったことが、
このデジタルの時代に、できるようになりました。


今回の写真展の中心になっている写真は
このベネチアのサンマルコ広場の
回廊に立ち並ぶ柱の写真です。



この写真は、今から20年近く前に撮影したものです。
ぼくは、この回廊の中を歩いている時に、
同じ素材で出来ているにもかかわらず
ひとつとして同じものがないことに気が付きました。
そしてそう思ったら、何だか全ての柱が
ひとのように見えてきて、
不思議とそこに、とてもあたたかいものを
感じていました。
しかし当時は残念ながら、
そう思って撮影してきたはずの柱の写真は、
何度プリントをしてみても、
どちらかというと歴史の厚みも含めた
重厚な部分ばかりが表に顔を出して、
あたたかい感じのプリントを
作ることが出来なかったのです。
そのことがずっと気になっていたのですが、
今、ぼく自身が改めて、
写真がある世界というのはとてもあかるくて、
あたたかいところだと感じているのですから、
今だったら、もしかしたらこの昔の写真も
少しはあたたかい写真になるような気がして、
また、そうなって欲しくて、
今一度、トライしてみたのです。

そして個人的には、その時の思いが、
今でも確実につながっていたことを、
あたたかいものであったことを、
今回の展覧会で、改めて確認することが出来ました。

それに面白いもので、今回の写真展は、
内容もさることながら、
様々な事柄が、具体的につながっている
展覧会でもあるのです。

今回のぼくの写真展は、
「Monthly Photograph in Singapore」
(シンガポール写真月間)の一環として
開催されました。
これはパリの写真月間に連動するかたちで
企画されています。
そんなこともあって、
同時にかのアンリ・カルティエ・ブレッソン
写真展も行われています。
それだけでも、とても光栄な縁を感じるというのに、
その上、今年は日本とシンガポールの国交40周年も
関係していたりするのです。
それに、今回の写真展を企画してくれた
フートン慧子さんとは、20年来の知人だったりと、
何かと、つながりまくっています。


左よりフートン慧子さん、キンバリーさん。

そして、いよいよレセプション当日。
ぼく自身が一番驚いたのですが、
予定通りに会場に着くと、
既に、ギャラリーがあるフロアー全てを使った
大々的なレセプションの準備が進められていました。
ぼくもいきなり、胸元に花なんか付けられて、
何が何だかわからないままに、
プレスインタビューが始まりました。
これまたすごい数の記者が集まっていて、
驚きの連続でした。



やがて、エプソンシンガポールの清水社長、
日本大使館の小島大使の立派なスピーチに続いて、
何とぼくまで、
英語でスピーチなんかをやってしまいました。
その上、テレビのインタビューまであったのです。



そして、そんな大々的なレセプションが終わって数日後、
レクチャーがありました。
(シンガポールの「ほぼ日」の読者のかたも
 数人来てくださいましたよ!)
しかも、午前と午後の2回。
もちろんこれも、全て英語です。
ここまで話しておいて、何ですが、
実は、ぼくはほとんど英語が話せません。
だから、果たしてどこまでうまく話せたのか
わかりませんが、皆さんも、笑顔で聞いてくれていたし、
後で確認もしてみたのですが、
どうやら何とか、通じていたようです。



写真がつないでくれたもの。

ぼくは今回、およそ1週間シンガポールに滞在しました。
そのおかげで、毎日多くの人と
お会いすることが出来ました。
そうやって、いろんな人と会っている時、
ぼくは、この柱の写真を思い出していました。
何だか、長い時間がかかってしまったけれど、
あの時、回廊の柱を見て、
人のように感じたことが、改めて、
今度は、本当のこととして感じることが出来ました。
そして今、そんなすべてにとてもあたたかい印象を
感じています。

それにしても、本当に全てのものごとは
つながっているんだなあー、
と痛感したシンガポールでした。


(クリックすると拡大します)

次回は通常更新にもどって、
「デジカメなんて嫌い、でもデジカメも好き」
というお話を、(こんどこそ)しますね。
お楽しみに。


2006-05-19-FRI
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