おさるアイコン




第11回
近づいてみないと、
見えないものもある。


at Goshikinuma, Urabandai
(クリックすると拡大します)


相変わらず、季節は行ったり来たりを
繰り返していますが、
もうすぐ、春がやってきます。
この春という季節は、
前回のノルウェーの話でも、少し触れましたが
それは日本においても、同じように
新しいエネルギーで、満ちあふれる季節です。

そして、そんな春には、当たり前のように
あちらこちらで新しい誕生があったり、
始まりがあったり、
あるいは発見があったりと、
とても目を楽しませてくれることが、
多い季節です。

ただそんな、楽しいいろいろも、
時にはしっかりと、目を凝らして見ないと
見えないものが、多いのも確かです。

だからそんな時こそ、お散歩と一緒に
カメラを持ち歩いてみましょう。

すると、嬉しいことに
たとえ実際にカメラを取り出さなかったとしても
「写真でも撮ってみようかなぁ〜」
という気持ちが心のどこかにあるだけで、
不思議とものの見方も変わってくるでしょうし、
きっと新しい発見もたくさん見つかるはずです。
とにかく、あたりをゆっくりと見てみたり、
今回の話のように、近づいてみることで、
見つけることが出来るものは、たくさんあるのです。

実は、今現在でも、その変化は既に始まっています。
ぼくの事務所の近所には、
小さな桜並木があります。
ぼくは、その桜並木がある道が気に入っていて
毎日のように、その道を散歩しているのですが、
この桜並木の枝先にしても、
ちょっと前までは、ツルンとしていたのですが、
今では、近づいて見ていると、
日に日に、しっかりと、
そのつぼみをふくらませていることを
見つけることが出来ます。

最初の写真も、まさにもうすぐ春な、
裏磐梯の五色沼を訪れたときに
撮影した一枚です。

ぼくは、その時も“まだまだ寒いなぁ〜”と、
ポケットに手を入れながら、
その遊歩道を歩いていました。
やがて、ぼくはその林道の途中で、
キラッと光る何かを林の中に見つけました。
そして立ち止まって、そこに目を向けてみると、
どうやらそのあたりは、
それこそ沼の一部のような湿地帯のようで
その中の一部が、太陽の光を受けて光っていたのです。
ぼくは、足下がぬかるんでいたことも手伝って
ゆっくりと、その場所に近づいてみました。
すると、林道を離れて林の中に入ってみることで、
今度は、その光たちが、林という闇の中に光る
星のようにも見えてきました。
しかも、そのキラキラと星のように光っていたのは、
おそらく雪解け水だと思うのですが、
その水面から、
少しだけ頭を出した水草たちだったのです。
さらに近づいてよく見てみると、
ぼくにはその彼らの姿が、
春の光の粒子そのもののようにも見えました。

いつの日も、そんな発見というのは
不思議と理由は別にしても、
嬉しいものだったりしますよね。
だからといって、何でもかんでも
ただ近づけばいいというわけではありません。
それこそ近づいて見てみたいものが、
見つかったときには、
そこに必然を持って、近づいてみてください。
ただ何となく近づいた写真というのは、
一見それっぽいのですが、
決して、いい写真とは言えませんよね。


(クリックすると拡大します)


この写真は、秋桜ことコスモスの花の写真です。
もしかしたら、勘のいい皆さんは
既に気がつかれたかもしれませんが、
実は、ぼくはこの写真を撮るまで、
知らなかったというか、気がつかなかったのですが、
ご覧のように、このコスモスという花のめしべは
星形なんですよね。
だから、コスモス(COSMOS=宇宙)という名前が
付けられたのではないでしょうか。
それは、とても小さな
たわいもない発見ではあるのですが、
ぼくは、そのことに気が付いたとき、
何とも幸せな気分になりました。
そしてこの写真も、その気持ちをそのままに
同時に、それを改めて確かめるように、
こんなにも花に近づいて、
シャッターを切りました。

とにかく、決して近づいてものを見ながら、
何かを探すのではなく、
そこに何かを見つけた時に、
慌てることなく、焦らずにゆっくりと、
そのことを確かめるように、近づいて見てくださいね。
すると、そうやって撮影された写真というのは、
面白いもので、ただ近づいただけの
写真にはならないものなのです。
しかもそこには、必ずその気持ちが写ります。

そして、コスモスの話の後で何ですが、
話を春に戻しますと、
とにかく春という季節は、
光も世界も、その全てが新しく変わる季節です。
そのことは、こと写真にとってみれば、
一年の中で、もっとも楽しい季節とも
言えるのではないでしょうか。

だから、今から目を凝らしながら
まわりのいろいろを見つめてみましょう。
すると、必ずそこには、
小さな変化を見つけることが出来るはずです。
とにかく今から、写真が楽しい春に向けて
一緒に、その準備を始めてみませんか。
しかも、その変化はすでに始まっていますよ。



目を凝らして、小さな変化を探してみよう。
そして、焦らずにゆっくりと近づいて
確かめるように、写してみよう。


次回は、
「時にはフイルムを使って、贅沢を知る」
というお話をします。お楽しみに。


2006-02-24-FRI
戻る