Phoenix-6 花火師さんに訊く、玉の種類。
── 尺玉といえば、
駅にあった三尺玉の模型にはびっくりしました。
一尺が約30.3センチなので、
あれは直径が90センチくらいですよね。
小泉 そうですね。
── 三尺玉の重さはどのぐらいなんですか。
小泉 300キロくらいかな。
── はあー! それが打ち上がる。
小泉 はい。
── ガスの圧力で。
小泉 三尺玉だと、
600メートルくらい上空まで打ち上がって、
直径も600メートルほどの花火が開きます。
── ‥‥はああーーー。
そのくらいの数字になると、
もう実際に見てみないとわからないです。
小泉 そうでしょうね。
安全性も考えて、
都市部でその大きさは上げられないです。
── ここでは、上がる。
小泉 上がります。
── たのしみです。
──こちらでは、そういう大きな花火ばかりを
つくられているわけではないですよね。
小泉 もちろん。
── 新作花火の開発なんかも。
小泉 ええ、あまりないことですが。
── 新作をつくったときは、
試し打ちみたいなことをやるのでしょうか?
小泉 場合によっては。
── それは、このあたりで。
小泉 そうですね。
── 近所の人たちは、
ちょっと得した気分でしょうね(笑)。
小泉 どうなんでしょう(笑)。
当然ですが許可をとって、
ご迷惑のかからないようにやっています。
── そうですか。
──ぼくらは素人なので、
花火の良し悪しというものが
なかなか見わけられなくて、
ぜんぶきれいと思ってしまうんですけど、
職人さんたちは
どういうポイントで「よし」というものを
判断しているのでしょう?
小泉 それはやっぱり、
形、大きさ、色ですね。
── なるほど。
外国にも花火はありますけど、
日本の花火とはやっぱり
美しさのポイントがちがいますよね。
小泉 ちがいます。
とくに欧米とは違いますね。
アメリカはショービジネスの世界ですから。
そういった意味で、
ショーとして魅せるんですね。
花火大会というものは存在しないので。
ショーなんです、ひとつの。
── 演出のひとつ。
小泉 はい。
全体ですばらしいものつくるので、
玉ひとつひとつの良し悪しじゃないんです。
どこでどういうふうに見せるか。
音楽を使ったら、どういうタイミングで
花火を出すかっていう、構成力ですよね。
日本の花火は、そうではなくて、
玉ひとつひとつが‥‥。
── 作品、作品ですよね。
小泉 はい。
花火ひとつでも十分見せられる
というものの提供がやっぱり多いわけです。
── そのちがいはおもしろいですね。
──あの、すこし花火の種類について
教えていただきたいのですが。
小泉 はい、たくさんありますが。
── たとえば、そちらに飾っている写真の、
いちばん左の花火はなんていうのでしょう。
名前がついてたりするんですか?
小泉 花火にはぜんぶ名前がついています。
玉ひとつひとつに。
あの写真の花火は、
玉の中に星じゃなくて玉が入っているんです。
── 星じゃなくて玉。
小泉 玉が入ってる。
── 花火玉の中に、ちいさな花火玉がたくさん。
小泉 そうそう。
で、そういう花火のことを
「千輪(せんりん)」といいます。
── ああー、いい名前ですねえ。
小泉 あとは、たとえば、
花火の玉名(ぎょくめい)っていうと‥‥。
── 「玉名」、いいですね、その言葉が。
小泉 こういう名前があったとしますよね(書く)。
錦先緑銀乱。
小泉 そうすると、
実際に開いたときにどう見えるかっていうと、
この読んで字のごとくの順番で
色が表現されるんです。
── へぇー!
小泉 最初に錦という色が‥‥
錦っていうのは明るいキラキラしたやつを
錦というんですけど、
それが出て、緑が出て、銀色に変化する。
── 最後に、銀が乱れる‥‥。
なるほどぉ、へぇー。
小泉 菊先紅青紫(書く)。
これもやっぱり、こういう順番なんです。
菊というのは錦と対照的に暗い色です。
いわゆる炭(すみ)の燃えている色。
── はい。
小泉 それが出て、
赤い色が出て、青に変化して、紫で終わると。
── かっこいい‥‥
小泉 あとは、椰子(ヤシ)かなあ。
椰子は肉眼よりも
写真で見た方が名前の由来がわかりやすいんです。
(資料を開く)
これとか、そうですね。
── ほんとだ、火が流れて
椰子の葉っぱみたいに見える。
小泉 ほかにもまあ、いろいろあるんですが‥‥。
── そうですね、切りがないですよね。
ではいよいよ本題といいますか、
「フェニックス」のお話を聞かせてください。
小泉 はい、「フェニックス」。

※小泉欽一さんの会社、
 「新潟煙火工業株式会社」のHPはこちら
 

(つづきます)


2010-07-27-TUE