PHILADELPHIA
お医者さんと患者さん。
「遥か彼方で働くひとよ」が変わりました。

手紙234 日本のHIV フジテレビのHIV特集(3)
放送された番組



こんにちは。

フジテレビの朝の情報番組「とくダネ!」の
キャスター・佐々木恭子さんが、
世界のHIVの状況のみならず
日本が直面している問題について、
彼女の個人的な経験も踏まえた危機感とともに
伝えようとしていらっしゃることを
紹介してきました。

今日は、
その出来上がった番組についてのお話です。

5月の最後の週に
パプアニューギニアで取材した
HIVに関するレポートが、
2日間にわたってまず紹介されました。

パプアニューギニアのHIV感染の状況は
医療制度が十分でないこともあり
さまざまな問題を抱えていて、
非常に厳しいものがあります。

わたしは毎年
アジア地域のHIV診療をしている医師たちと
じっくり話をする機会があるのですが、
パプアニューギニアの先生は
患者さんに対する差別や
医療器具やスタッフの不足、
費用が足りないことによる検査体制の不備など
本当にたくさんの困難を抱えながら
毎日の診療を続けていらっしゃることに
いつも感銘を受けています。

今回の特集では、
彼の話で聞いていたことを
実際の映像で見ることができて
たいへん参考になると同時に、
また、患者さんのインタビューもたくさんあって、
パプアニューギニアの現状を
とてもわかりやすく伝えることに
成功しているな、と思いながら
番組を見ていました。

日本の現状についての特集は
3日目に予定されていたのですが、
日本国内の大きな政治のニュースが
起きたために一日延期になり、
また、放送時間もかなり短縮されたものが
放送されることになってしまいました。

佐々木さんも、ディレクターの東島さんも
当初の予定が大きく変わってしまったことを
とても残念がっていらっしゃっていましたが、
わたしの感想はちょっと違いました。

今回の日本の特集は、
大都市圏だけに偏らず、
地方都市でもHIV感染が広まりつつあることや
HIV抗体検査(HIVに感染しているかどうかは
この検査を受けない限り、
絶対にわかりません)の重要性を伝え、
“HIVについて話を聞くのは初めて”という方々にも
日本の現状を端的にお伝えするのに
十分な情報が含まれていたと思います。

とくに、地方のふつうの病院で働いている医師の
(偶然、長野の友人が
 インタビューを受けていたので
 見ていてちょっとうれしくなりました)
現状をとてもよくまとめたリアルな言葉は
印象に残りました。

わたしがお願いした5人の患者さんについては、
残念ながら時間の制約もあり
代表してひとりの女性にインタビューを
受けていただくことになりました。
この方は、手紙222で
「病気でもなんでもいいからまだ生きたい。
 まだやりたいことがたくさんある」

と話してくださった、30代の看護師です。

彼女のかっこいいジョギング姿が
映像で紹介されるのを見ながら、
HIVについてのイメージが
少しでも変わるといいなあと考えていました。

もしかすると昨年同様、
今年も、この特集のVTRとともに
佐々木さんは全国をお訪ねになるかもしれません。
もし、そのような機会が設けられる時には
ここでお知らせしたいと思っていますので、
お近くの方は、ぜひご覧になってください。

佐々木さんの真摯なレポートが
迫力をもって伝わってくる、
とても素晴らしい番組でした。

では、今日はこの辺で。
次回お伝えすることについては、
これからちょっと考えてみます。

みなさま、どうぞお元気で。

本田美和子

2007-08-03-FRI

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