さて、
「絶版になっている本の権利関係を調査」である。
『さよならペンギン』を出版した出版社に連絡をとって
状況が確認できれば、最高である。

絵本の出版社は「すばる書房」とある。
もちろん、こういうときは、ネットで検索だ。
ブラウザのちっちゃい窓に打ち込む。

「すばる書房」と。

‥‥しかし。
一つ目の候補に、会社のページが出てこない。
あまりよい予感がしない。
なぜならば、きょうび、WEBサイトを持たない会社など
ほとんど無いからである。
つまり、その会社は存在しない可能性が高い。
なにせ、古い話だ。ここはひとつ「倒産」の2文字を追加だ。
当たり!
やはり倒産している。

ここでモギはネットでの調査を切り上げる。
これ以上の情報はたぶん見つからない。
案外、ネットはネット以前の
わりと遠くない過去のことについてはすごく冷たいのだ。
ましてや、倒産した会社のその後にかんする情報などは望み薄だ。

ここからは、人に頼ることにする。

どうしたもんかな、と考えて社内を見渡してみると、
そこには、カサイがいた。
カサイは広告代理店に長く勤めたのち、
弊社にやってきた男であり、めったやたらと顔が広く、
培ってきた社会経験を駆使して、
それまでにも、じゃんじゃん社内の相談にのって、
それを、じゃんじゃん解決しているのをみてきた。
私も! 私も! とモギが思いついたのも無理もない。

「困ったときはカサイさんに相談だ!」

▲これが、カサイである。
ときおり、このようにドラマチックに
メガネのツルを食べる。
いや、食べてるわけじゃない。くわえる。
当時話をしているときに写真をとっていたわけではない。
撮影をしなおしたときに、特別にリクエストをして
ポーズをきめてもらった。

「絶版になっている本を再出版したいとおもったら、
 出版社が倒産しちゃってるのか。
 オレの友達に、たしかそういうことした男がいたから、
 ちょっと聞いてみるから、ちょっと時間をください。
 ついでに、本の奥付もコピーしてください。」

「絶版になっている本を再出版した男」が友達にいる?
いるのか! そんなドンピシャな友達が! すごい!
なんだ、その顔の広さは!
恐ろしい男だ‥‥カサイコウメイ‥‥。
ちょっと、ショカツコウメイに似ている。
いや、「コウメイ」の部分が一緒なだけだ。

そうして、数日後カサイは、
「再出版までのプロセス」を
友人からきいてきてくれるとともに、
その話をもとに「すばる書房」倒産後の状況を調査し、
版権は著者に帰ってきているという事実を
つきとめてきてくれた。

「僕の友人の話によれば、
 印刷の版がどこにあるかまず調べること、だそうだ。
 それがあれば、復刻はすぐだよ。
 たぶん、あるんだとすれば、印刷会社だね。
 そうじゃなかったら、スキャンして出す方法もあるそうだ。
 くわしくは、印刷会社にきいてみてください。
 そして、権利関係に関してのことは、
 ほぼ間違いないと思うけど、
 念のため弁護士さんに確認してください。
 じゃ!」

じゃ! といってカサイは、勢い良く去っていった。
モギにお礼を言う間も与えずに。
すごい‥‥。じゃんじゃん解決している‥‥。

後日、総務の元木から状況を弁護士さんに確認してもらい、
『さよならペンギン』を再出版することに
問題なし、というお墨付きをいただいた。

▲「写真とってもいい?」
「いいですよ。あ、電話だ。でていい?」
そういう会話を淡々として撮影しました。

以上を、ペンギンチームに報告した。
といっても、チームは現在二人なので、永田にだけだが。

「よし、じゃあ具体的に動けるってことだね。
 著者に復刻していいかどうか、社長にきいてみよう。
 著者でもある糸井重里に。」

(次回、著者登場。)

2011-02-08-TUE
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