SHIRU
まっ白いカミ。

154:「めくらみみうさぎの対話」


 

あいを、ひとつあげる。

いっこだけ?


 

 

ひとつしかないもの。

 

 

 

じゃ、もっとおおきなのほしい。

 

 

これ、こうみえておおきい。

 

 

 

あれよりおおきいの?

 

 

 

もう、くらべようもないぐらい。

 

 

たいへん、どこにおこうかしら。

 

 

あいはかさばらないよ。

 

 

あまり、おもたくないのがいいわ。

 

 

 

いっておくけど、このあいはただだよ。

 

 

わたし、あいってただだからすき。

 

 

 

きみのことであたまがいっぱい。

 

 

おかねでいうとなんえんぶんぐらい?

 

 

おかねでさいふいっぱいみたいなきぶんする。

 

 

あいはごはんよりえらいの?

 

びすけっとでぽけっといっぱいみたいなきぶんだから。

 

 

 

でもわたし、あいあげないわ。

 

 

あいくれないだろうね。

 

 

それでも、いい?

 

 

それでいい。

 

 

 

なんでもする?

 

 

なんでもする。

 

 

 

じゃあ、みみについてるそれきって。

 

 

 

みみについてるのみみだよ。

 

 

 

だから、みみきってそれくれるして。

 

 

 

でも、そんなにたくさんみみいらない。

 

 

 

たくさんみみあると、ふわふわとべるきするもの。

 

 

 

とべるきしたいの?

 

したいわ。

 

 

 

 

・・・えい!

 

 

ありがとう、うれしい。

 

 

 

きみのこえがしないよ。

 

 

 

こえ、きくみみなくなったのね。

 

 

 

とべたらどこいくの?

 

 

 

どこもいかない。とびたいだけ。

 

 

 

きこえないけど、そこにいけるといいね。

 

 

 

そしたら、もうあいいらないの。

 

 

 

あいしてる。

 

 

みみをありがとう。

 

 

 

あいしてる。

 

 

このみみ、とてもきもちいい。

 

 

 

あいしてる、いつまでも。

 

 

 

ふわふわしてるわ。

 

 

 

 



テキスト:シルチョフ・ムサボリスキー
http://www.hinden5.com
イラスト:梅丘四〇六
http://www2.odn.ne.jp/ume4/

2000-09-02-SAT

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