SHIRU
まっ白いカミ。

14枚目は観光ガイドみたび。

第3回:「京都の猫嫌いハウス」

東京じゃないじゃん。なんて
至極まっとうなツッコミは御遠慮ください。

 

それは昨年の夏。
私が京都に旅行していた時の事でした。
極度に方向感覚の足りない私は
この真夏に迷うぐらいなら…と
JR京都駅からタクシーに乗って
「ああ、ちみちみ。清水寺につけてくれたまえ。」
実に豪勢な観光をしていました。

清水寺は細長い坂の上に建っていて
沿道は古い作りをした土産物屋で埋まっています。
舞妓さんなども暇そうに歩いており
外人さんなども嬉しそうに写真を撮っており
小学校の時に遠足で行った鎌倉から
以西を知らない私は「ううーん、京の香りだねぇ。」と
鼻孔拡げつつ悦に入り、境内に踏み込みました。

ところが清水寺。

「景観を壊すホテルの建築反対。
     お泊まりの方の参拝をお断りします。」

なんて見苦しい看板を立ててしまって
清水寺の最後、舞台のところだけが有料。
「サンパイケンヲオミセクダサイ…」
そんな録音テープのアナウンスが延々流れている始末。
私の古都幻想はしおしおになってしまいました。

清水の舞台には登らずして、抹茶コロン買って帰りました。
タクシー代は1,000円ちょっと。拝観料は300円。
抹茶コロンが1,000円。ばかみたいですけど。

帰り道はいま来たばかりの道を降りればOKなんだな…と
確かめながら土産物屋のならぶ通りを下に歩いていると
さっそく方向音痴が発動したらしく道をロスト。

うろうろ迷っていると住宅地やスーパー
しまいには小学校の裏とかに出てしまって…。
行きがかりついでに掲示板を覗けば
「O157に注意」なんてプリントが!

”京都の小学生もお腹をこわすんだ。”

”そしてポケモンもやるんだ。”

そんな当然過ぎる事に感慨深くなりながら
O157に注意して迷うこと更にしばらく。
その建物はありました。

なんだろうこのキラキラ光る硝子のお城は。
もしかして猫が嫌がったりするのかしら。

誰が考えたのか、みためは綺麗になるし、
猫は嫌がり、リサイクルだって出来るナイスアイデア。
「猫よけペットボトル」です。

それもこんな気合いを入れて家を囲んでしまうなんて…

この近くを歩いていて確認しただけでも
ぐるりと囲んでいた家が他にもぽつぽつと。
京都では猫よけペットボトルが大ブレイク!?
私は清水寺で余ったフィルムを使い切るべく
夢中でシャッターを切ったのでした。

 

夏が来れば思い出す…

19歳。一人、旅をした
京都の想い出

それはこの猫嫌いハウス。

 

本日の紹介:
京都の猫嫌いハウス
アクセス:
清水寺から迷うこと15分

 

シル (shylph@ma4.justnet.ne.jp)

from 『深夜特急ヒンデンブルク号』

1999-02-28-SUN

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