SHIRU
まっ白いカミ。

12枚目はガイドブック。

第2回:「深夜のカーネル人形」

 

>Be Good Cafe Vol.3
「素敵ないいことを始めよう」
>at Rojak / IDEE SHOP Pacific B1

2月17日。私は青山にあるお店(↑)に出かけて
トークライブに行ってきました。話される方は
佐藤雅彦さん中野裕之さん木内鶴彦さんの3方。

佐藤さんは、ポリンキーのCM、バザールでござーる。
ゲームソフト「IQ」、映画「kino」。そして…
3月3日に発売されるシングルCD「だんご三兄弟」
たぶん知らない人はいないんじゃないかというぐらい
さりげなく身のまわりに溢れてらっしゃる方です。

そして木内さんは彗星捜索家。
中野さんは映像作家、映画監督です。
「サムライ・フィクション」の人ですね。
それぞれが1人だけだって人が集まる顔触れに
店内は人口爆発。レストランで食事どころか
テーブルの隙間につったって
ビール瓶を片手に聞く事となりました。
おかげで佐藤さんの真後ろに立って
つむじをみながら話を聴けるという…
ファンにはちょっと嬉しい目にも。ふ、ふふー。

佐藤自慢はそれぐらいにするとして。
肝心のお話の内容ですが
「ゆっくりとピースなお話と映像を楽しむ会 」
という事なので環境問題などについて展開しました。
天文の専門家の木内さんがいらっしゃるので
二酸化炭素の問題。
彗星が120年後に地球にぶつかる話。などなど。
普段の感覚から数桁肥大化した単位の感覚は
ふわふわとしてきます。

そしてゴミについて話が移ったときに驚く話が。
「25年前までゴミを全く出さなかった国がある。」
というのです。

しかもそれが他ならぬ日本なんだそうで
びっくりするより、今の小さな自治体ごとに
何千ものゴミ焼却所があるような現状からは
とても想像できませんでした。
そこにアメリカの消費文化…に触れて
佐藤さんがマクドナルドの話をされました。

最初にあのトレーの上のものを全部
分類どころか一緒くたに捨ててしまう時は
ちょっと悪いような気もしたけれど
気持ちよかった。
…というのです。これが消費文化かって。

「そうそう!」 と私も3、4歳の頃を思い出してうなずきました。
母親にくっついてデパートに行って
買い物が終わってマクドナルドに寄るのが好きでした。
いま思えば安上がりな子供で悔しい。

その頃。ハンバーガーは発泡スチロールの
四角い容器にかちっと納まっていて
狭い三階建ての店に銀色に剥き出しの手すりなんかが
未来ぽくてお気に入りでした。

そして食べ終わると決まって
「トレー、すてさして!」と言っていたのです。
氷も飲物も容器も食べ残しも…
全部まとめてゴミ箱に放り込むのが
やっぱり楽しかったのです。

時々マックにお世話になる働きのない学生として
良い悪いはないも同然ですがファースト・フードって象徴的です。
規格化、大量生産、大量消費で回転がどんどん加速する。

マクドナルドのビーフパティって1g違わず同じ重さらしいですね。
よくぞ肉なのに…。といった感じです。

そんな事でトークライブの話はおしまい。

 

     
[撮影] 桜新町駅前。

帰り道。ケンタッキーの
カーネルおじさんの事を考えながら帰りました。

あの白髭白服、頬に善良そうな笑みをたたえては
秘伝の11種類のスパイスに若鶏を突っ込む人です。
あんなでどうして90歳まで生きたそうで。
(米国、オフィシャルサイト情報。)
右側の写真はそこからちょっぱってきました。
しぃーっ。口に人差し指。

カーネル・サンダース人形が夜に何をしているのか
それが気になって深夜、電車も店も終わった頃に
自転車でケンタッキーに行った事があります。
別に盗もうとか、落書きしようとかじゃなくて
ただ、夜中に佇んでいる所が見たかったんです。

しゃこしゃこ自転車でケンタッキーに到着。
お店の前で待っているはずのカーネルはいません。
御想像の通り、カーネルは店の中にいたのですが
それがなかなか怖い光景でした。

お店で出たゴミは、朝番の人が捨てるのでしょう。
夜の時点ではゴミ袋は店内に放られているのです。
無人の店内には薄青い証明が灯って
カウンター前の、お客さんの待つスペース一杯に
ゴミ袋がぼこぼこ積みあげられています。

そしてそのまん中…
両手を広げたカーネルがぽつねんと
微笑んで埋もれて立っていたのです。

 

本日の紹介:
カーネルサンダース人形
アクセス:
全国のケンタッキーフライドチキンの入口付近

(ナイターがおすすめ。)

 

シル (shylph@ma4.justnet.ne.jp)

from 『深夜特急ヒンデンブルク号』

1999-02-24-WED

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