SHIRU
まっ白いカミ。

5枚目はレシピ。


 第1回:「ニセメロンと合成ウニ」

 

やあ。庶民の皆さんこんばんは。
大庶民シルチョフだ。

君たち、 「楽してお金儲けたいなぁ…」
と思った事はないかい?

ボクにはある!

エビでタイを釣ったり
濡れ手でアワのような思いをしたくてしかたない。

どうやら
中世の人達は
卑金属から貴金属。
価値のないモノから価値のあるモノ、を
生み出す方法に

「錬金術」

というものを試みていたらしい。

それだ! ボクもそれでいこうと思う。
ニセメロンを婆ちゃんの御見舞いに!
合成ウニを売っては儲けたい。

儲けたら紀伊国屋の裏に
マンションを借りて住むんだ。
引越たらさっそく出前で寿司をゲットさ。
に、兄さん、寿司パーティーだっ!

…ということで。
少々混乱したが
君たちが聞き知っている民間に伝わる
「秘伝」のようなものがあれば教えてもらおう。

なに、野望実現のあかつきには
寿司パーティーに招待するんだ。
メールのひとつやふたつ、惜しくないさ。

とりあえずありきたりだが
手元にあるレシピから今回は
定番2本立てで押さえてみた。


「メロン」 調合:キュウリ+蜂蜜

深夜2時。
私は冷蔵庫からつめたい新潟産キュウリを取り出す。
蜂蜜(ブランド不明)は白く固まっていて
なかなか出てこない。冬だね。

イーンと低音の響く冷蔵庫にもたれて
蜂蜜を抱き、たれてくるのをひたすら待つ。

私はこの世の中でいちばん寒い場所は台所だと思う。

最初は甘い。そしていくら
囓れども
囓れども
キュウリはキュウリのままで青臭いのだ。

 

結論: 「メロンぐらい頑張って買うから部屋に戻りたい。」

 

変化率:15%

# メープルシロップ、もしくは焼酎+キュウリという
# 変形も試したがメロン化は確認出来なかった事を付記す。


「ウニ」 調合:プリン+醤油

こんどはウニだ。
これは成功すれば代々木のマンションも夢じゃない。
ふるえる手でプリンを皿に並べる。
材料用のプリンだっていくつもコンビニで買ってきた。

ちなみに醤油は
「キッコーマン特選丸大豆醤油」だ。
レッツゴー。

1.「北海道クリーミィプリン」 (株)デザートランド

最初に選んだのはこれだ。
「北海道の生乳、北海道生クリームでつくった」
…という事なので
ウニになんとなく近いかもしれない
地理的に。

醤油につけてひとくち

…! (0.2秒ぐらい。)

一瞬、ウニの気配が走り抜け
ねっとりとした甘味と
爽やかなバニラビンズの香りが残った。
もう既にプリンだ。

面白い。 どうやら私達の舌は
「 粘性物質のしょうゆ味→甘味」
というコンビネーションに
ウニ的なものを嗅ぎつけるよう
出来ているのかもしれない。

2.「森永ミルクプリン」 (株)森永乳業

色彩的にウニからは遠いと思った。
ミルクっぽいのもウニにはそぐわなかったが
ずるずるすすったら、のどごし二重丸。
意外と好みのプリンだった。

3.「プッチンプリンBIG」 (株)グリコ共同乳業

韻の整ったニクイやつ。
ビックなのは個人的な趣味だ。
まさか全部に醤油は掛けてないので御安心を。

一応コレがいちばんウニっぽい…かなぁ。
何も味が凝ってないだけ
「ウニを想像する余地」があるみたいだ。

4.「焼きプリン カスタード」 (株)オハヨー乳業

焼きウニになったらどうしようかとドキドキしつつ。
しかしプリン自体の味が凝っていると
調合後に ウニから遠ざかる事は先の結果の通り。
それとプリン連続4個はいくら甘味好きでも
ちょっと口の中が甘くなってきた…。

 

結論: 「ウニを食べた事の無い人ならもしかして
       騙せるかもしれないが、それって罪深い。」

 

変化率:50%

 

シル (shylph@ma4.justnet.ne.jp)

1999-01-25-TUE

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