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マーケティングは悪か


こうしてマーケティングづくしの日々を送っていると、
人を騙すことが平気になってくる。

マーケティングとは本来、製品・サービスの提供価値を
漏れなく顧客に提供することであるが、
全ての製品・サービスがそういくわけではない。

製品開発担当者の意気込み、思い入れなどは、
消費者にはほとんど関係がない。
消費者は、ただただ、価格と提供価値を冷徹に判断して、
それを購入するかどうか意思決定するだけである。
提供者側は、消費者にその本性が
ばれないように一生懸命化粧する。
まるで、男と女の関係のようでもある。

どこの企業とはいわないが、
世の中でマーケティングエクセレンシーで
トップノッチといわれているところは、
大概、この化粧の仕方を知っている。

人を騙すというと聞こえが悪いが、
別の言い方をすると、
相手の望みをかなえてあげるということに他ならない。
人間は贅沢なので、ほとんどの場合、
自分の「分不相応」に高望みをする。
その高い望みをかなえるような提供物はそうはないものだ。
その望みをかなえるためには、
それ相応の化粧をした「上げ底」品でないと
対応できない。

男が女を満足させるのも同じことだ。
その男のありのままを伝えただけで
満足できるような女がいたとしたら、
女がよほどの阿呆か、
男がよほど立派なときしかありえない。
いずれにしても稀なことである。
常に化粧が必要だ。

人を騙すことが悪いといわれても困る。
相手のために騙してやってるんだ、
とまでは言わないけど、
相手のためになっていることだけは確かだ。
本来得ることができないものを、
まあ、ある限定的な期間だけかもしれないが、
提供しているわけだし。
ただでいい思いさせてやってるんだ、
くらい思ってもしまう。

こう思うことは良くないことなのだろうか。
自問自答してもしょうがない。
もしマーケティングという行為が正しい行為なのなら、
こういう考え方、姿勢は悪くないのだろう。

ターゲットとする消費者セグメントを定め、
他のセグメントには見向きもしないでフォーカス。
その消費者の求める、
半ば馬鹿げたニーズとやらを定義し、
それを満たす(ように化粧した)提供物を
選択して探してくる、もしくは開発する。
で、それをメディアを通じて知らしめ、
また物理的にデリバリーする。

これがマーケティングの基本であるが、
結局は被提供者側、要は消費者を喜ばせるのが目的であり
一見崇高な行為ではある。
しかし、その実は、偽らざる騙しの行為であり、
潜在価値そのままの伝達では
相手を満足させることなどできるわけがないという、
何とも本質的な事実を知らない人にのみ
通用する代物なのである。

菅原 章さんへの激励や感想などは、
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2005-01-31-MON

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