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限界はある

「限界はある。」という言葉に何度助けられたことか。

「なせばなる」とか「努力は必ず実る」という
エンカレッジングな言葉は、
サボっている人にとっては
非常に意味があるものかもしれないが、
本当に一生懸命になっている人にとっては、
そんなことは当然のことであるから、
非常に上滑り なメッセージにしか聞こえない。

思い悩み、
場合によっては自らの命を絶とうとする人が
増加傾向にさえある昨今であるが、
冷静に考えてみてもらいたい。

この世の全てのものは有限であり、
必ず限界があるものだ。
その中でどこまでできるかが問題なのであって、
論理的な限界に達しても
なおその上に行こうとすることは
「美しく」はあるが全く意味がないことである。
勿論、人によってこの限界の閾値は大きく異なるが、
それを嘆いてみても仕方がない。
そういうものなのだ。

ビジネスの世界では、
成長の限界値までの「伸びしろ」のことを
growth potentialといい、
そのポテンシャルをどれだけ早く、
少ない投資で勝ち得るかが問題となる。

自らの背丈、
あるいは市場の特性を全く理解しないで
「限りない成長を目指す」などと
ぶち上げている企業がときたまあるが、
これは株主利益を全く無視した
無謀会社と言ってよいだろう。
自らの「限界」を正確に理解した上で、
全ての戦略、活動内容を確実に決定していける企業が
ベストプラクティスである。

人間個人にしてもこれは同じである。
大体の人間は自分の限界を理解していない。
自分の限界を正確に把握できているのは、
スポーツの世界で世界記録に挑む
アスリートたちくらいではないだろうか。

自分の限界を理解できないとどうなるか。
大抵の場合は、期待値と現状のギャップに苦しみ、
自己嫌悪に陥ったりするのだろう。
明らかに「あそこまでできる」と分かっているのに、
どうしもサボってしまってできないでいる人なんかは
そうはいないのではないだろうか。

思いっきり「やって」みて、
それでできなかったら諦めたほうがいい。
そういう場合は、「やる」ことの土俵を変えるしかない。
1回しかない人生、限界に達しているのに
そこで「シコって」いても仕方ない。

問題は、自分は本当に限界まで「やった」のか、
の判断が非常に難しいことであろう。
「何にでもチャレンジする」とか言って、
全く努力を深めないまま次から次へと
「やる」ことを変える人がいるが、
こんなものは論外である。
限界を確かめるには、
「自分はサボってはいないかどうか」
を徹底的に自問自答することと、
同じ質問を他人に聞いてみることである。
ただし、親しい友人なんかに聞いてはいけない。
彼らは「優しさ」のあまり、
ウソをつかざるを得ないことがしばしばあるからである。

実は、私も自分の本当の潜在的な限界を
見極められないでいる。
「まだできるんじゃないか」と思う、
その浅ましい心が全てを駄目にすることが多々ある。
もうできないと判断したら、
さっさと別のことを試してみるとか止めてしまわないと、
全く時間をロスってしまうのだ。
しかも「シコっている」間、気分が悪い。

「限界」の見極めの巧拙が、
我々の人生にどれほどの違いをもたらせてくれるか、
今一度立ち止まって考えるべきであろう。

2001-06-18-MON

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