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第24回 日本のredesignを始めよう(3)

もう数週間前のことになるが、選挙があった。
日本をredesignするには、
最後には政治の変革が必要なことはわかってはいても、
私は政治に全く興味がない、
いや、なかったというべきか。

とにかく、これまで選挙の投票というものに
行ったことがない。

小学校や公民館などといった、
ほとんど日常生活では縁のない場所が
投票会場になっていることもボトルネックだが、
大部分は「勇気」と「信念」がない人間しか
要職に就けないような政界では、
まあ誰が政治家になろうが関係ないだろう、と
思うからである。

しかし、だ。
この前の選挙の開票速報を伝えるテレビ番組を見ていて、
この念は少し変わり始めた。

どの党に対しても、どの政治家に対しても、
もちろん全く特別な気持ちを抱いてはいないのであるが、
民主党の鳩山氏の今回の選挙に対する姿勢を見ていて、
少しばかり心が動かされた。

私には、政治に関する深い知識や洞察が
ほとんどないので、ひょっとすると間違った評価を
下しているのかもしれまいが、
もしそうであればお許し願いたい。

あの時の鳩山氏には、
「もしかして本当の政治家が現れたのかな」と
思わせるものが、少なくとも私には感じられた。

党首でありながら、危うく落選するところだったのだ。

自分の選挙区で大苦戦を強いられ、
最後の最後まで当選できず、
その間テレビに写る彼の言動、表情からは、
明かに動揺の色が伺いしれた。

党首であるが故に全国での遊説に忙しく、
自分の選挙区で過ごす時間が
少なかったこともあるだろうが、
何と言っても公共事業費の削減を推し進めようという
民主党の指針が、地元選挙区の対立候補を
有利な立場に押し上げたことが最大要因だろう。
なんでも対立候補は、地元ゼネコンの御曹司だとかで、
余計に影響が強まった。

最終的には土俵際で何とか当選を決めたが、
党としては勝利していながら、さすがに自分が
「犠牲」になるのは心もとなかったのであろう。
当たり前である。

しかし、ここに私が今まで抱いてきた
「日本の政治家像」を改めざるを得なかった。
自らの落選のリスクを負ってまでも、
党の方針、ビジョンを貫いて有権者に訴求していく……。

日本の政治家のことであり、
まだまだ油断はできないので、
あまり「言い過ぎ」たくはないが、
これは、かなり理想的な政治家に近いのではないだろうか。

あれほどスリリングな選挙開票速報は
未だかつて見たことがない。
疲れ切った表情で今にも泣きだしそうな声で、
それでも自党のコンセプトが正しかったことを
主張し続けている様からは、彼の真剣さが感じられ、
非常に気持ちがよかった。

マスコミはあまりこの事実に言及しないが、
こういった意味でエポックメーキングな
選挙戦であったことは間違いなく、
組織として「党」は
未だ本来の機能を果たしているとは思えないため、
どの党が勝った負けたなどには
依然として全く興味はないが、
「格好のよい」政治家の萌芽を
目の当たりにできたことは、
日本のredesignへの道も遠くはない、
という予見を感じさせるに十分であった。

今後の「彼」に注目してみたい。

2000-07-28-FRI

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