BUSINESS
恋はハートで。仕事はマジで!

第6回
課長は苦しんでいる……どうぞお手やわらかに



「うちの上司は馬鹿で使いものにならない」、
「こんな上司のもとでは働く気がしない」、
などという話をよく耳にする。
確かに馬鹿な上司はいるものである。何を考えているのか
わからない部長・課長というのは珍しくない。
しかし、はたしてすべての部下の能力を上回る上司が
どれだけいるだろうか。
そんなに簡単に批判してよいものだろうか。

私は仕事柄、企業の課長研修のようなものの講師を
何度かやったことがある。
「ビジネスにおける論理的な思考方法」、
「製品戦略の立案方法」などを
40〜50人の課長に対して講義するのであるが、
課長さんの能力は本当に千差万別である。

「なんでこんなことも理解できないの」という人もいる、
「俺ホントはこんなことしたくないんだよなあ」
というのが、ありありとわかる人もいる。

さてここで一つの疑問。
彼らは本当に望んで課長業をやっているのであろうか。
本当はもっとひっそりと片隅で
もくもくと仕事をしたい人もいるのではなかろうか。

ここで、この連載の第2回目で述べた
「20%の頑張る人用コース」と
「80%フォロアー用コース」の考え方が再浮上する。

「80%のフォロアー用コース」に入っている課長が
いくらでもいて、たまたまその人たちが「馬鹿」だの
「能なし」だの言われてしまっているだけということである。
要は課長のほうからすれば
「何でそこまで言われなくてはいけないんだ」
という感じなのである。

もし、このような課長に出くわした場合は、
誰が悪いというわけではなく、あえて言ってしまうと
「運が悪かった」ということ。
打つ手としては、
(1)課長を飛び越して、
   部長や本部長に何度も何度も直訴し続ける。
もしくは、
(2)会社を辞める。 ということしかない。

(1)はかなりの勇気と労力が要るが、
本部長→部長→課長と三タテで馬鹿な組織は
そうはないので、必ず理解を示してくれる人がいるはず。
彼らもすぐには手を打てないが、
しつこくコミュニケートし続ければ
次の人事異動のときには何とかしてくれる可能性は高い。

ただし、ここでもそれなりの前提条件が要る。
まず、これくらいのことをあえて言うのだから、
少なくともあなた自身は「優秀」な人材であることが必要。
それに加え、平穏を保つ組織の中で「言いにくいこと」を
「言い続け」なくてはならず、かなりの精神的苦痛を伴う。

(2)についてはこの場合、最終手段かなとも思う。
そもそも会社の業務内容そのものが自分に合っていない、
望んでいるものではないのなら、辞めることは必要だが、
人間関係だけを理由に自分から出ていくことはないだろう。
いずれにしても、自ら自律的に行動することが求められる。

ポイントは、粗く言ってしまうと、
「課長が悪い」わけではなく、
そんな人を課長にした「会社が悪い」ということ。
できない人、もしくはやりたくない人を
課長にしたことが罪なのだ。

そう、課長は苦しんでいる……どうぞお手やわらかに。

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>いやぁ、そうだよね。8対2の理論の応用編ですよね。
ただ、(笑っちゃいけないんだけど)、20パーセントの
「やる気のある」グループだけを集めてチームをつくると、
そこでもまた、8対2の法則がうまれるんだって、
聞いたことがある(笑)。
アリさんの場合らしいけどね。

いちばん力強いお言葉は、
「本部長→部長→課長と三タテで馬鹿な組織はそうはない」
でした。なるほどなぁ、と思いました!
( darling )

1998-07-19-SUN

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